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26話 サリュを探す

 サリュが初めて、私に感謝の言葉をくれた。

 すごくない?

 あの場でデレくる必要ある?

 あまりの浄化作業に疲れが出て頭働かなかったんじゃないの?


「エクラ、悠長な事言ってられないよ?」

「分かってる」


 シュリのツッコミの通り。

 ちょっと現実逃避してた。

 てか、声に出てたのはさすがに恥ずかしい。


「移動先はおおよそ東南東か……かなり端っこまできたな」


 独特の湿度と暑さ、見慣れない南国植物。なんだもうここリゾートで来るとこだよ。


「シュリとトレゾールだけでもいてよかったよ」


 転移の魔法は成功したけど、途中ばらけたらしい。

 確実に一緒だったのは、二人。

 他は見渡す限りは見つかってない。


「どうする?」

「探すよ、かならず」


 転移の魔法を再展開する。

 私の精霊だ、繋がりはまだある以上、そこを辿るしかない。


「まずはメゾン」


 私の力を近くで受けないと消滅の恐れがあるのはメゾンだ。早い方がいいだろう。

 幸い、繋ぎがあるから一番探しやすかった。挙げ句すぐ傍にいた。

 砂に埋まっていたけど。


「格好悪いな……」

「イケメンは何してもイケメンだから大丈夫!」


 砂の中から足だけ出てたのを引っこ抜けば、力の減少からか、がたいのいいイケメンから可愛いさ残る幼児になっていた。フォンちゃんと並べて写真撮りたいなあ。


「これ以上は縮む事はないと思うけど、何かおかしな感じしたら言ってね?」

「ああ、わかった」


 包容力割り増しイケメン、ただし幼児。反則でしかない。


「エクラ」

「はい、すみません」


 シュリが窘めるように名前を呼ぶ。

 そうだ、今の私には時間がおしいんだった。


「他の子も探す」

「そーそー、たまには真面目にね」


 そこからは簡単だった。

 私の精霊である繋がりから探すのに加え、この前渡したブルートパーズのおかげで辿りやすい。

 私の力を追うだけ、しかもそこまで距離は離れてなかったから、転移の魔法でこちらに呼び寄せる、つまるとこ召喚してしまえば早かった。

 声をかければ、すぐに気づいて手を伸ばしてくれる。


「ふむ、割とイージーゲーム」

「よかったー! いきなり虎の上に落ちるんだもん」

「ごめんね」


 虎もびっくりですな。美少女落ちてくるなら大歓迎だけど。

 皆ときゃっきゃして再会を喜ぶも、どうしても見つからないのが一人。


「サリュが全く辿れない……」

「ネックレスはつけてたよ?」

「なんでだろ……」


 よりにもよって最大級のデレをかました後に行方掴めずとかなんなの。

 瘴気を浄化した以上、私との繋がりは出来ている。辿れないわけないはずだ。


「主人、オンブルさんから報が」

「なんて?」


 さすが仕事の早いオンブル。

 私が転移したことも承知の上で新しい屋敷を与えられた。

 東の端っこ。かつて島国だったものが長い年月をかけて大陸と繋がった場所。

 ありがたいことに前よりもさらに魔が少ない場所だ。


「ひとまずそっちに行こう。メゾンのこともあるし」


 大聖女が用意した移動用魔法陣を使って移動。

 見てすぐに御先祖様の故郷だとわかった。いや故郷というのかな? 転移先というべき?

 ともあれ、前の屋敷とは全然違う趣のものをあてられた。


「メゾン、どう?」

「うん、全く問題ないよ。ここにいた僕は当時の主と一緒に逝ったようだね」


 極端に魔がいない場所は、いつしか聖女の役目を終える者か、見習い待機場所になるかのどちらかだ。

 メゾンの口ぶりからして、前任者は前者である役目を終える者で、その聖女とともにいた精霊も一緒にいなくなったのだろう。


「ひとまず結界しこうか。皆は休んでていいよー」

「エクラはどうするの?」

「サリュを探すよ」


 趣のある庭、サンルームのかわりに縁側とは情緒がある。

 御先祖様喜びそうだなあ。都会住みだったけど、実家はこんな場所だったはず。


「エクラ」

「おっと」


 庭に出ようとしてふらついてしまった。

 シュリが察して素早く支えてくれたけど、これはいけない。

 転移の魔法を使いすぎてる。


「使いすぎたね?」


 しかも結界を作り直して、皆の傷を治した。普段の力の使い方を考えたらオーバーワーク気味だ。


「前の屋敷の結界解いたら?」

「それは魔を完全に浄化出来てからだよ」


 今私達がいないあの屋敷はおそらく大聖女が空間遮断した挙げ句、他の聖女を投入して殲滅戦を繰り広げているはずだ。

 さっきのオンブルからの報告に前の屋敷については何も書かれていなかった。

 つまり、あの場所でまだ動いている。

 私の結界を解いても問題はないだろうけど、駆けつけた聖女達と内側の外周に控えている新人聖女が万全を期するためにも、もう少し維持したほうがいいだろう。


「ではオンブルさんにすぐに確認します」

「ありがと、ヴァン」


 しっかり所に任せれば問題ない。

 皆を探して丸一日以上かかって、次の日の夜がきていた。日が暮れて夜の帳がおりてきている。

 あ、あれか時差? いやこの世界時差あったっけ?


「夕餉食べてからにするかい?」

「いや、このままサリュを探す」


 早い方がいい。

 そしてご飯は皆で食べる、これだ。


「俺達も手伝おう」

「オール?」

「いいねえ! このままじゃ飯がうまくねえし」

「旦那の言う通りだな」


 ひょいひょい庭に出てくる皆。


「縁側にでも控えるか?」

「そうだな、近くにいりゃいいだろ」

「みんな……」


 精霊の力を使うというのはなくはない。

 特に聖女に成り立ての素人は力配分を違えてオーバーワークになることは多々ある。

 そういう時は精霊の力を借りて自身の体力回復をすることもあるから。

 それにしたって、うちの子達なんでこんなに優しいかな、震える。


「じゃあラスト気張ってみますか」

たくさんの小説の中からお読み頂きありがとうございます。


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