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滅亡国家のラグナテア ~リアルがゲームに入れ替ったけどデータ引き継ぎで現代無双~  作者: 萩鵜アキ


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第59話 試験結果は想定外

 ハンター協会に来て、待合室に通されてから早二時間。

 与えられた飲み物はすでに空っぽだし、替えの茶も菓子も何もない。


「クラン昇格の手続きは、こんなにも時間がかかるものなのか?」

「かれこれ二時間は待ってますね」


 さっきから萌木が不安そうに何度も時計を確認している。


「寮の門限が心配です」

「さすがに八時までにはすべて終わると思うが……」

『マスター、念のため関係者に聞いてみてはいかがでしょうか?』

「……そうだな。あとどれくらいかかるか聞いてくるか」

「すみません、お願いします」


 部屋を出て、協会の受付に向かう。

 その道中で俺はインベントリから、例のアイテムを取り出した。


『暗いよ、怖いよ……』


 ミニシャドウが、俺の手のひらでカタカタと震える。


「おお、ちゃんと生きてたか」

『殺す気だったのであるかッ!?』

「うるさい黙れ」

『何を――ッ!』

「大声出すならまたインベントリにぶち込むぞ」

『……』


 脅すと、シャドウは両手を自分の口に当ててコクコク頷いた。

 素直でよろしい。


「これで、なにかあればインベントリにぶち込んで封殺出来ることがわかった。どうだエルドラ。これなら安心だろ?」

『……理屈はわかりましたが、承服しづらいです』


 なんか人間みたいなこと言い出したぞこいつ……。

 エルドラってAI……だよな?


「それじゃあ、こいつを監視するドローンを一機付けたらどうだ?」

『ううむ……』

「問題あれば即時破壊許可を出そう」

『あっ、それなら喜んで!』


 いきなり手のひらクルン。

 ……怪しい。


「お前、こいつをうっかり破壊しようとしてないか?」

『それは誠であるかッ!?』

『イイエ、ワタシ、ウソツカナイ』

「声が平坦になってんぞ」


 なにもしてないのに壊すつもりだったなこいつ。


「とりあえず、俺や仲間に危険が及ぶ可能性がある場合は捕縛。他の悪魔に接触した場合は即時破壊。これで頼む」

『……承知しました』

『んほぉぉぉ! これで我が輩、晴れて自由の身!』

「勘違いすんなって。手の届く範囲以上に行動させるつもりはないからな」

『ぐ、ぬ……人間には基本的魔権(じんけん)の概念がないのであるか……』

「お前らに権利なんてくれてやるわけねぇだろ」


 俺たちは敵対してんだぞ。


「ってわぇでシャドウ。これからは俺の便利な部下(アイテム)として宜しくな?」

『ぐ、ぬ……。よ、宜しくなのである』

「大声出したり、妙な行動を起こしたらすぐインベントリにぶち込むからな」

『しょしょ、承知仕ったのであるッ!!』


 手のひらで、二頭身の背筋がぴんと伸びた。

 それをポケットに入れ、受付に向かおうとしたその時だった。

 通路の向こうから梶原が現われた。


「おっ、丁度良い。梶原さん、昇級の手続きはどうなったんだ?」

「手続きは無事終了し、後日認証を発行する予定だ」

「ん、じゃあ俺達はなんで待たされてたんだ?」

「それについて報告……というか、朗報がある」

「朗報?」


 梶原は一拍おき、


「おめでとう白河颯。本日から君は、EX資格者のハンターだ!」

「…………はい?」




          ○




 整理しよう。

 ハンターにはFからEXまで、8つのクラスがある。

 Dランクまでは、テストを合格するだけで昇級出来る。

 しかしCランク以降Sランクまでは、特定の功績を収めなければそもそもの受験資格が得られない。


 例えばデイリーランキング五十位以内に入ると、C級昇格テストの受験資格を得る。

 Sランクになると腕っ節もさることながら、社会への影響力も加味される。例えば大所帯のクランを率いるマスターだ。

 大規模な深淵災害が起った際に、戦力を大量に動員できることが〝実力〟として勘案されてるってわけだ。


 ここまでは、非常にわかりやすい。

 だがハンターランクには一つだけ、例外が存在する。


 それがEX。

 ハンター協会や、社会への貢献度は一切勘案されない。

 唯一の基準があるとするなら、ハンターとしての〝圧倒的な強さ〟だ。


「前回までの深淵攻略、そして今回の功績を評価して、我々ハンター協会は白河くんをEX資格者への認定を決定した」

「「「「「………………」」」」」


 待合室に戻り、梶原から報告を受けたら、メンバーの目が点になった。

 おおう。人間の目って、本当に点になるのな……。


「なん、だとッ!?」

「本当かい!?」

「EX……」

「はわわッ!!」

「まさか、これほどとは……」

「なんかみんな顔が引きつってない?」


「それはそうだよ。EXハンターは、世界で十人しか存在しない。日本では、たったの一人だからね」


 えっ、そんなに少ないの!?

 サービス開始直後の黎明期かよ……。


「その一人は、ぼくの父上なんだけど」

「遠回しに家族自慢か?」

「違うよ! それくらい凄いことだって言いたかったんだ」

「はいはい」


「突然のことで、すこぶる驚いたぞ。颯、EX認定おめでとう!」

「白河くん、おめでとうございます!!」


 ああ、女子二人は優しいなあ。

 それに対して野郎どもときたら……。

 お前らはマスターに祝いの言葉もないんか、オオン?


「……ところで、一段どころか何段もすっ飛ばして、いきなりEXになれるもんなのか?」


 ゲーム『滅亡国家のラグナテア』じゃ、いきなりEXに昇格することは絶対に出来なかった。

 ダンジョンでの魔物討伐だったり、深淵攻略でハンター協会への貢献度を稼いで、基準を満たしたら一つずつ昇格って流れだ。


 にも拘わらず、C以降をすっ飛ばしてEX……。

 こっちじゃそんなことが出来る仕組みになってんのか?


「圧倒的な強さがあれば可能だ」

「圧倒的って……なにか基準はあるのか?」

「今回、白河くんが討伐した純血種のヴァンパイアだが、素材鑑定で深度Ⅵ+以上が確定。場合によっては深度Ⅶの悪魔と判断された」

「なるほど」

「深度Ⅵ+の悪魔を討伐するとなると、Aランクのハンターがクラン単位で挑まねばならない。深度Ⅶなら、Sランクだ。【払暁の光剣】の最精鋭が挑むのが、このランクだったはずだ」

「へえ。ちなみに、ソロ攻略は?」

「いない」

「……うん?」

「現在の日本で、これらの深度の悪魔をソロで討伐したことのあるハンターは皆無だ」

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