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滅亡国家のラグナテア ~リアルがゲームに入れ替ったけどデータ引き継ぎで現代無双~  作者: 萩鵜アキ


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第30話 きんにく……

 クランハウスに戻ると、まっさきに上半身裸の大男が飛び込んできた。

 ……うん、次のクランハウスは訓練場を別にしよう。

 事務所にこれは、さすがに暑苦しい。


 デスクで事務仕事をする安達に近づき、膨らんだ鞄を預ける。


「お疲れ様。これは?」

「お土産」

「深淵はどうだった?」

「最悪だったよ。深化するわ、Cチームが全滅するわ、その後拘束されるわで、二度と経験したくない」

「えっ、深化? Cチーム全滅!? どど、どういうこと!?」


 疲れ切ってて面倒だが、業務連絡だ。

 順を追って説明する。


「それは……災難だったね」

「ほんとだよ。あっ、鞄の中身は〝その〟お土産な」

「えっと……?」

「あ、バカここで明けるな――」


 注意が遅かった。


「ひぃっ!!」


 安達が思いきりのけぞった。

 そりゃそうだ。中には素材という名の、ウツロビトの〝部品〟が入ってるからな。


 慌てた手つきでチャックを閉める。


「びっくりしたぁ……」

「それの売却手続きを頼んだ」

「任せて! これが深度Ⅴの悪魔素材なら、今度こそ億は行くと思う」

「そうなったら、クランハウスも変えたいな」

「そう、だね」


 俺と安達が、フロアで大剣を振り続ける半裸の男を見る。


「……次は訓練室があるところがいいな」

「購入は難しそうだけど、借り上げならなんとかなるかも」

「じゃあ、そっちの選定も頼んだ」

「了解だよ。それにしても、白河くんもよく深度Ⅴの深淵から生還出来たね。やっぱり、白河くんのクランを立ち上げて正解だったよ。あとは後ろ盾さえあれば、大々的に活動しても大丈夫だね」

「あー、それなんだが、西園寺グループが後ろ盾になった」

「……へ?」


 人間って、驚くと本当に目がまん丸になるのな……。


「西園寺グループ。エマの家が、うちのクランの後ろ盾になった」

「――えええええッ!?」


 この日一番の驚愕。

 安達め、俺が向かった深淵が深化したって言ってもここまで驚かなかったのに、これにここまで驚くとは何事だ!


「いやだって、白河くんならどんな深淵でもクリアしちゃいそうなところあるから」

「そ、そうか」


 信頼が篤いのかなんなのか。

 そう言われると悪い気はしない。


「それより、西園寺グループだよ西園寺グループ!」

「そんなに凄いことなのか」

「そうだよ! 西園寺グループって、これまで一切クランの後ろ盾に付かないで独立して動いていたんだよ?  それが既存のハイクランじゃなくて、新興クランのウチに付くとは思ってなかったよ」

「ふぅむ」


 いまいち凄さが理解できんが、今後の障害が少なくなりそうなことはわかった。


「当面は、どうするかな……」

「そうだね。しばらくは空き巣があると思う」

「えっ?」

「西園寺グループが後ろ盾はあるけど、関係なく襲撃してくるクランもありそうだし」

「は、ははは。安達は冗談が下手だなあ!」

「えっ、冗談じゃないよ。もしかして白河くん、ニュース見てないの? クラン同士の抗争がよく報じられてるよ」

「マジかよ」


 クラン同士の抗争が普通にあるって、どこの世紀末だよ……。


「ここの治安、そんなに悪いのか?」

「悪くないよ。日本は世界で一番治安がいいからね。ただ、クラン同士の抗争は例外なんだ」


 マフィアかな?

 こえぇよ。


「け、警察は仕事しないのか?」

「出来ないよ。庶民が被害にあったら別だけど、ハンター同士の問題はハンター同士で解決するのが常識だよ」

「マジかよ……」


 ああ、そういえばレオンの家にもハンターが常駐してたっけ。

 あれって、そういう世紀末的なアレコレから身を守るためだったのか。

 納得だわ。


 ダンジョンとか深淵が出現すると、こうも治安が変わるもんなのか。

 前の世界線だとそんなことなかった――あっいや、時々家に車が突っ込んだり、銃撃戦の報道がテレビで流れてたな……。


 ……うん。

 やり合う職業が違うだけで、治安はあんま変わってないな。


「安達、こういう場合はどう対処するのがベストなんだ?」

「うーん。空き巣対策なら、大事な書類はすべて持ち帰って、アイテムは事務所に置かないとかだね」

「ふむ。遭遇戦については、しばらく護衛を付ける感じか?」

「そうだね。近くに白河くんたちがいれば安心だよ」

「そうか。じゃあ護衛は任せろ。レオンも頼んだぞ?」

「わかった。ところで、オレはいつダンジョンに行けるんだ?」

「あー」


 そういえば、俺と一緒にダンジョンに行くまで、型の稽古をしてろって言ったんだったな。


 以前の、喧嘩早いレオンなら一人ででもダンジョンに行ってただろうに。

 こう、従順な姿を見せられると調子が狂う。


「早くオレを、ダンジョンに連れて行け」

「わかったわかった」


 わかったから上半身裸で近づくな。暑苦しい!


「安達。これからしばらくクランハウスには来ないほうがいいかもな」

「あーたしかに、みんな学校にいたほうが安全だね。さすがに学校に襲撃するようなクランはさすがにいないだろうから」

「もし学校の外に出る時は、俺かレオン、もしくはエマや大斗たちと一緒に行動してくれ」

「わかったよ。三浦くんにも伝えておく」

「頼んだ」


 これでよし。

 クランハウスを空にはするが、これなら空き巣に入られても痛くもかゆくもない。


「ここ、自分たちの城みたいで、気に入ってたんだけど……残念だね」


 すごくわかる。

 女子には『男の子って……』って思われるだろうけど、こういう自分たちだけの基地って憧れるんだよな。


「まあ、今だけの我慢だ。さっさとセキュリティの高い物件見つけて、そこでまた集まればいい」

「そうだね!」






~~~~~~~~~~~~~~~~~~




TIPS

・クラン抗争

 クラン同士による抗争は、ハンター法により認められたハンターズクランの権利。

 クランの新陳代謝を図りつつ、各クランの不満を解消するためのもの。

 ネガティブリスト(やってはいけない項目)さえ遵守すれば、罪に問われない。


ハヤテメモ:抗争が合法ってこえぇよ!

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高層タワーマンションで抗争
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