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兄弟が行く 〜異世界へ幼馴染を救い出せ〜  作者: 喜郎サ
最終章 ランカー島編 後編
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第七十二話 兄弟は新世界をプレゼントする

最後までお付き合いいただき誠にありがとうございます。作者としてはとても良い作品が出来たと思っています。神話を題材にした物語を書くのはとても楽しく、同時に苦しいものがありました。これがラストスパートです。どうぞ最後までお楽しみ下さい。


少年は何処からともなく純白の衣を引っ張り出してその身に軽やかに纏う。金色に輝く髪は人々の暗い影を明るく照らし夢と希望を与えるだろう。ただただ前向きにより良き未来のために兄弟は先へ進む。


「さぁ行こう。皆を幸せにする為に」


仲間全員に声を掛け一足先に歩き出す。その背中に全知全能の神の姿を見た。そんな彼らは迷いも何もかもを力に変えて立ち上がる。


この瞬間、何かが変わった。地上がどれほどの地獄絵図に成り果ててもこの少年ならきっとやり遂げる。そう確信出来るほどに力強さが溢れていた。


「待って、ショウタロウ!リョウスケ!」


シータが走って兄弟の元まで追い付いた。その腕に手を回し、もう置いていかれないように寄り添う。


「何が起きても一緒だからね」


「あぁ。みんな幸せにする。君もだシータ」


彼女の半分ほどの身長差で可愛い弟のような関係性に見える。そんな2人のやり取りを後ろで眺めながら他の4人はその背中について行く。


「いつもああなのか?」


シュルパナカーがフェヌクシスに聞く。けれど彼は言葉で返事はせず。眉を吊り上げる事で呆れるさまを表現した。


そのさらに背後を子供達が付いてくる。まぁちゃんは状況を理解しないまま流れに身を任せている。ラーマもその幼さにしては上手く対応しているように見える。けれど内心はハラハラどきどきであった。この夢のような経験が後に2人を冒険の世界に駆り立てる事になるのは、また別の物語。今回ばかりは主役の晴れ舞台にスポットライトを当てたいと思う。そして兄弟は思い出したかのように振り向いた。


「ラーマくん。君にはとても感謝している。そして、まぁちゃん。その手の感触をずっと忘れないでいて欲しい。君を本当に守りきった勇気の証明だ」


子供達はその時にはあまり理解することが出来なかった。けれどいつかわかる時が来る。


兄弟はこの姿になってからというもの世の理が手に取るようにわかる。これが神の観ている世界だったのかと思う。そして誰かに無理矢理与えられる知識ではなく自ら世界にアクセスできる。彼はこちらに向かう2人の男を情報としてキャッチし、その終着点で待ち構えた。


「お久しぶりです。その節はお世話になりました」


超高速で降りてきた昇降装置にくたくたのバンサとジャミルが乗っている。彼らは地獄を味わった。中の手すりはひん曲がり、事の壮絶さを想像させる。


そしてようやく解放されたかと思うと目の前に神々しい少年と尻尾の生えた裸猿の娘が待ち構えている。見知らぬ2人だ。それが頭を下げてお久しぶりと来た。しかしその背後にいる子供を目にするとバンサは我を忘れて駆け出した。


「ラーマァ!!ラーマ!」


ふらつくを無理矢理動かして、その子の元へ急ぐ。そしておい被さるようにして抱きしめた。


「もう離さないぞ!!何処へも連れていかせはしない。愛してる!ラーマ!良かったぁ…無事で…」


「父さん…。会いたかったよぉ!!」


抱き合う親子2人。ラーマに張り詰めていたモノが解れ、枯れたはずの涙は心の底からもう一度湧き出た。


そんなシーンを観てシュルパナカーはそっぽを向いて顔を隠した。隣のフェヌクシスはそれを面白がって揶揄う。


「アンタまさか泣いてんのか?」


彼女は「うるさい」と一言で済ました。そして此処からは最後のシナリオだ。神だけが持つ運命を操り引き寄せる力。それを今使う手はないだろう。もはやこのゲームはチェックメイトである。


「今すぐに茶番(神話)を終わらせてやる」


兄弟とその仲間3人は感動の再会を最後まで見届ける事なく「後はよろしくお願いします!」と言って熊の獣人2人と子供達を置いて地上へと向かう。


超高速で上昇する勢いのまま4人は空へと飛び上がった。その先に力と力をぶつけて歪み合う2人の男を確認する。けれど彼らへの接近を阻止するかのように生き残った神の子が妨害をしに此方へと降りてくる。


「頼んだ!!」


「「了解」」


仲間がそれらを食い止める。その間を縫って兄弟は激突する破壊神と魔王に挟まれる形でお互いの神器を掴み取った。


「「何?!」」


同じような驚き方を見せた2人は武器を掴まれたまま最後の一撃を解き放つ。一方はインドラの矢、もう一方は神の雷を。それはバットタイミングであり、ベストタイミングでもあった。兄弟は世界を滅ぼすその力をあえて自分の身に受けた。視界が真っ白に染まるほどの光熱が空間に満たされる。けれどそれは瞬時に混ざり合って別の何かに変わる。


「これは貰っていきまーす!!」


その何かを掴んだまま兄弟は奪い去る。状況をようやく飲み込んだ2人のラスボスは彼も神の一柱である事に気付いた。けれど力を使い果たした今のスピードでは追いつくことが出来ない。


欲しいものだけを手に入れて逃げ去るその先に未だ膨張を続けるブラフマーの肉があった。無差別になんでも飲み込むその触手が兄弟へと伸びるが必要最低限の軌道修正だけでスルスルと避けていく。そしてその中に何かを入れ込んだ。


すると混沌の海は光に包まれて無量大数の触手達がボロボロと崩れて消える。そこに残ったのは光る球。運命を引き寄せて地下に避難していた魔人達が一斉に地上に上がる。球はその勢いのまま彼らを問答無用で飲み込んだ。


そして少しづつ小さくなる。シュルパナカーは抑え込んでいた神の子を明後日の方向にぶん投げて意気消沈する兄に元へと急いで向かう。その手を掴み連れて行く。


「ほら行くぞバカ兄貴!」


「何が起きているんだ」


彼女は答えない。その話は向こうの世界でタップリと聞かせるつもりだ。兄弟と通り過ぎる途中で「ありがとう」と一言だけ言って消えゆく光のなかへ入っていく。そして完全に消失した。


魔人達は新世界へと旅立ったのだ。

これにて本編は完結です。しかし最終話は次回。登場人物達のその後を描き、神話を終わらせたいと思います。

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