表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/205

16 見習い騎士になりました

 第18騎士隊が集まる倉庫をでたフィーは、見習い騎士たちが生活する宿舎に向かった。


 宿舎は計4つあり、オーストルの広い王城の各所に存在する。


 オーストルでは、見習い騎士はずっと騎士たちに付きっ切りというわけではなく、宿舎に学校のように集められ、教官に基礎的な訓練や勉強を教わることになっている。

 これもロイがおこなった改革のひとつだった。


 この訓練は月曜日から木曜日までおこなわれ、金曜日、土曜日は自分の所属する騎士隊で指導をうけたり、簡単な任務に参加させてもらったりできる。

 日曜日は休みだった。


 とはいっても、まだ試験がおこなわれたばかりで、宿舎で生活の準備をはじめるための期間として、一週間の間は訓練の予定もなかった。

 見習い騎士も全員が宿舎に入っているというわけでもない。

 貴族出身の人間は準備に時間がかかったりするし、家族などにしばらくの別れを告げなければならないものもいる。


 逆にフィーみたいに帰る場所がなかったりするものは、はやばやと宿舎にはいったりする。


 フィーが入ることになった北の見習い騎士の宿舎は、青い屋根と木造の落ち着いた雰囲気の建物だった。

 フィーはクロウに渡された紙にかかれた番号の部屋へと向かう。


 2階の窓際の部屋。部屋自体はとても狭いものだったけど、フィーとしては満足だった。

 だってどんなに狭くても外にでられるのだ。門を通れば、お城の外にだっていける。


 特に荷物はないので、ガルージにもらった剣だけを大事において、フィーは適当にくつろいでいた。

 すると、コンコンとノックする音がする。


「はい~」

「お、やっぱりいた。入っていいか?」

「うん、いいよ」


 扉の向こうから聞こえてきたのは、若い少年の声だった。

 フィーはたぶん同じ見習い騎士だと検討をつける。


 カチャっと扉があくと、三人の少年が部屋にはいってきた。


 茶色い髪をつんつんと立てた活発そうな少年。

 ふわふわとやわらかそうなクリーム色の髪をしたやさしげな少年。

 黒い前髪を片方だけたらしたすらりと背の高い少年。


 部屋にはいってくると、三人は驚いた顔をした。


「え……?子ども!?」

「なんで、こんな小さな子が」

「こんな子どもが、見習い騎士……?」


 三人の反応にフィーはちょっとむすっとした。


「失礼な。たぶん君たちとほぼ同じ年だよ。こう見えても16歳だ」


 フィーはこう見えてもしっかりと結婚できる年齢なのだ。

 実際、不本意ながら結婚してしまったし。


 そもそも同年代の少年と比べるからやたらと小さく見えるだけで、同じ女子の平均からすると少し……、まあそれぐらい小さいぐらいだ……。

 ……10cmも差はない。


 ちなみに妹のフィールは平均ぐらいの身長だが、すらーっとしてて美人のせいか高く見られていた。


「げっ、同い年か」

「僕も同い年」

「俺はひとつ下だ……」


 どうやら背の高い少年以外は、同年代だったらしい。

 三人の少年は素直にごめんと謝ってくる。


「まあ、いいよ。それで何のようだい?」


 まあこれから仲間として一緒にやっていくのだ。フィーだって、事を荒立てる気はない。すぐに許した。

 というか、仲良くしていきたいと思っていた。


「ああ、部屋が近いから挨拶しておこうと思ってさ。俺はちょうど隣の部屋」

「僕は向かいの部屋だよ」

「俺は斜め向かい」

 相手も同じ気持ちだったらしい。

 声をかけにきてくれたようだった。


 ちなみにこの宿舎は、見習い騎士ひとりひとりに部屋をあたえるためか、部屋同士の距離はかなり近い。

 フィーとしてはありがたいことだった。二人一部屋や四人一部屋だと大変だ。

 なんてたって男装しているのだから……。


「まあ近くの部屋になったのも何かの縁だ。これから仲良くしようぜ」

 茶色い髪の活発そうな少年が言う。

 フィーとしてはぜんぜん構わない。


「うん、こっちこそ歓迎だよ。僕はヒース。よろしくね」

 フィーは微笑んで自己紹介をする。

 

「俺はスラッド。よろしくな!」

 茶色い髪の少年が手を上げる。

「僕はレーミエ。よろしくね」

 大人しそうなクリーム色の髪の少年が微笑んだ。

「俺はギース。よろしく」

 片方の前髪をたらした黒髪の少年は、手首をちょこんとあげるとそう挨拶した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ