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滅亡国家のラグナテア ~リアルがゲームに入れ替ったけどデータ引き継ぎで現代無双~  作者: 萩鵜アキ


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第56話 何故こうなった……

「なんだ、どういうことだ?」


 まさか逃亡に成功されたか?

 思わず顔が引きつる。


 だが、光は徐々に小さくなって、消えた。

 浮遊力もなくなって、ぽとりと地面に落下する。


「おっ、素材ドロップしてるんだ。ラッキー」


 シャドウがいた場所には、吸血鬼の灰と牙、それに赤い宝石『血証』があった。

 いずれも〝魔王討伐時の低レアドロップ〟だな。

 さすがに目玉アイテムはないが、これはこれで高値で売れるからヨシ!


 ドロップをインベントリに収納。

 宝玉も回収しようと手を伸ばした、その時だった。


『クヮーッハッハッハ! 我が輩、なんとか逃亡成功!!』

「――ッ!?」


 アロガントの宝玉がシャドウの声で喋った!


『あんのクソ人間めっ! 次に会ったら容赦しないのである! 絶対にメタメタのギッタンギッタンにしてやるのであるッ!!』

「ほう? 一体、誰をメタメタにするって?」

『ヒョワッ!? そそ、その声は……ニンゲンッ!!』


 赤い宝玉が僅かにのけぞって見えた。

 えっ、こいつ自分で宝玉を動かせるのか?


「お前なんでそこに入ってるんだよ」

『そこ、とはなんであるか? 我が輩、人間から逃亡成功したはずなのだが……ぬぬ? おかしいのである。我が輩、目が見えないし、手足の感覚がないのである!!』

「今かよ」


 気づくの遅ぇだろ……。


「お前は今、俺が使った宝玉の中に入ってるぞ」

『ほう、ぎょく……ああ、あの赤い――エエッ!?』


 おっ、今度は浮かび上がった。

 こいついよいよ自力行動を始めたな。


『そんな、馬鹿な……。我が輩のすんばらしい肉体が、ただのチンケな宝石に成り下がってしまったのであるか?』

「チンケとはなんだチンケとは」


 むしろ逆だ。

 今のお前よりも格上の肉体だぞ?

 なんせ魔王討伐でドロップするアイテムだからな。

 ほら喜べよ。


 ――なんて言いたいが、言えないな。

 正確には言っても意味がわからない。


 手短に説明すると『シャドウは将来魔王になって、それを倒すと手に入る宝玉』だが、もうこれだけで訳がわからない。


 今倒した奴が、将来どうやって魔王になる?

 しかも討伐しなきゃ手に入らない宝玉を、何故討伐前に持っているんだ?


 元の世界を知らなきゃ、ほんと意味不明だな。


「そもそも、お前はなんで宝玉の中に逃げ込んだんだよ」

『そ、それが我が輩にもわからないのである……』


 意図したわけじゃないのか。

 ってことは、一種のバグだな。


 命乞いをして逃亡ギミックが成立。

 だがほぼ同時に殺されたせいで、精神だけしか逃げられなかった。

 おまけにアロガントの宝玉は元々シャドウの肉体の一部。

 宝玉が自分の体だって誤認して、中に入っちゃった。

 ……ってところかね。


『マスター、これはどういたしますか?』

「世にも奇妙な喋る石って売り出したら、高値で売れないかな?」

『気味悪がられるだけでは?』

「じゃあ…………砕くか」

『それだけはどうかご勘弁をッッッ!! 我が輩、非常に優秀な吸血鬼なれば、必ずや人間――いや、ご主人のお役に立つのであぁぁるッ!!』

「お前、宝玉の体でどうやって役に立つつもりなんだよ?」

『そそ、それは…………おお!?』


 なんか、宝玉の形がもにょもにょ動き出した。

 なんか、アメーバ状の卵の中からエイリアンが飛び出す瞬間みたいで気持ち悪い。


 宝玉が徐々に人っぽくなって、やがてシャドウの形で固定された。

 んっ、シャドウ……なのか?


『ふ…………ふふ。フワーッハッハッハ!! 我が輩フッカーツ! 残念だったな人間! だが我が輩を下に置こうなぞ一兆年早いので……あ、あれっ?』

「一兆年、なんだって?」


 握りつぶせそうなサイズ。

 いっそのこと潰してやろうか? と圧を飛ばすと、


「ぴゃぁぁぁ!」


 涙を流しながらガクガク足を震わせる。

 それも、ほぼ二頭身、手のりサイズのシャドウが、だ。

 これが、将来の、魔王……。

 ため息出るわ。


 ってか、


「お前、元々男だよな?」

『そうであるが?』

「なんで女になってんだよ」

『ふむ? 些細なことを気にするのであるな』

「些細じゃねぇよ!」

『んふっ。性別なんぞを気にするとは人間、よもや我が輩を性的対象として――』

「潰す」

『い、いや、にんげ――ご主人、落ち着くのである!!』

「このままプチっと」

『我が輩が悪かったのである! 調子に乗りすぎたのである!! ほんと、この通りであるッ!!』


 音速のDOGEZA。

 こいつほんと、すがすがし過ぎる。


 手のひらで、ぎゅっと握って俺の顔の前まで持ち上げる。


『あっ、ご主人、ちょっと手の力が強すぎるのである。壊れるのであるッ!』

「……で、お前に何が出来るって?」

『そそ、それは……ええと、悪魔の情報を教えられるのである!』

「悪いが間に合ってる」

『なぜっ!?』

「いろいろと情報源があるんだよ」


 ゲームとかゲームとかゲームとか。

 むしろゲームしかねぇな。


『な、ならば、我が輩が悪魔と接触して、警戒を解いたところで急襲をかける、なんていかがであるか?』

「こいつ絶対、接触した悪魔にたれ込んで一緒に俺を倒そうとするよな?」

『ですね、破壊しましょう』

『やめてぇぇぇッ!!』


 ジタバタ。


『で、ではご主人の慰みに――』

「今すぐ死ぬか?」

『あんぎゃぁぁぁあ!!』


 涙を流しながらシャドウが動く。

 めいっぱいもがいてるんだろうが、俺の手をほどいて抜け出すような力を感じない。


 こいつ本当に無害になったのか?


「なあシャドウ。試しに逃げ出してみたらどうだ?」

『さ、さっきからやっているのである。でも、逃亡が発動しないのである――あっ、手ェ、手が強くッ! 壊れ――アッアッアッ!!』

「ほー、本当に逃げられないんだな」


 使えない振りかと思って多少危機的状況に追い込んでみたが、逃亡スキルを使わないな。

 これは宝玉の機能――逃亡阻止が生きてるって見てよさそうだ。


「……いよいよいらない子だな」

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