最終話 神話から未来へ
その後の話である。まぁちゃんとラーマ少年はそれぞれの世界へと戻りしばらく別れる事になる。けれど2人にはまだタップリと時間があるのだ。急ぐ事は無い。いずれ再び出会うだろう。その時はまた新しい冒険が始まるのかもしれない。
魔人達は神の居ない新世界へと舞い降りた。そこで平和な世を築こうと奮闘中である。一度高まった戦いに激る血は静まるのに時間がかかるようだ。しばらくは争いが続きそうだが自然豊かな環境で心を清めれば再び彼らは本来の姿を取り戻すだろう。ラヴァクシャは魔王の座を降りて現在はシュルパナカーが女王を務めている。彼女ならきっと素晴らしい世を創ってくれるだろう。
破壊神はあの戦いで力の殆どを失った。現在療養中である。彼は世界への干渉をやめて現在神界の何処かでノンビリと過ごしているという。そんな困った神からようやく解放された英雄ハヌマーンはそれまでの記憶が無いらしく、相変わらず素っ頓狂なことを言う。けれど今も元気で霊峰ラヤカーンを治める王としての役目を全うし続けている。
フェヌクシスは彼の故郷に帰った。もう一度、一族を最初から立て直すと彼は言う。ケジメのために亡くなった一族全ての墓を建て、その前で手を合わせる。中心には骨格だけになったガルーダを祀る。もうピクリとも動かなくなったがそれでも立派に国の行く末を見守ってくれるだろう。
そして共和国ではラーマとバンサとカルシャが新しく建てた新居で家族団欒の時間を過ごす。朝食を済ませて着なれない正装をパンパンの筋肉で張り詰めながらバンサは愚痴をこぼす。
「少し小さく無いか?」
「大丈夫よ。これでシャッキリスマートに見えるんだから」
カルシャはその肩にのった糸屑をパッと手で払い「よし!いいわね」と誇らしげに微笑んだ。バンサは長い奮闘の末、初代大統領となる。今日はその記念すべき就任演説の日であった。
「父さん頑張ってね」
「あぁ、勿論だよラーマ」
父は国を背負って立つ漢の背中を家族に見せ「行ってくる」と言って勝負に出掛けるのであった。
一方、地球の坂井家とそのお隣さんには警察関係者とマスコミが押し押せていた。約一年間行方不明になった坂井ショウタロウくんとその弟リョウスケくん。そして最初に居なくなった中田マリちゃんが突如警察署に出頭する形で現れたのだ。けれど詳しい事情は明かされる事なく。犯人は見つからぬまま未解決事件として闇に葬られた。
坂井家は感動の再会に涙を流した。「ありがとうございます…合わせてくれてありがとうございます…」と母親が2人の男の子を抱きしめて家族4人で泣き腫らすシーンがお茶の間に映る。それを観た人々は涙腺を崩壊させる。そんな感動の出来事として世間の話題になった。
けれど中田家のまぁちゃんだけは上の空。両親は同じように涙を流して喜んだがまだ5歳と言う事で精神的に不安定なのだろうと一時入院する事になる。それから現在では嘘のように元気であった。
最後にシータのその後を覗く。そこは静かな田舎の麦畑。もうすぐ収穫どきで太陽の光と風を受けて黄金の絨毯のように揺らめいている。それを眺める美しい褐色の女性が椅子に座り寛いでいる。髪はすっかり伸びてお腹は随分と大きい。そのお腹を優しく撫でる姿はもう既に母親の顔をしていた。
すると突然、強い突風が吹いた。麦畑は一瞬にして刈り取られ、代わりに畑のど真ん中には巨大な麦わらロールが聳え立つ。そこに小麦がパンパンに詰まったこれも巨大な袋を抱えた逞しい男が立っていた。
「今年も!いっぱい採れたぞー!!」
そう叫んで袋を見せつける。シータはそんな彼に笑顔で手を振った。麦畑と同じような黄金の髪を風で揺らし太陽のような笑顔を見せる。一つになったショウタロウとリョウスケはいつまでも幸せに暮らすだろう。
それぞれがそれぞれの未来を掴んだ。これがこの物語の結末である。
おわり
如何でしたでしょうか?私としてはとても良いラストが描けたと思います。しかしここまでの道のりで、わかりにくい文章や難解な表現が多々あったと思います。申し訳ないです。そんな中でも最後までお読みいただきありがとうございました。大変感謝しています。これからも一生懸命、皆さんの心に響く作品を追求し続けます。どうぞ応援のほどよろしくお願いします。
貴方の夢も叶いますように。
喜郎サ




