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18話 大聖女、ご対面

「オンブル」


 発表の後、馴染み深い親族が声をかけてきた、

 なんともひどい顔をしている。私とは逆ベクトルで。


「色々ありがとね」

「ああ、大丈夫だ。区切りは大体ついてる」

「優秀だね」


 顔のひどいオンブルを見て、見かねたシュリが顔をのぞかせた。


「でも寝てないよね? クマひどいし、大丈夫?」

「シュリエさん、大丈夫です。最近ですと、睡眠一時間はとれてます」

「それは寝てると言わない」 


 相変わらず社畜してるな。かなりのブラックじゃん。


「で、どうしたの?」

「大聖女様の元へ案内するよう言われてる」

「あ、そっか」


 オンブルに連れられて進むのはサンクチュエールの中で一番大きい屋敷だ。

 屋敷と言いつつも城だけど。


「大聖女様は比較的スムーズだったんだが、熟練聖女達が粘ってな」

「ああ、あのへん師匠のファン多いしね」

「サリュークレさんを前にして申し訳ない」

「構いません、続けて下さい」


 サリュも気になるのだろうか、それにしても比較的穏やかめにオンブルに対応してる様よ。

 営業ですか、それともデレですか。デレは私にお願いします。


「サリュークレさんを浄化すべきという考えがなかなか消えなかった」


 それは今でも同じだろう。黙っただけで大人しくなるはずがない。


「大人しくするまで大変だったね」

「大聖女様のおかげだな」

「大聖女様?」

「大聖女様がその手の考えだった聖女達を集めて、話し合って納得してもらえた。勿論、ある程度の枷は設けたが」


 それが側付にしろだの、残存瘴気の報告だのになるわけか。

 にしても大聖女が認めて、他聖女たちを説得するとはなんだろう。

 あれだけの書類のやり取りがあったものだから、てっきり大聖女も問題視してると思っていたのに。


「着いたな。ここからはエクラとサリュークレさんだけだ」

「オッケー、皆待ってて」


 軽いノリで応える皆をしり目に奥へ進んだ。

 通された部屋は、割とこじんまりしていて、天井があいてガラス張りになっていた。

 星がよく見えそう。

 その空が見える丸くあいた天井を囲う形で四方に椅子を構える大聖女四人。


「エクラ・ヴェリテだね」

「はい」

「水の精霊、サリュークレ」

「はい」


 大聖女達は大きなローブを着てフードで顔が隠れている。

 いつものことだ。まあ正式に聖女になった時もここに来たし、声で区別はつく。


「お前達が二人並んで揃う日がついに来たか」

「ん?」

「割と時間がかかったね」

「そうだね。前は鍵が正しく出なかったからね」


 勝手に話が進んでるけど、内容がわからない。

 私なんかよりもよっぽど個性的だよ、大聖女達。


「あの」

「どうした」

「何か御用があって呼びだされたのではなく?」

「お前の使う言葉で言うなら、今日の呼び出しはただのパフォーマンスだよ」

「そうですか」


 熟練聖女達に向けたパフォーマンス。

 反対派の為にお小言言った風にするということか。


「お前の危惧するハラスメントはないね」

「うわ、私の脳内見えてますね」

「熟練聖女は皆、先も踏まえて色々見せた。ある程度の事は課すが、基本的には皆現状を許している」

「え?」

「熟練聖女はそれでよしとしても、見習いかお前と同等の聖女の為にも、ある程度しておくにこしたことはない」


 てか私大した返事してないのに、頭の中で考えた事に対して返事されてる。

 脳内丸見えじゃん。


「人の頭の中覗いたまま、勝手に会話進めないで下さいよ」

「……ギフトによく似たね」

「ギフト?」


 てか私より余程大聖女達の方が電波じゃん。

 私が引かれるいわれはないぞ、皆大聖女達と話してみればいいのに。そう機会ないけど。


「じゃあ、帰ってもいいですか?」

「主」

「サリュ、いいじゃん。さっさと帰ってお茶しよ、まったりしよ」

「貴方って人は……」


 この場にしては軽すぎる態度だったらしい。呆れられた。

 ここに入っただけで任務は完遂しただろうし、帰ってもいいと思うけど。

 あ、あれか、時間をかけて説教されてる感を出した方がいいのか。


「水の精霊はそういう意味で言っていないさ」

「え、そうなんですか」


 一人の大聖女がくつくつ笑っている。

 そっか、私の脳内もさながら、サリュの脳内も見えてるのか。


「まあ我々がしいて言うなら、水の精霊の瘴気は完全に浄化しておきなさいと言ったところかな?」

「ああ、後正式にエクラ・ヴェリテの精霊として認めるという事も伝えておかないとね」

「聖女達の要望もだ。相応の罰をと主張するものもいた。遠征という形で沿岸の魔討伐という話があったろう」


 なるほど、少しはミッションありか。

 けどそんなに難しくない。それに私の精霊として認めてくれるならよしだ。


「それは私の判断で遂行すればいいですか?」

「ああ、遠征の件はいくらかこちらで決めさせてもらうが」

「まあ日取りは兎も角として、人員配置は私が決めていいですね?」

「主、」

「好きにするがいい」


 何か言おうとしたサリュを遮って大聖女が了承を出した。


「サリュ、一人で行こうとか思った?」

「……はい」

「いくらサリュがチートだからってそれはだめ」

「しかし」


 言いたい事は分かる。

 示しがつかないとでも言うんだろう。

 やたら殺してほしいと願っていた死にたがりだし。

 この中二め、そればかりは許せないぞ。


「サリュはもう私の精霊だから、無理な事はさせないよ。私の元にいる精霊はとびきり大事にするって決めてるから」

「主……」


 譲らない。

 私は私の大事な人達との楽しい生活の為に生きている。

 だから例え名目が罰であろうが示しを見せる事だろうが、一人では背負わせない。

たくさんの小説の中からお読み頂きありがとうございます。


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