102話 カオス橋
ヤマノナカ村にはクズ魔石がたくさんあったんだよ。
毎年魔物狩りしないといけない村だったんだもんね。
で、橋の歩道部分を魔石ガラスで作ってみた。
下が透けて見えて楽しいよね!
「いや、俺たちは怖いっすけどね」
「またまた~。なかなか川の流れを見ながら歩くなんてできないよ。楽しまなくっちゃ」
「いや、怖くないっすか?アレ」
あえて見ないようにしてるの!
アレとはつまりアレだよアレ。
橋の高さ15ミートル。
車道の幅8ミートルと線路の幅9ミートル。その部分は普通の不透明床ね。
そして、歩道の幅3ミートル。その部分は透明床。
魔魚のジャンプ力、およそ13ミートル。ときどき最高ジャンプ到達点17ミートル。
アレ、なんていう魔魚か知らないけど、赤い目でこっち見ながらむき出しトンガリ牙でジャンプしてくるんだよ。
透明床のところに立ってると、私たち目指してジャンプしてくるんだよ。
ときどきガツって透明床に激突してるんだよ。
カオスな橋、建設しちゃったわ〜。
ってみんなで遠い目してたのに
「いや~、しかしいい橋ですよね」
って。
な、なんで?ブレンダ?魔魚がとんでくるんだよ。
「クロコダーツなんて、あの尖った牙で突っ込んでくるから危険だけど、身と皮は高値で売れるんですもん」
へ~、あの魔魚、クロコダーツっていうんだ。
「ぶつかったクロコダーツが気絶してるうちに引き上げればいいだけなんて、なんてラクチンな漁なのかしら」
ほくほくしてるのはわかるけど、笑いながら気絶してるクロコダーツの首落とすの怖いです、姉さん。
橋から身を乗り出して、気絶したクロコダーツに大きな鈎をひっかけて引き上げる。
身を乗り出している人めがけて、またクロコダーツジャンプする。
床にぶつかって気絶する。鈎ひっかけて引き上げる。ジャンプする。引き上げる。ジャンプする…
ヤマノナカ村の人達の根性すげーって言えばいいのか、クロコダーツてアホな子って思えばいいのか、悩む。
ていうか、クロコダーツいたのによく無事に橋の建設できたね。
ゴンのおかげ…なのかな。
だってほら、あっちからゴンがドラゴン形態でやってくるよ。
クロコダーツ逃げてきてるね。
ゴンのことコワイんだろうね。
で、この橋でエサみつけた〜ってなってるのかな?
…このカオス橋、ゴンのせいなんじゃない?
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