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七人いる  作者: 山本正純
第一章
10/25

姿なき籠城犯

 電話の相手は木原だった。

『合田警部。大変です。センタースペードに爆弾があります』

「爆弾だと。いいか。警視庁に爆破予告が届いた。午後八時にそのビルが爆破される。それまでに爆発物処理班を派遣するから非難しろ」

『無理です。今警備室から電話しているのですが、犯人の策略によって閉じ込められました。爆弾は警備室にあります。出入り口はありません』

「人質は」

『百人以上です。この場には私と大野。そして会社員が四人います』

「分かった。その爆弾はパスワードを乳六することで解除できる。ただし三回間違えれば爆破される。何とかしろ」

『パスワードによる解除は最終手段ですね。それとこのビルは犯人によって完全な密室になりました。突入時には気をつけてくださいね』

電話は切れた。その後大野は佐野に聞いた。

「ここの警備室から防犯カメラの映像は観られますか」

「はい。館内放送もできます」

 木原が反対した。

「館内放送は止めろ。今このビルが爆破されると放送したらパニックになる」

 佐野は防犯カメラの映像を見せた。どのカメラにも籠城犯の姿はなかった。木原は急いで合田にメールを送った。

『籠城犯の姿はなし』

「後は死角に籠城犯が隠れている場合です」

 川上が言った。

「それはありません。内の防犯カメラには死角がありません」

 大野は爆弾の前に立った。

「いずれにしろ透明人間と名乗る犯人はこの中にいる。そして解放してみせる。この殺意に満ちたこの空間を」


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