表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
滅亡国家のラグナテア ~リアルがゲームに入れ替ったけどデータ引き継ぎで現代無双~  作者: 萩鵜アキ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

25/79

第25話 成りすまし

『――むむ?』

「どうした?」

『数秒ほど、原因不明のノイズが走りました』

「戦況は?」

『変わりはありません。ただ、ノイズの原因が何だったのかわかりません』

「ふむ……」


 たしかに、エルドラにノイズが走るとなると気にはなるな。

 念のためインベントリを機動しておくか。


 しばらくすると、ハンターがこちらにやってきた。

 また一条かと思ったが、現われたのは平賀だった。


「えっ、平賀さん?」

「みんな、先の戦闘が終わったから進んでいいぞ」

「あ、はい。みんな、先に進むぞ!」


 ポーターのリーダーが声をかけ、皆が一斉に動き出す。


『マスター』

「ああ、わかってる」


 ここまでは、下っ端だから大人しくしていたが……さすがにこれは黙ってちゃ不味いな。

 インベントリを操作して、装備のショートカットをタップ。

 レギオンと夢幻装備が、直接体に出現した。


「ちょっと待ってくれ。平賀さん、なんでアンタがここに来た?」

「クソガキ。安全を確保したら、ポーターに連絡するってのがウチのやり方だ。文句垂れんなら深淵から追い出すぞ!」

「仕組みにケチは付けないさ。ただ、リーダーで盾役のアンタが前戦を離れるってあり得ないだろ。何故前戦を離れた? 他のメンバーは大丈夫なのか?」

「し、白河くんッ!? 平賀さん、ごめんなさい! こいつ右も左もわからない若手でして……ほんとすみません!!」

「…………」

「ひ、平賀さん?」


 ポーターのリーダーが平謝りするが、平賀は答えない。

 さすがのリーダーも、これには違和感を感じたようだ。

 平賀にいぶかる顔を向ける。


 その時だった。


「みなさーん。先の安全確保が終わりましたので、進んで大丈夫……あれっ平賀さん、いつの間に僕を追い越して――」


 平賀の首が、落下した。


「――ッ!?」


 いや、正確には首が長く細い形状に変化した。

 落ちた首が、みるみる黒い塊に変化する。


「みんな下がれ! 一条、戦闘だッ!」

「ひ、ひい!!」


 くそっ、号令をかけても誰一人まともに動けない。

 一条もそうだ。

 敵を前にまごついてる暇はないぞ!


 元平賀に一番近い、ポーターの衿を引き後ろへ放り投げる。

 同時にレギオンをホルスターから抜いて、魔法弾を射出した。


 次の瞬間。

 首から伸びた黒い影が、周囲を切裂いた。


「――ッ!」


 あっぶねぇ……。

 ほんのコンマ一秒でも対処が遅れてたら、今頃頭も一条も、俺でさえも、首が胴から離れてた。


 あと、セットしといてよかったショートカット装備。

 突発戦闘でこんな役立つとは思わなかった。


「ポーターは下がれ! 戦闘に巻き込まれるなッ!」

「白河君、これは一体どういうことなんだ!?」

「見りゃわかるだろッ。悪魔に襲撃されたんだよ!」

「そんな。ここは安全を確保したはず」

「ボケッとすんな一条、動け!」


 一条が慌てて剣を抜く。

 それを見て、思わず舌打ちしたくなった。


「武器を抜けって意味じゃねぇよッ!」

「どういう意味だ?」


 逃げろって意味だよバカ野郎!

 ――ってかお前なんで長剣装備なんだよッ!!


 くっそ。どいつもこいつも……!


「斉藤、このバカを連れて下がれ! ついでにポーターの保護を頼む」

「何もしないとお伝えしたと思いますが」

「言ってる場合か?」

「……承知しました。失礼いたします」

「何をする、辞めろ! 離せ!!」


 斉藤が一条の腰を掴み、米俵みたいに肩に担いで離脱した。

 その手際、素早さ。並のハンターじゃないぞ。


 それにしても一条の奴、目の前の悪魔を見ても彼我の差がわからんのか。

 ゲームだと最強格のはずなんだがな。

 はあ……。


 それはさておき、ノイズの原因はこいつか。

 エルドラのセンサーを一瞬でもジャミングするとなると、かなり格の高い悪魔だな。


「ククク。どこへ行こうと、逃がさなイヨ」

「何?」


 悪魔の黒い顔にある真っ赤な目と口が、にやりと歪む。

 そのとき、ドーム状に覆っていた次元層が、天辺から下に向かって赤黒く変色していった。


「う、嘘でしょ!?」

「なんだこれは、どうなってんだ!?」

「どうして深淵から出られないんだよ!」


 後ろから、ポーターたちの怒声が届く。

 くそっ、出入りが封じられたか。


 基本的に深淵には自由に出入り出来る。

 だが、時々こうして次元層を遮断出来る悪魔が出現する。


 人に化けるタイプの悪魔で次元層を遮断出来るとなると、深度Ⅴのウツロビトか。

 こいつならサクッと倒す方法がある……が、今は〝あの方法〟は使えないか。


「くっそ面倒だな」


 毒づきながら、素早く魔弾を放つ。

 ウツロビトが手で軽々とはじき返した。


 小手先の技は通じない。

 レギオンに魔力を込め、初級魔法を展開。

 左右上下から、四属性の魔法を発動させる。


「遅イ遅イ」

「チッ!」


 ダンジョン地下四十階のモンスターなら確殺出来る連続魔法が、なんともあっさり避けられた。

 これはレギオンのせいじゃなく、俺自身の魔法展開速度がトロすぎるせいだな。


 ウツロビトからの反撃。

 伸びる手、先が鋭く尖る。

 スウェーで躱すが、


「足下がお留守だヨ」





~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~




TIPS

・ウツロビト

 深度Ⅴの悪魔。食らった相手に擬態するスキルを持つ。そのため、この悪魔と戦う場合は成りすましに十分気をつけなければならない。


 近接戦闘を得意としており、身体能力が非常に高い。位階Ⅴのハンターでも攻撃が直撃すると一撃で瀕死に追い込まれかねないほどだ。

 さらに体が伸縮自在であるため、間合いが測りづらい。

 非常に厄介な悪魔だ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ