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兄弟が行く 〜異世界へ幼馴染を救い出せ〜  作者: 喜郎サ
最終章 ランカー島編 後編
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第七十一話 兄弟は神になる


神話は私達にとって神々の歴史を描いた一つの物語だろうか。それはそうとも言い切れない。人の世というのは過去に巻き起こった歴史の事実を権力者の名の下に取捨選択を行い。都合の良い真実だけを書き記したモノ。


故に暮らしの在り方が変われば宗教も変わる。人々が抱く神への理想像も新しい時代と共に移り変わり、昨日までの最高神は今日にはその中の一柱になる。そして人類から最も支持を得た神だけが最高神足りえるのだ。宗教とはそういうものだ。神話は時の権力者がその信者へと向けた応援PRのようなものだと考える事もできるだろう。


しかし、もしもだ。もしも本当に神が実在するならば、初めからそうなる様にシナリオを組まれていたならば、人々が崇拝する最高神の座が移り変わると同時に神々の世界でも覇権の失墜と新たなる支配者が台頭する事実があったならば、それは権力者が書き換えさせた様に見えているだけで、高次元の世界観では未来へのプロセスがその真実よりも先に書き換えられたと考えることは出来ないだろうか。


そしてそのんな覇権争いに疲れた神もきっと居ると思う。かつて人気を博した創造神ブラフマーはその競争に敗れた。けれど隠居生活をするにしても邪神と罵られる世の中は風当たりが強い。何処に逃げても同じであった。


敗者にも夢はある。誰にも邪魔をされない安息の地で楽しい日々を以前の様にもう一度過ごしたいと願う細やかな夢が。


それを叶える可能性が1パーセントでもあったならば、そこを目指さずには居られないのである。たとえこの身が滅びようともだ。


(ようこそ。神々の世界へ)


何処からともなく声が聴こえる。5つの魂が2つの巨大な魂を囲むようにしてそこにいる。この場所を具体的に説明できる言語は存在しない。人類が逆立ちをしても到達できない領域である。人のレベルに合わせて言葉を見繕うならばここは宇宙である。宇宙ほど謎に包まれた言葉は存在しないからだ。そして中心で衝突を繰り返す2つの光と闇の魂はショウタロウとリョウスケである。


兄弟はお互いを傷つけるためにそんな事を続けているのではない。二人は心から一つになろうとしているのだ。けれど交わることが出来ないのだ。一方は破壊神の神力を宿し、もう一方は創造神の神力を宿す。その膨大なエネルギー量はその他の魂の小ささと比べても歴然だ。もはや神の領域に達している。


それが何を意味するのかこれまでの彼らの苦労の日々を知っている者に説明は要らない。そして2人は最も可能性に近い存在である。


創造と破壊と再生。力の全てが交わりしとき。全知全能に相応しい神の力が発現される。それはオリジンの複製であった。どんなに上手く似せてもコピーは所詮コピーだ。シュルパナカーがその事実を痛いほど知っている。彼女が神々の管理する名簿に載っていないイレギュラーであるのは複製されたコピーであるからだ。以前と少し違う個性を持っているのもその時に発生した情報の欠落によるものだ。


故に完全なオリジンの複製は世界すらも神々の干渉を得ずに新しい世界を創造する唯一の方法であった。


(どうか、この兄弟を一つにする為に力を貸してはくれぬだろうか)


ブラフマーは5つの魂に問いかけた。そしてそのうちの1つの魂は言い終わるのを待たずして闇の魂の背後に周り推し始めた。続けてもう一つが光の魂の方へと周り推していく。すると弾けあっていたのが止まり少しだけ重なる。それを観て迷っていた残り二つも双方に加勢する。さらに重なる。


けれど一つだけ迷いが晴れない魂がそこに残った。いったい何をすれば良いのか。何のためにやるのか。理解が出来ない。そう言わんばかりである。それを見兼ねた幼い魂が迎えにいく。小さな手と手が繋がったかのように寄り添い連れて行く。


そして全ての力が合わさり闇と光の魂がギリギリのところまで重なった。けれどあと少し足りないのである。


(ありがとう。後は任せなさい)


ブラフマーが己自らを圧縮して推し切ろうとする。この空間そのものが神の器であった。そしてそれが無理矢理にも狭まった事でようやく二つが一つになる。途端にそれは膨張して全てを飲み込んだ。そして彼らは目を覚ます。


「はっ!どうなった!?」


起き上がったフェヌクシスが取り乱して周りを見渡す。他の5人は皆無事で同じようなリアクションをしていた。


ただ1人だけ、水晶のあった場所に生まれたままの姿で佇んでいる。髪を金色に輝かせそれは見知らぬ子供。そこにショウタロウとリョウスケの面影がある。けれど混ざっているというより似ていると言う印象だ。そしてその少年は口を開く。


「準備は整った」


それは世界を救う。と言う意味だ。もはや誰も彼を止めることは出来ない。しかしそこに恐怖を抱くことはない。何故なら彼ほど生きとし生ける全てに救いを与えたいと願う者は居ないのだから。

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