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滅亡国家のラグナテア ~リアルがゲームに入れ替ったけどデータ引き継ぎで現代無双~  作者: 萩鵜アキ


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第74話 永遠に副委員長

「大丈夫か?」


 ふと、自分の背中を支える温もりに気づき、瞼を開いた。

 そこには、


「…………えっ」


 三浦大斗がいた。


「ええっ!?」


 なんでこいつが?

 感じていた恐怖が吹き飛び、一気に気まずさがこみ上げる。


「よかった。無事だな」

「ど、どうしてあなたがここに……」

「ここがうちのクランハウスだからじゃん」

「あー……」


 だから白河颯もいたのか。

 ようやく合点がいった。


「急いで逃げるぞ」

「……」


 自分の体が恐怖で冷たくなっているせいか、三浦の手がやけに温かい。

 それが気になって口ごもったのだが、何を勘違いしたか三浦は、


「ああ、ごめん。おれ、全然気にしてないから!」

「なにがですの?」

「騙されたこと」

「ぐ……」

「あれはほら、おれが馬鹿だったっていうか、仕方ないっていうか」

「…………」

「それに、引きずってもないから、大丈夫!」

「そう、なんですのね」

「ぶっちゃけ、女子なら誰でも良かっただけだから、気にしないで!」

「はあっ!?」


 この発言には、さすがにカチンときた。


「このわたくしを前に、誰でも良かったとは何事ですのッ!?」

「えっ、いや、ええと……?」


 自分はあれやこれやいろいろ考えて、今も罪悪感に苛まれて、どうしたらいいのかもわからなくなったっていうのに、この男は……ッ!


「……と、とりあえず逃げよう、か?」


 賛成だが、どうにもイライラする。

 この男は最初からこうだった。


 こちらの想定通りに動かず、諦めた頃になって近づいて……。

 今はこちらが引きずっているのに、あちらはあっけらかんとしている。


(なんでこんな男のために、国宝級たるわたくしの心を痛めねばならないのか。解せないですわッ!)


 ふんすふんすと、足を踏みならしながら三浦の後を追う。

 そんなイライラも、屋敷への侵入者によりかき消えた。


 窓硝子が割れ、外からぼろきれを纏った悪魔が現われた。

 その見た目は完全に、ホラーイラストに出てくる幽霊のそれだ。


「ひぃぃっ!!」


 幽霊に悪魔というダブルパンチで精神力がゼロに近づく。

 ギリギリの状態でありながらも、副委員長は敵から目を離さない。

 ――いや、離せなくなった。


「タ、スケ……タ……ケテ……」

「そんな……大庭、先輩?」


 顔の前に垂れ下がるワカメのような髪の毛。

 それに顔立ちが、どことなく大庭に似ていた。

 それだけではない。胸元に貴種派のピンバッジが付いていた。

 ただの悪魔がそのようなものを付けるはずがない。


(そういえば先輩、学校にいらっしゃってませんでしたわね……)


 目の前の悪魔は間違いなく、大庭剣斗だった。


「イ、タイ……イタ、イ……」

「先輩。どうして悪魔になんて……」

「オォォォォォッ」


 呆然としていると、悪魔が拳を振り上げた。


「あっ――」


 装備がない状態で悪魔から攻撃を食らえば、確実に死ぬ。

 かといって回避も不可能。戦闘力が皆無だから。


 そんな副委員長を救ったのは、三浦だった。


「退け」


 一閃。

 刀を振るうと、悪魔が真っ二つになって落下した。


 絶命した悪魔が砂になって消えた。

 後にはなにも残らない。

 魔石すらないのは、この深淵を生み出した悪魔の使い魔だったからか。


「えっ」


 その光景が信じられず、パチパチと目をしばたたかせる。


 三浦大斗は、決して秀でた学生ではない。

 勉学は常に低空飛行を続けているし、戦闘能力も、一ヶ月前のホロ訓練ではFランクのテストを攻略し切れていない。


 彼がD級試験に合格したことだって、ほとんど信じていなかった。

 だがこうして戦う姿を見ると、本当は強いハンターだったのだと思い知らされる。


 ――トゥンクッ。


 胸が疼いた。

 それは経験のない、淡い痛み。


 先ほどまで冷たかった指先が、いまはすっかり温まっている。


(この感情は一体……)


「ほら、行くぞ」

「え……偉そうにしないでくださいましっ! このわたくしを誰だとお思いですの!? わたくしはあの――」

「はいはい。口じゃなくて足動かせよー」

「キィィ!!」


 再びずんずんと、足を踏みならす。

 先ほどとは違う胸に温もりを感じながら、でも、委員長は気づかない振りをするのだった……。

副委員長「お、おかしいですわ。何故かわたくしの名前が出て来ないですわ!」

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 いっそ、最後まで名前を出さずに行けたら……
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