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ジャガイモ農家の村娘、剣神と謳われるまで。  作者: 有郷 葉


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69 トレミナ先生、パンで買収される

 私は全学年で実技の指導員をすることになった。

 つまり、下級生達の監督もするということ。下級生と言ってもほとんどが年上なんだけど……。

 今更ながら、コーネガルデ学園入学者の平均年齢は十四歳くらいらしい。

 九歳で入学した私はかなり早い方になる。でも、最年少ではないよ。いくら私でもそんなに記録づくめじゃない。最年少の人は八歳で入学し、十二歳で騎士になったんだって。騎士記録の方、塗り変えてしまって申し訳ない限りだ。


 入学したばかりの年上の一年生達も、私が指導側にいることに当初は驚いていたけど、すぐに慣れてくれた。

 年下の私が言うことをちゃんと聞いてくれるかな、と思っていたら案外大丈夫だったよ。ナンバーズの看板が役立ったから。

 ……役立ちすぎたと言うべきかな。


「トレミナ先生! その歳で騎士団の五位ってすごすぎです!」

「どうやって守護神獣二頭を倒したんですか!」

「そんなに小さいのになんて強さ!」

「小さくてどんぐりみたいで可愛い!」


 先生をどんぐり呼ばわりすることは許しませんよ。

 こんな雰囲気だけど一応尊敬はしてくれているようなので、授業はまじめに受けてくれる。皆、素直でいい子達だ。ほとんどが年上なんだけど。

 私も皆のために一生懸命……、また来た。


 グラウンドを横切って茶髪のヤンキーが駆けてくる。


「おーい! トレミナ先生! アタシとも手合わせしてくれよ!」


 エレオラさん、自分のクラスに、というより自分の学年に戻ってください。

 彼女は欲望に正直で、強くなることに貪欲だ。私に稽古をつけてほしいと、しょっちゅう授業を抜け出してくる。

 何だか、昔やたらと私になついてきた野良犬を思い出すよ。

 しょうがない、一回だけ相手してあげますから、それで帰ってくださいね。


「四年の学年一位を子分にするなんて! さすがトレミナ先生だわ!」

「学園一の悪を手なずけるなんて! トレミナ先生すげー!」


 はい、皆さん、静粛に。手なずけるとかまるで犬みたいじゃないですか。エレオラさんに失礼ですよ。


 手合わせを終えた彼女は、しぶしぶ元の場所へ戻っていく。

 何か思いついたようにくるりと振り返った。


「いつも世話になってる礼がしたいし、今日はうちに寄ってくれよ。親父がパン焼くからさ」


 あなたのお父さん、パンは毎日焼いてるでしょ。パン屋なんですから。

 放課後、思いっ切り打ち合いがしたい、と顔に書いてありますよ。

 でも伺います。

 久々にあのポテトサラダサンドウィッチが食べたくなってきた。

 決してパンで買収されたわけじゃないよ。


 というわけで、学校帰りにパン工房エレオラへ。

 このお店、実はカフェが併設されていて、焼きたてパンと一緒にコーヒーや紅茶を楽しめる。私は利用したことないけど、今日はそこでいただこうかな。

 と店内に入ると見知った顔が。


 テーブルに山の如くパンを積み上げたチェルシャさんがいた。

 ……何かの選手権ですか?


「トレミナ、なぜここに」

「パンを食べに来ただけですよ。チェルシャさんもでしょ?」

「その通り。けど食べたいものはパン以外にもある」

「何ですか?」

「あそこにいるあれ」


 そう彼女が視線で指した先には、同じようなパンの山。

 テーブルについているのはリズテレス姫だ。

 まさか姫様もあんなに食べるの? と近付いてみると、パン山の向こうにもう一人いた。

 うーん、どこかで見た覚えのある少女だけど……。

 あ、狼達と一緒にいたドラゴン、の人型。

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