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滅亡国家のラグナテア ~リアルがゲームに入れ替ったけどデータ引き継ぎで現代無双~  作者: 萩鵜アキ


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第18話 じゃんじゃん勧誘するべし

「あ、あの、颯。私たちをダンジョンに連れて行って欲しいのだ」

「白河くん、お願いします!」

「ええと……?」


 学校に行くと、エマと萌木が一緒に頭を下げてきた。


「一体どうしたの?」

「それはその……、学友の中でも親や知り合いのハンターに、ダンジョンに連れて行った方たちが増えていてな……」

「早くダンジョンに行かないと行き遅れちゃうんじゃないかって!」


 ふぅん。

 この世界だと、ダンジョン初体験は早めに済ませておこうって価値観なのか。


「やはり、本物のダンジョンの空気に触れてこそ、大人足りえるからな」

「でもこの前、学校のダンジョンに潜ったばっかりだよな?」

「強い魔物が間引かれた上、極力安全に配慮されたダンジョンを、本物と言うのは無理があるのだ」


 たしかに。


「ちなみに、どうして俺なの? エマのツテがあれば、わりと簡単で安全にダンジョンに行けると思うだけど」

「それが、なかなかお父様の許可が得られなくてな」

「……大事にされてるんだな」


 箱入り娘め。

 こういうところは前の世界線と同じなんだな。


 あまりに大切にされすぎたせいで、高校じゃ親に反発して髪の毛金髪に染めてたけど。

 この世界ではわりと素直なのは何で……あー、カネの違いか?

 世知辛いな。


「颯のように強いハンターがいれば、本物のダンジョンでも安心なのだが」

「うんうん。白河くん、お願いします!」

「そう、だなあ……」


 これは、わりと大チャンスでは?

 エマの戦闘力はよくわからんが、萌木はゲームじゃ人権キャラだった。

 他のクランに横取りされるまえに確保しておきたい。


「わかった。それじゃあ放課後、ダンジョンに行くか」

「宜しく頼む!」

「ありがとうございます!」




 放課後に二人を連れて、まずは学校近くのビルに向かう。


「ここは何なのだ?」

「見ればわかる」


 扉を開き――汗だくになった上半身裸の男がこちらを見て――閉める。


「…………」

「颯は私たちに、一体なにを〝わからせ〟たいのだ?」


 エマの鋭い視線が突き刺さる。

 いや待って、これには事情が――い、痛い痛い、肩パンはおやめください。


「ちょ、ちょっとタンマ!」


 二人を待たせて、急ぎ中へ。

 近くにあったタオルを半裸の男――千葉レオンに投げ渡す。


「おい、ここで鍛えていいって言ったが、脱いでいいとは言ってないぞ」

「汗でシャツが汚れんだよ。それにここには男しかいねぇし、いいだろ」

「良くねえよ。今、クラスの女子が来てんだ。一旦中に入れたいからシャツを着てくれ」

「む……わ、わかった」


 レオンがちゃんとシャツを着てから、再度扉を開く。

 これで帰ってたらどうしよう、なんて思ったけど二人はちゃんと向こうで待っててくれた。


「お、おまたせ」

「一体、あれは何だったのだ」

「気にするな、ただの筋肉馬鹿だ。もう大丈夫だから中に入ってくれ」

「ああ、それじゃあ失礼するぞ」

「おじゃましまーす」


 おっかなびっくり中に入る。

 そりゃ、中に半裸の男がいたらこうなるわ。


「ああ、千葉くんか。もう復調したのか?」

「ん、西園寺か。別に、体調は悪くねぇよ」

「む? そうだったのだな。ところで、何故ここに……というか、ここは何なのだ?」

「おい白河、何も説明してねぇのかよ」

「どうせならここで説明しようかと思ってな」


 二人をソファに薦める。


「エマの疑問に対する答えだが、ここはクランハウスだ」

「クランハウス……。颯は、どこかのクランに所属したのか?」

「いいや。俺のクランだ」

「…………すまない、もう一度教えて欲しい」

「俺のクランだ。ちなみに名前は【ラグナテア】だ」

「な――ッ!?」

「ええっ! 白河くん、クランを立ち上げたんですか!?」

「そうだ」

「えっ、すごい! 立ち上げはいつですか? メンバーは? 申請はもう通ったっていうことですか? これってもしかして、クラン設立新記録じゃないですか!?」


 萌木が早口で連続質問。

 目が回りそう。


「ええと、立ち上げたのは先週だな。メンバーは俺と安達、大斗、それにレオンだ」

「えっ、千葉くんもなんですか?」

「ああ」

「……良いのか? 父上とは別のクランに入っても」

「いいんだよ」

「ふむ」

「ちなみに申請はもう通ってる。クラン設立新記録かどうかは知らん」


 そもそも、興味がない。

 そんな記録は何の役にも立たないからな。


「それで、このフロアをクランハウスとして借りてる。レオンが半裸だったのは、ここでトレーニングしてたからだな」

「な、なるほど。そうだったのだな」

「あれ? でも、千葉くんって大剣使いでしたっけ?」

「いや。元は鉄拳だが、大剣に変えた」


 レオンの表情が曇った。

 もっと早いうちから大剣に才能があると知りたかったとでも言いたげだ。


「二人は一体いつ仲良くなったのだ?」

「別に仲良くはない」

「別に仲良くねぇよ」


 くそっ、声がハモった。

 おいレオン、渋柿食ったみたいな顔すんな。


「何故、千葉くんを誘ったのだ?」

「才能があったからだ。ちなみにこの先しばらくは、磨けば光る才能があれば、手当たり次第声をかけるつもりだ」

「そうなのだな」

「ってわけで、お二方――俺のクランに入らない?」

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