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22 訓練がはじまった

 見習い騎士としての訓練がついにはじまった。


 とはいっても午前中は、学校みたいに教室にすわって、歴史や数学、国語などを学ぶことになっていた。

 体だけでなく、頭も鍛えさせ、礼儀作法も教えるのが、オーストルの騎士団の方針だった。


 メガネをかけた教官が、見習い騎士たちにこの国の成り立ちなどを教えていく。


「ゴルムス、寝ちゃだめだよ」


 フィーはじと目になりながら、隣の席のゴルムスの頬をつねった。

 授業開始、10分と経たず机の上につっぷしたからだ。


「邪魔をすんな……ヒース……。俺はこんなもんしらん……。退屈でかなわん……。寝る……」

「だめだよ。イオールたいちょーが、騎士ならばちゃんと国の歴史も学んでおけっていってたよ」

「おまえはいつもイオールイオールイオールたいちょーたいちょーたいちょーうるせぇなぁ」

「たいちょーのいうことに間違いはない!」

「こら、お前声がでかいぞ……!」


「ヒースくん、ゴルムスくん、静かに!」

「ごめんなさい」

「すいません……」


 結局、ふたりして教官に怒られた。


「ゴルムスのせいだ……」

「お前がピーチクパーチクわめくからだろ……」


 フィーとゴルムスは、隣の席で小声で文句を言い合う。


 午前の時間において、フィーとゴルムスは隣の席になってしまった。

 フィーは体がちいさくて、ゴルムスは体が大きいので、となりに座らせるとちょうどいい感じになってしまったからだ。


 それとふたりは知らないが、フィーがゴルムスを怖がらず話しかける数少ない生徒の一人だというのもある。

 やっぱりあれだけ体が大きくて強面のゴルムスは、見習い騎士の間でも怖れられる存在なのだ。


「あとでノートみせてくれよ、ヒース」

「もう、自分でとりなよ」


 ゴルムスと遠慮なく言葉をかわすフィーを、スラッドたちはどきどきしながら見守ってた。


「ゴルムスの頬つねってるぞ。よくあんなことできるな」

「うん……、ヒースくんすごい……」


 のちにまわりの反応をしって、フィーはこう思うのだった。


(たしかに口は悪いし、乱暴なところはあるけど、そんなに怖くないのにな。

 でも、わたしも最初は、すごく性格が悪い奴だと思ってたし一緒かぁ……)


 と。

 なんだかんだ、自分も含め、みんないろいろ誤解をし合いながら生きてるのだと思った。


 そして午後からは訓練だった。


「うおっしゃああああああ!ようやく訓練だぜ!」


 ゴルムスは喜んでいたが、フィーは燃えていた!


(よし、やるぞ!ぜったいにすぐにみんなに追いついてやる!)


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