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兄弟が行く 〜異世界へ幼馴染を救い出せ〜  作者: 喜郎サ
最終章 ランカー島編 後編
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第六十九話 兄弟は実験体に志願する


全ての世界が、人々が、神すらも救われる最適解。そんなものが存在するならば我々にはもう物語は必要ないだろう。魔人達を救えば、現人類は不幸になり。救わなければ彼らは不幸のままだ。兄弟は考えた。納得できなければ先へは進めないと。


ラーマと言う少年。自分達よりも1歳年上だが、純粋さを失わない尊い命だ。彼は兄弟の代わりにまぁちゃんの支えとなり、同じ哀しみを知る良き理解者だ。そんな彼も幸せになるべきである。見捨てる事は出来ない。もう幼馴染を救うことだけが目標では無くなっていた。


この世界を救う。何と無謀な挑戦だろう。けれど今ならわかる。それは勝手な思い込みなのかもしれない。けれど創造神と破壊神の双方を介して得た力はきっとより良い未来を導く力になるだろう。兄弟は再び仲間と手をとった。


「ショウタロウ、リョウスケごめん…」


「すまん、俺からも謝罪する。アレはとんでもないものだ。世界は狂っている」


シータとフェヌクシスは目を覚まし自分達が背負わされていた力の本質を知った。神を侮ってはならない。心酔してもいけない。大事なのは丁度いい距離感を保つ事だ。その方法を知らぬ者は程の良いカモである。


世界中の全人類に、宗教に対するリテラシーを向上ささせるには荷が重い。けれど命運を一人で背負う必要はない。ここにいるメンバー全員で成し遂げるのだ。今こそ神話に終止符を打つのだ。


そこから人類は本当の意味で混沌の海を泳ぐことになるだろう。けれどそれは神によって定められた未来ではなく。人々が掴み取った自由選択がそこにある。納得できなければやり直すことが出来る。そのために人は死に新しい世代が未来を変え続けるのだから。


そして現代を変える力は我らにある。迷いは仲間と共に解決する。進むのだ。コツコツと積み上げてきたモノを決して無駄にしないために。


「私にいい案がある。聞いてくれるかな?」


シュルパナカーがそう言う。彼女はもう仲間だ。心のどこかで疑っていないと言えば嘘になる。けれどまぁちゃんを悲しませるような事はしないと、それだけは確信を持てた。


「良いだろう。聞かせてくれ」


シータもフェヌクシスもそれに賛同する。その背後でラーマも聞き耳を立てた。


「世界を渡る方法は私が完成させた。それは我ら魔人の蓄積した技術の推を結集させたモノだ。以前は手段が二つあった…」


代々引き継がれて来たこの技術を完成させたかったその目的は、魔人に再び安息の日々を取り戻す。その一点に集約される。それを達成させるための手段は二つある。一つは現在、始まってしまった世界を台無しにするプロジェクトである。そして失われたもう一つの可能性。


「私はお前達の世界に一族全員で移住しよと考えていた。だが知っての通りどんな世界にも神がいるのだ…」


温めていた案はボツとなり、夢も希望もない投げやりな出口戦略だけが最適解のように輝き始めたのだ。それは自殺と同じ。けれど台無しとは幸福から見た不幸であり、逆の立場から観れば違った印象を受けてしまうのである。そして彼女もその一人だ。そして今、その頭脳に僅かな希望と閃きが生まれる。そして言った。


「…私の実験体になってくれるか?試したい事がある」


これ程に身の毛もよだつセリフが他に有るだろうか。一瞬の間が開き唾をゴクリと飲み込んで、兄弟は返事をした。


「…良いだろう。たいした事ない」


シータとフェヌクシスの視線が突き刺さる。「マジか」と言う眼差しだ。実験体は兄弟だけではない。シュルパナカーをも含む神と繋がりを持ったこの場にいる全員だ。


その頃、地上へと高速移動する昇降装置に一人の男と複数の女性が乗っていた。目指す先は一世一代のクライマックス。盛り上がりが最高潮に達したとき、人はスターの登場を期待する。そんなタイミングを狙ったのは己が一番その大役に相応しいと確信しているからだ。


「わぁー!ハハハハハ!!」


魔王を魔王垂らしめるその悪の大笑いは、スピーカーで増幅されたかのようにどこまでも広く響く。彼はこの時を待ち望んでいた。世界の終焉を飾るに相応しい悪の象徴。魔王ラヴァクシャは最後の大舞台をさらにヒートアップさせる。


「我は魔王ラヴァクシャ!世界を統べる覇者の中の覇者である!!全人類に告ぐ!お前達は今日で終わりだ!!!」


魔王はオキニの娘達を抱き寄せてその身に吸収する。すると六本の腕一つずつに黄金に輝く神器が握られた。その全てが最強。神の力を宿す大業物だ。その切っ先が英雄ハヌマーンに向けられる。


しかしその様子はおかしかった。猿神の王は宙に浮いたまま動く事なくただ項垂れている。まるで通信の切れたラジコンのようだ。そして途端に黄金のオーラを纏い出した。その額には第三の眼が覚醒している。けれど今までとは絶対的に違う。それは切り札。複製されたレプリカではなく。破壊神がその額には宿していたという三つ目の眼。そのオリジンそのものであった。

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