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3.名付け

(それにしても全員美人だな)


 全員がフードを外した今、皆の顔がよく見える。


 1人目は、紫髪の縦ロールの髪型をしているお嬢様っぽい見た目をしている少女。歳は俺と近そうだ。


 2人目は、明るい茶髪のツインテールの髪型をしている元気そうな少女。恐らく中学生くらいだろうか。


 3人目は、黒髪ロングの清楚な少女。誰からでも好かれるようなタイプに見える。生徒会長とかやってそう。


 最後に4人目は、金髪ポニーテールで耳には色々なピアスを付けている少女。この子は多分ギャルだ。


 とまあ、今いるメンバーはこんなところか。

 この4人に義妹の琴音を加えた5人。


 再び琴音に視線を戻す。

 やはり、何も言ってこない。

 いつもなら視線を向けただけで「何見てんだよキモッ」とか言われるはずなんだけど。


 やはり何かがおかしい。

 一体どういうつもりだ義妹よ。


 そんなことは今は置いといて、彼女たちの呼び名を決めるべきだよな。

 陰の組織なのだから、本名で呼び合うわけにもいかないだろう。


 シンプルでカッコいい呼び方をしたいんだよな。

 俺が頬をさすりながら考え込んでいると、黒髪ロングの子が不思議そうに声を掛けてくる。


「どうかなさいましたか主様あるじさま

「いや、みんなの呼び方をどうしようかと思ってな」

「あ、申し訳ありません。そういえばまだ名前を名乗っていませんでしたね!」

「いや、本名を知る必要はないと思っている」

「え、それではどのように呼ぶのですか?」


 この子たちは今までは本名で呼び合っていたのかもしれない。だが、本名での呼び合いはこれからはやめた方がいいだろう。

 そのせいでプライベートな時間にもなんらかの邪魔をしようとしてくる悪人も出てくるかもしれないからな。


 その点、本名とは別の名前を用意しておけば、組織での活動をしているときの名前とプライベート時の名前が違うことによってプライベートな時間ではより安全に生活できるだろう。


 つまりは、彼女たちの為にも呼び名は変えるべきなのだ。

 さて、どう呼ぼうか。


 シンプルでカッコいい……。

 よし、ギリシャ語の数字とかどうだろうか。

 俺はギリシャ語の0(ゼロ)で『《《ミデン》》』と名乗ろう。


 そして、彼女たち5人は組織の精鋭、つまり幹部的存在。彼女たちには1~5の数字を与えよう。

 だが、一つだけ男性っぽい読み方の数字がある。それは数字の2である。ギリシャ語ではディオと読むのだ。それだとどうしても男っぽく聞こえる。

 なので、少しだけ読み方を返させてもらう。

 2で『ディオン』と読むことにする。


「俺とお前たちの新しい名を決めた」

「主様直々に私たちに名をくださるのですか!」

「ああ、お前たちの主として当然だ」

「「「ありがとうございます!!!」」」


 皆今にも額を地面につけそうな勢いで感謝の言葉を言いながら頭を下げた。


「まずは俺の名だが、『ミデン』と名乗ろうと思う」

「主様に相応しいお名前だと思います!」


 1という数字は、幹部の中でもトップの者に託したいよな。

 5人の顔を1人ずつ見る。

 すると、琴音が目をキラキラさせながらこちらを見つめている。


 仕方ない。

 琴音を幹部のトップにするか。

 琴音以外を選んだせいで今まで以上に罵声を浴びさせられたくないしな。


「まずはお前だ」

「はいっ!」


 琴音が勢い良く立ち上がる。


「お前には『エナ』という名を与えよう」

「ありがとうございます!」


 どうやら新しい名を気に入ってくれたようだ。


「次に紫髪の」

「はいっ! ですわ!」


 やっぱりお嬢様か、この子。


「お前には『ディオン』という名を与えよう」

「最高の贈り物ですわ主様っ、いえ、これからはミデン様でしたわね」

「気に入ってくれて何よりだ」


 続けて名を与えていく。


「次はツインテールのお前だ」

「は~いっ!」


 本当に元気な子だな。


「お前には『トリア』という名を与える」

「とっても可愛くて気に入りました! ありがとうミデンお兄ちゃんっ!」

「っ!?」


 トリアは突然俺のことをお兄ちゃんと呼び始めた。

 それにしてもなんという破壊力。

 この子、組織でも妹キャラ的な立ち位置なんだろうな。


 う、それにしても琴音……いや、エナからの視線が痛い。

 さっさと次に移ろう。


「次は黒髪のお前だ」

「はい、ミデン様」


 この子は立ち上がらずにずっと片膝を付いている。

 忠誠心を凄い感じる。


「お前には『テセラ』という名を与える」

「新しい名前気に入りました。私に合う、いえ、私にしか似合わない名前だと思います」

「そうか。気に入ったなら良かった」


 この名前は誰にも渡さないという意思を感じた。


「最後はアタシだよねっ! ミデン様っ」

「あ、ああ、そうだな」


 さすがギャル。他の4人とは違って俺が呼ぶ前に自ら立ち上がった。

 太陽のように眩しい笑顔を見せている。

 普段の俺なら関わることのないタイプの人だ。


 だからこそ、この組織で行動する間は出来る限り親交を深めたいと思う!

 なぜなら、きっとオタクに優しいギャルは実在すると信じているからだぁ!


 とまあ、冗談は置いといて、名を与えなくては。


「最後の君には『ペンデ』という名を与える」

「うーん、可愛くなくない?」

「え、そうか?」


 5人目にして初めて、付けた名を拒否られた。結構可愛いと思ったんだけどなぁ。

 まあ、本人が気に入らないのなら仕方ない。

 別の名前かー。

 ペンデがダメなら、何が良いんだろう。


 ぺ、ぺ、ぺ……ペティとか?

 ちょっとは可愛くなっただろ。

 ペンデから残ったの『ぺ』だけじゃねえか。


「ペティとかどうだ?」

「ふふっ、だいぶ可愛くなったね! 猫っぽいしこれでオッケーにしとく~」


 俺は安堵し、胸をなでおろした。

 2度も拒否られたら流石にへこむからね。


「今いるみんなの呼び名も決まったな。今日名前を与えたお前たちをこの組織の幹部とする」

「「「はっ!」」」


 こうして俺は自身と幹部の5人を名付け終えた。



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