167
フィーは第18騎士隊の集会所に、スキップしながら向かった。
「ヒースです。今日帰りましたー!」
誰かいるのかなぁと飛び込んでみると、オールブルさんとコンラッドさんがいた。
『おかえりなさい』
オールブルが紙に書いた文字で、笑顔で迎えてくれる。
「ただいまです」
フィーも笑顔で挨拶をした。
そしてコンラッドの方はというと。
「おかえりなさい、ヒースちゃん。お茶の準備ができたわよ」
すでにいつも通りとなった女装姿で、すでにお茶を淹れおわっていた。
コンラッドとフィーがよく座るテーブルには、すでにお茶を淹れおわったフィーのティーカップとコンラッドのティーカップが並べてある。
「なんで今来たばっかりなのに、準備ができてるんですか……」
そもそもここにも帰ってきたばかりなのに。
「秘密よ」
にっこりと笑ってコンラッドはそう言った。
それを見て、フィーも気にしても無駄だと悟った。
「休みはどうだった?」
テーブルに座ったコンラッドが、頬杖をついてフィーに尋ねる。
「はい、楽しかったです」
フィーはお茶を飲みながら、笑顔で答える。
「あの、クーイヌって子と二人っきりで行ったのよね」
コンラッドは少しじっとみるような視線で、いつもより低めの声で、フィーの目を見ながら聞いた。
「変なことはなかったの?」
「変なこと? ああ、人攫いに襲われました!」
休日にまで、不法者に襲われるなんて変なめぐり合わせもあるもんだ。
フィーはそのことを思い出すと、くすくすと笑いながら言った。
しかし、コンラッドはまるで間違った答えをだした生徒に相対する先生のように、やれやれと首を振った。
「はぁ……、いろいろ教えてあげてるのに、肝心の中身のほうがぜんぜんだめねぇ」
「なにがですか?」
フィーはそのリアクションに首をかしげる。
「そういえば、クロウさんはどうしたんですか?」
フィーはきょろきょろと集会所を探した。
よくこの集会所にもいるのだけど、今日は来てないらしい。
「さぁ、どこかほっつきあるいてるんじゃない?」
コンラッドの答えは興味がなさげだった。
「そうですか~」
また騎士隊の手伝いにでもいってるのか、それとも別に任務をしているのか、またはどこかで女の子をナンパしてるのか。
お茶を飲みながらそんなことを考えていると。
「言っとくけど、あの男はオススメしないわよ」
「はい?」
コンラッドにそう言われて、フィーは首をかしげた。
「外見や態度は大人になっても、本質的には子供なのよ。それでもなまじっか能力が優秀だから、いろんなことがうまくこなせる。ああいうタイプは、人生の大切な場面でいつか痛い目をみるわ」
コンラッドはどこか達観した表情でそう言った。
フィーは眉をさげながら、首をかしげる。
「コンラッドさんって、クロウさんのこと嫌いなんですか?」
「そうねぇ……。相性はあんまりよくないかもね……」
そういえばクロウもコンラッドのことを「なんか苦手だ」と言ってた。
どうやらあんまりお互いに、相性はよくないらしい。
それからフィーはオールブルの手伝いをし、工房に行ってガルージに会い、弓術の訓練所でパルウィックに会い、それから北の宿舎にもどった。
明日からは新しい学期がはじまる。
最後開き直って学期と言ってしまいました。いい言葉が見つからない……。
短めでごめんなさい。少しづつまた話を動かしていけたらと思います。
活動報告にてキャラクターラフを公開させていただいてます。
更新してない日もやってるので、騎士隊の男の子たち、フィールとリネットのラフの分。そして今日の分も更新しましたよ!
よかったらみてくださいね!




