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「あらまあ、坊ちゃまのお友達ですか」

「ヒースといいます。しばらくお世話になります」


 カサンドラがにこにこ顔で帰宅したクーイヌと一緒にやってきたフィーを迎えると、フィーは礼儀正しくぺこりと頭を下げた。

 その礼儀正しい仕草にカサンドラはまた破顔した。


「休みの間はうちに滞在してもらうことになったから」

「承知いたしました」


 そういうクーイヌにカサンドラがうやうやしく頷きかけたが―――。

 あっと思い出したように顔をあげ、困った顔をした。


「そういえば客室の寝具が壊れたままでした。ずいぶんと長いこと使っていませんでしたから」

「あ、突然来てしまったせいですいません」

「いいえ、私たちの準備不足でした。申し訳ありません。でもどうしましょうか」


 フィーとカサンドラはお互いに謝罪する。まあ、てっきり来ないと思い込んでしまったクーイヌにも原因はあったのだが……。


 カサンドラたちは決してさぼっていたわけではない。

 領地が田舎にあり、まだ年端もいかない少年が後を継ぎ、その後継ぎもなかなか屋敷にいない。そんな状態だったクーイヌの家を訪れる客人と言うのはまったくいなかった。

 現状、クーイヌの家には大きな収入の当てが無い。

 親世代の貯蓄があるから決して貧乏ではないが、そんな状況のためにカサンドラたちも最小限の出費で屋敷を運用するようにしてくれていた。

 貴族の客人というのは来るときにかならず先触れがあるものだ。そのときにあらためて準備すればいいと思っていたのだろう。


(俺がソファに寝れば大丈夫だけど、ヒースは断るだろうし、カサンドラとベンノも首を振るだろうな。でも、ヒースをそんな場所に寝かせるわけにはいかないし、カサンドラもベンノももう歳だ。なんとか三人を説得してソファに寝よう)


クーイヌがそんなことを考えていると、フィーがとんでもないことを言った。


「僕とクーイヌが一緒に寝るから大丈夫です」

「ええ!?」


 クーイヌが素っ頓狂な声をあげる。

 しかし、フィーはにこにことクーイヌの方を見上げ。


「ね、大丈夫だよね」


 と言った。

 何が大丈夫なのかわからない。


「まあ、仲がよろしいことで」


 カサンドラが孫を見るような目で、にこにこと二人を見つめて笑った。


「え、いや、ちょっと、ヒース」

「荷物を置きたいのでクーイヌの部屋に案内してくれますか?」

「ええ、こちらでございます。荷物お持ちしましょうか?」

「大丈夫です」


 顔を真っ赤にして懸命にフィーに何か言おうとするクーイヌを置いて、フィーがつかつかと屋敷に入っていく。

遅い上に短い更新ですいません。なんとかペースだけは取り戻したいと思います。

またたくさんのアイディアありがとうございます! とりあえず次回からはみなさんのアイディアを取り入れたりそのまんま書いたりしていきながら二人の休日を書いていきたいです。

師匠&弟子たちは登場させる予定はなかったのですがちょっと挑戦してみようkなあって思ってます。

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