表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10年ごしの引きニートを辞めて外出したら自宅ごと異世界に転移してた  作者: 坂東太郎
『第八章 開拓団長ユージはパストゥール領ホウジョウ村村長を兼務する』

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

116/537

第八章 エピローグ

短いですが…

エピローグですのでご容赦ください!

「ということで、間もなく冒険者ギルドの討伐隊がゴブリンとオークの集落を潰しにかかります。ここに伝令兼案内役が来たら、俺とアリスとコタローも討伐に向かいますので」


 プルミエの街から開拓地へ戻ってきたユージが、住人を集めて説明する。ケビンと専属護衛、冒険者三人組は街に残っているようだ。


「それから万が一を考えて、開拓地も警戒を強めたいと思います。柵と空堀はありますから交代で夜間の見張りをたてるのと、柵の外の作業はしばらく控えようかと思っています」


 アリス、コタロー、獣人一家、元冒険者パーティ、木工職人チーム、針子の二人を見渡して今後の予定を説明するユージ。13人と一匹を前に堂々としたものである。曲がりなりにもユージは開拓団長であった。


「ああ、そのほうがいいだろ。状況次第だが、行けそうなら俺たちも討伐に同行するぞ」


 元3級冒険者パーティ『深緑の風』、そのリーダーが眼光鋭くユージに宣言する。引退したとはいえ、怪我ではなく結婚や婚約が理由なのだ。目前に大規模戦を控え、体がうずいているようである。とはいえ、開拓地にモンスターの襲撃があるならここを離れるわけにはいかず、状況次第で、と判断する冷静さは残っているようだ。さらに言えば、新婚夫婦と婚約者持ちである。どう考えても危ない。


「ユージさま……。以前住んでいた村で、私の畑はモンスターに潰されました。一緒に戦うことは叶いませんが、ぜひ! ぜひ! ヤツらを殲滅してください!」


 ユージの奴隷、犬人族のマルセル。もともと彼は、住んでいた村がモンスターの襲撃を受けた際に自分の畑が戦場になり、収穫が壊滅。村からの補償はあったものの、納税分が足りずに奴隷になったのだ。

 今回は攻め入る側とはいえ、そんな過去を思い出したらしい。普段は穏やかなマルセルだが、今は歯を剥き出して見えぬモンスターに敵意を露にしている。ユージから開拓地を守ってほしいと伝えられ、討伐に参加できないことを残念がっていた。もっとも、マルセルの戦闘力はいまやユージ以下。居残りはユージにしては妥当な判断なのだが。

 マルセルの横に並ぶ妻、猫人族のニナは毛を逆立てていた。言葉はないが、ニナもモンスターへの敵意は並ならぬものがあるようだ。

 だが、夫婦の後ろに控えるマルクはしょんぼりしている。どうやらアリスが討伐に向かうと聞いて、戦闘の役に立てない自分を責めているようだ。お父さんもお母さんもアリスちゃんもボクが守るんだ、と言って訓練に励む日々。着実に実力をつけているが、今回は間に合わなかったようだ。それが悔しいのだろう。真面目な男の子である。


 木工職人のトマスと助手の二人は、ユージの話を聞いて議論をはじめていた。とりあえず木の杭を大量に作るか、柵の強化にも罠にも使えるだろう、などと言って。


 300もの数のゴブリンとオークと説明したのに、やたら好戦的な開拓民たち。ユージは、彼らの『敵即斬』の思考に引き気味であった。ふと針子の二人に目を向ける。そうだ、この二人なら戦闘力もないし、異世界だって穏やかな人もいるんだ、という願いを込めて。


 目を向けられた二人はユージを見て、キレイな針と糸、布を用意しておきます、ユージさん、切り傷だったら任せてください、などと(のたま)っていた。縫う気満々である。いや、針子ゆえ正しいのかもしれないが。


 あ、はい、と力なく答えるユージ。

 横のアリスに目をやる。

 アリスは、むふーとすでに鼻息も荒い。明らかに全力で魔法を使う気のようである。

 足元のコタロー。犬人族のマルセルと同様に歯を剥き出し、ぐるると小さく唸っていた。ねきりってたいせつよね、と言わんばかりである。


 どうやらこの世界の住人は、戦闘民族のようであった。

 なぜか現代日本で育ったはずのコタローは溶け込んでいるが。


 ユージが異世界に来てから4年目にして、開拓団として1年目の秋。


 開拓地は無事に最初の収穫を終えた。

 全周を囲う柵と空堀も完成し、防衛戦力は整っている。

 現在、住人は7世帯14人と一匹、それから六羽の鶏。

 春になれば、さらに人も増える予定だ。

 保存食と服飾、商売の種も見つかっている。

 ここまでは順調。


 だが、冬が来る前に決行予定のゴブリンとオークの集落討伐戦。

 結果次第では、開拓地の未来も変わる。


 開拓団長として。

 ホウジョウ村の村長として。

 そして、初めて依頼を受けた8級冒険者として。


 ユージは試練の時を迎えるのであった。



ちょっと短いですが、エピローグですので…

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ