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滅亡国家のラグナテア ~リアルがゲームに入れ替ったけどデータ引き継ぎで現代無双~  作者: 萩鵜アキ


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第69話 二度目の邂逅

「大斗、これから忍刀を使え」

「お、やったぜ! サンキュなハヤテ」

「あっ、俺の忍刀はやらんぞ。自分で買え」

「ちっ」


 当たり前だろうが。

 俺にたかるな。


「しばらくは二刀流禁止。まずは一本だけで扱って、刃を立てる練習をしろ」

「えっ、立ってなかったか?」

「立ってない。それじゃ全然斬れないからな」

「うへぇ」


 初めて大斗と、学内ダンジョンに潜った時のことを思い出した。

 そういやこいつ、刃を立てるのが苦手とか言ってたな。


「苦手ならやめとくか?」

「んー。なあハヤテ、これまでの武器の中で、おれは忍刀が一番強くなれるのか?」

「それは間違いない」

「……わかった。忍刀使うわ」


 大斗の瞳に、覚悟が見えた。

 これまでにはない、真剣な表情だ。


 こいつ、モテたいだなんだ言って茶化してたけど、ハンターの自覚が出てきたんじゃないのか?


 苦手武器ですらDランクに上がれたんだ。

 忍刀を持った大斗なら、かなり強いハンターになれると思う。


「忍刀が扱えるようになったら……モテるッ!!」

「…………」


 前言撤回。

 やっぱこいつの頭ン中は駄目だわ……。


『マスター、マスター。使い終わった魔石ですが、頂いてもよろしいですか?』


 黒くなった魔石は、再利用が出来ないただのゴミだ。

 正確にはリサイクル可能だがコストが高すぎて、魔物を狩ったほうが安上がりって結論だったかな。


「どうするんだ?」

『ええと……記念に?』


 なんのだよ。

 てか怪しいな。こいつが口ごもる時は、大抵別のなにかを隠してる。

 まあ問い詰めるほどじゃないから、見逃してやろう。


「ゴミだし、いいぞ」

『ありがとうございます!』


 どうせ捨てるしかないものだ。

 エルドラが何か、新しい利用方法を見つけてくれることを祈る。


「白河くん、いる?」


 訓練室の扉から、安達が顔を出した。


「いるぞ。どうした?」

「ちょっと困ったことになって」

「今度はなんだよ……。まだ大斗失恋事件から一週間も経ってないんだぞ」

「失恋事件言うな!」

「あはは。そういう事件じゃないから安心してよ」


 安達が近づき、俺に見えるようデバイスを差し出してきた。

 メール画面が開かれていて、差出人は……ハンター協会か。


「協会から、打診があったんだよ」

「へえ、なんの? 深淵攻略か?」

「ううん。EXハンター同士の顔合わせの日程打診だった」


 EXハンターって……うげっ。


「肇パパか」


 日本のEXハンターは俺を除いて一人しかいない。

【払暁の光剣】マスター、一条亘。

 まさかあの男と、また顔を合わせることになるとは……。

 うーん……。


「行かなきゃ駄目?」

「駄目」


 ……さいですか。




          ○




 特別会議室の扉が開かれた時、一条亘は深い眠りから覚醒したかのようにゆっくりと瞼を開いた。


 扉の向こうにいるのは白河颯。

 ハンター養成学校一年生でありながら、その類い希なる才能と実績により推挙され、ハンター協会理事の全員一致でEXハンターに認定された少年だ。


 亘がその目で見るのは、二度目になる。

 一度目に見えた時から普通ではない少年だとは思っていた。

 だがそれはあくまで少年として見た場合だ。ハンターとしては、せいぜいBランクに届くくらいの才だろうと考えていた。


 まさかこれほど早くEXハンターに認定されるとは想像もしていなかったし、己の観察眼がここまで的外れだったことに自嘲を禁じ得ない。


(前は、そこまで威圧感があるとは思ってなかったんだがな……)


 今も、協会理事の認定がなければ、EXハンターなど嘘だと確信したに違いない。

 日本にいるトップハンターにはある強い威圧感が、白河からは一切感じられない。


 見た目は凡庸。一度目を離すと思い出すのに苦労する顔立ちだ。

 オーラもない。人混みに紛れれば、亘では見つけられる自信がない。


 彼と比べれば自分の息子、肇の方が強そうに見える。


 EXハンターに推挙されるほど、この少年は強いのだろうか?

 試しに強い殺気を飛ばした。


「ひっ!!」


 白河の隣にいた付き添いの職員――名は確か梶原と言ったか――の口から、引きつった声が漏れた。

 顔面が蒼白になり、腰が完全に引けている。

 それでもギリギリ立っているところを見ると、厳しい鍛錬の成果が窺える。


 心の弱いハンターなら失禁するほどの殺気を受けて、しかし白河はたじろぐどころか、一切表情を変えなかった。


 それどころか、何一つ変化がなかった。


 こちらの殺気に、気づいてない?

 ……わからん。

 ただ鈍いだけという可能性はありそうだ。


「久しぶりだな、白河颯。息災だったようでなにより」

「お久しぶりです。早速ですが、何故俺を呼び出したんですか?」

「そう急ぐな。まずは椅子に座ったらどうかな?」


 椅子に座るまでの間、細かい所作を観察する。

 しかしやはり、強さの片鱗を一切感じない。


 しかし、己の感覚通りの強さならば、既存の結果は決して上げられないのだが……。

 亘は内心首を傾げる。


「それで、何故顔合わせを?」

「いま、日本では急速に深淵発生が増えていることは知っているかな?」

「はい」

「過去の例からいって今後、そう遠くないうちに巨大な深淵が発生するだろう。最悪は深度EX――魔王級が出現する。深度EXに挑戦する権利を持つ者同士、今から顔を合わせておこうと思ったのだ」

「なるほど」


 深度EXに挑戦出来るのは、EXハンターとEXクランと決まっている。

 S級以下では、参加する権利すら与えられていない。

 無論、例外はあるのだが……。


 現状でEXハンターは二人。一条亘と白河颯。

 そしてEXクランは【払暁の光剣】のみだ。


 魔王級に挑戦出来る新たなハンターと、早い段階で意思疎通をしておこうというのが今回の顔合わせの趣旨である。


「今後、深度EXの深淵が発生した場合は、俺のクランが陣頭指揮を執ることになるだろう」

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