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滅亡国家のラグナテア ~リアルがゲームに入れ替ったけどデータ引き継ぎで現代無双~  作者: 萩鵜アキ


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第76話 なかよ死

 百を超える呪詛の塊が、弾けた。

 まるで巨大な岩石が中心部から爆発したかのように、呪詛の塊が縦横無尽に飛翔する。


 速度は、そこまで速くない。

 この状態のままならば人間とて容易く回避出来るだろう。


 一見するとまとまりがないが、しかし一呼吸分時間が経つと、すべての呪詛弾が一斉に方向を転換しはじめた。


 すべての弾がゆったりとしたカーブを描き、やがてすべてが人間にピントを合わせた。


「回避は、無駄」


 人間が飛来する弾を躱すが、回避された弾は途中で軌道を変えて再び人間に迫る。

 何度回避しても意味がない。

 むしろ、回避すればするほど、呪詛弾の怨嗟が強まり速度が上がる。


冥狂死衰サクリファイス》――完全追尾型呪詛魔法。

 一度狙いを定めたら、地の果てまでも追いかけ呪い殺す。


「諦めて、死んで」


 一つ、二つ。

 人間が呪詛弾を躱す。

 だが、その数が十を超えるとさすがに人間も苦しくなったか、走って逃げるようになった。


「逃げても、無駄」

「さて、それはどうかな」

「無駄な足掻き」

「悪いが、最後まで諦めずに足掻く性質でな」

「見苦しい」


 かなり高かった人間の評価が、一気に底辺まで落下した。


 この呪法を発動した以上、ネクロがわざわざ手を出さずともいずれ人間は死ぬ。

 だが、苦しむ様子を見るのは趣味ではない。

 苦しみの時間は、短いにこしたことはないのだ。


「すぐ、終わらせる」


 ネクロが手を出そうとした、その時だった。


『全員撤収完了しました』

「……?」


 空から無機質な声が響いた。

 なんだこの声は?


「よし。エルドラ、全弾排除だ」

『全弾排除、了解。《対空光射インフィニティ》起動』


 次の瞬間だった。

 己の勝利を確信する要因たる呪法が、あらぬ方向へと一斉にはじけ飛んだ。


「……ほえ?」


 その光景に、ネクロは思わず呆けてしまった。


 呪法が弾かれることは、概ね想定内。

 だが、問題は弾かれた後だ。


 通常は弾いたところで、追尾機能は失われない。

 だがたった今弾かれた呪法は建物や地面、次元層に衝突し、動かなくなってしまった。


「いったい、何故……」


 初めて見る現象に、戸惑いを禁じ得ない。

 ネクロが動揺していると、背後に強い気配。


 体が反応。

 防御を固めながら、振り返り、


『ダァァァラッシャァァァァ!!』

「――ッ!」


 ――ドッ!!


 巨大な岩石がぶつかったかのような衝撃に、ネクロは吹き飛ばされた。

 地面に落下してもまだ勢いが止まらず、建物を貫き、一番奥の次元層でやっと停止した。


「あの、目は」

『ヌワーッハッハー!! どうだ死に損ない、我が輩の全力の拳はッ!』


 真っ赤な瞳、尖った耳、真っ白な素肌。

 その者は、ネクロが最も嫌悪する生者――、


「ッ、吸血鬼ゴミクズ……!」


 他者から血をすすり、意地汚くも永遠に生にしがみつく、吸血鬼だった。




          ○




冥狂死衰サクリファイス》がすべて撃墜されたのを確認して、俺は胸をなで下ろした。


 あぶねぇ……。

 あれ掠っただけでも即死って魔法だから、めっちゃ焦ったわ。


 初見だとバグかチートだって誰でも思うが、実はちゃんとした攻略法が存在する。


 まず、二回以上使わない。一回使ったら終わりだ。

 つまり最初の一回をなんとかしのぎきればOK。


 次に、範囲魔法に見えるが実は単体魔法だ。

 仲間と固まってたらまとめて殺されるけど、実は生け贄を一人用意すれば大丈夫な魔法だったりする。


 今回用意した生け贄は、


『ヌワーッハッハー!! どうだ死に損ない、我が輩の全力の拳はッ!』


 ドローンのようなペット系は二度と手に入らないアイテムだし、かといって俺はまだ死にたくない。

 じゃあ誰を生け贄にするかっていったら、もうシャドウ(こいつ)しかいない。

 こいつが死んでも胸が痛まないからな。


『なにか、寒気がするのであるッ……』


 多少動く盾として使えるかと思ったんだが、魔王種を殴ってぶっ飛ばすって、期待以上だわ。


 あと……あれだ。

 力を目一杯注いだら、二十歳くらいの見た目――お胸が大変なことになりやがった。

 激しく動くと目のやり場に困る。


『ご主人、我が輩がこの死に損ないを殺してしまっても?』

「いいが、やけに殺意高いな」


 目が燃えるように真っ赤だし。


『当然なのである。不死者は天敵。我が輩も、何度狙われたかわからないのである』

「へえ」

『奴は、命あるものすべて不死者にするのが目標と公言するようなおかしな奴である。全員が不死者になったら……我が輩、血が吸えなくなるではないかッ!!』

「不死者にも血はあるだろ」

『不死者の血を飲むなんて……うえっ! 吐き気がするのである』


 シャドウが心底嫌そうに顔を歪めた。

 吸血鬼にとって不死者の血液は、腐った食べ物みたいなもんなのかもな。


『それで、ご主人。殺してしまっても構わないのだな?』

「いいぞ」


 やれるもんなら、な。


『ならば、いざっ! 《ガトリング・ブラッド》!!』


 腕から大量の血液が発射。

 射線上のあらゆるものを粉砕し、ネクロに殺到する。


 ――ズガガガガッ!!


 凄まじい威力だ。

 前回俺が少し力を貸した時より、何倍もパワーアップしてるな。


『ヒャッハー!! 死ねッ! 死ぬのであ――へっ?』

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