80話 シッテタカ?
線路は続くよ〜ってね。
実は、箱車の自転車バージョンができあがったのだ。
オマル号っていうの。
池でカップルが一緒に漕ぎ漕ぎすると別れちゃうっていう、いわくつきのアレをイメージしてください。
内側をまわる箱車が腕でギコギコするタイプで、外側をまわる箱車が足で漕ぎ漕ぎするタイプになる予定。
なんでも、上半身と下半身の両方を鍛えないといけないらしい。
1駅の区間を行ったり来たりする人員配置にして、両方鍛えるんだとか。
好きにすればいいと思うよ、うん。
魔石使って負荷を減らして、楽に進めるようにしてあげようと思ったら、抗議されました。なんで?
んで、次の駅で10駅目。100キリミートルがんばったよ!
でもメニュー先生が言うに5000キリミートルくらいあるらしい。
…無理じゃね?
1周線とか無理じゃね?500駅とか、普通の人に作れないでしょ?
…普通の人間ですけど、なにか?
線路だけなら2年くらいあれば作れるかもしれないけど、駅がなかったら線路なんてあんまり意味がないよね。
いっそのこと、一生のお仕事と思って楽しもうと思います。
記念の10駅目はどんなとこかな〜。
いつも通り駅を作ってたら、真っ白の鷹みたいなのが集まってきた。
シッタカっていう魔物らしい。この辺りには人はいないのかもしれない。
『あの子はリーナに興味があるみたい』
ジェリーにはそう見えるのかな?
「そうなの?」
『呼んでみる〜?』
え〜と、おいで?とかこっちくる?とか?
そう思ってたら1羽こっちにやってきた。
鷹より1回り大きく感じる、真っ白な鳥だね。恐る恐るなでなでする。魔力が抜ける感覚がしたと思ったら、シッタカ大きくなった。私の背丈くらいあるんじゃない?
結界あるから大丈夫だってわかってても、ちょっとコワイよね。
『リーナのこと乗せて飛んでくれるって』
お、そういえばこっちって飛行機みたいなのないね。
「乗っていいの?」
『乗って、乗って』
背中のところにコブみたいのがあってフカフカしてる。なんか妙に人を乗せるのに適してる感じがする。
けどよく考えたら私、ジェットコースターとかダメな人だったよ。動き出したシッタカにしがみついて目をぎゅっと閉じる。
ぶわっと浮遊感があったと思ったけど、すぐに動いてる感じがなくなった。あれ?
こわごわ目を開けると、空中でシッタカ止まってる。
『リーナ、大丈夫?』
ジェリーがプルプル揺れながら聞いてくる。
「大丈夫みたい」
高いところから見る景色がちょっとコワいけど。
『僕に名前つけてくれる?』
シッタカ、ジェリーの時みたいだね。ん~、白い鷹だし
「タカシ?」
『僕、タカシ!よろしくね、リーナ』
…なんか日本人みたいな名前になっちゃった。




