85話 カヌーだね
カイセン村は網に追い込んでみんなで漁をするんだって。船があったんだね。
「ワレ、向こうから魚を追い込んでくるの、やりたい」
とのことで、船を出してみんなで網を大きく広げて待機してるのだ。
んで、ゴンはタカシに乗って沿岸に飛んでいった。…自力でも行けるよね。
まあ、タカシが楽しそうだからいいけど。
私はみんなの漁を見ながら、岸でシャークと釣りしてる。
「あんなかわいい子じゃあ、魚は逃げてこんわな」
「まあまあ、今月取らんなん分の魚は兄ちゃんと姉ちゃんが取ってくれたで、付き合ってやらんかさ」
村の人たち、網持ってほんわか船番してる。
「なんじゃな、あっちで白波立っとるぞ」
「魚が飛んどるな」
「何があったんけ、こっちにくるようだ」
海の向こうがザワザワしてる。
「おいおい、ありゃサメーラの群れでないか?」
「やべーだ。逃げろ」
村の人たち慌てて岸の方に逃げだした。
「網でもどっちでもいいだで、みんな逃げろ!」
サメーラは5ミートル超えの人喰い魔魚らしい。
駅員、いっせいに船を漕ぎ出した。
カヌー大会みたい。
あ、トーンマたちの船だけクルクル回ってるよ。
サメーラが迫ってきてるよ!私の出番かな?私の出番だよね!
弓矢のお尻に釣り糸つけてトーンマの船にめがけて弓を引く。
えい!
ガツンと船首に刺さった。船に弓矢埋まった。よっし。
さあ、引っ張って、カイ!
うおりゃああ、と糸を引き寄せたらトーンマたち船ごと飛んでった。
あ、船壊れちゃわないように結界、結界。
ありゃ、トーンマたちに結界間に合わなかった、やばっ。
サメーラに襲われるのと、砂浜に叩きつけられるのとどっちがマシだったかな〜って?
サメーラに噛まれた方がよかったかもね、なんて言っちゃだめだよ。し~っ。
ゴメンゴメン、治療治療っと。
海の向こうから、ドラゴン形態ゴンドラやってきた。
…もうダメだ。サメーラだけでなくて、ドラゴンまでおる。
村の人たちなんか言ってるな。
カイが岸のところで剣を構えて、サメーラが口広げて飛んでくるのを軽くなぎ払ってる。
私は切られたサメーラをリュックに入れては出してを繰り返す。
あれからリュックの容量が増えたから、サメーラ3匹くらいなら入るんじゃないかな?
解体されたサメーラの身だけ、海岸に並べていくよ〜。
サメーラだけでも23匹。他にもいろいろ並んでる。
んで、地面に頭つけて土下座りながら拝んでる村の人も、ズラッと並んでる。
カイとゴン、いろいろやりすぎちゃったもんね。




