表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
兄弟が行く 〜異世界へ幼馴染を救い出せ〜  作者: 喜郎サ
第五章 ランカー島編 前編
58/73

第五十八話 兄弟と決着のシュルパナカー

申し訳ないです。予約投稿時間の設定ミスで一日ズレてしまいました。また継続して毎日更新を目指します。

ということで23日は2話投稿になります。59話は17時ごろに投稿します。


貴方に兄弟姉妹が居て一人っ子でなければ、ある程度は理解できるかも知れない。特に弟という立場においては共感できる範囲が多いだろう。


弟の前には兄や姉がいる。いつだって先を行くその存在は越えなければならない壁であり、困った時には危険から身を守ってくれる盾のような存在だった。その行動の全てがキラキラと輝いて魅力的に思えた。彼や彼女が何かをやればその真似をせずには居られないのだ。何故なら世界で一番のファンは自分だったから。


そして一生懸命に頑張る姿も親にコテンパンに叱られている姿も見飽きるほど近くで観てきた。自分を最も成長させてくれたのは、親や学校の先生だっただろうか。いや違う。幼き日を思い出して欲しい。思い出せないだろう。だが断言する。それは兄や姉であったはずだ。それは全てにおいて身近なお手本だったし、反面教師だったはずだ。更に言えば良きライバルでもあった。


けれど小学生になり中学生になり、段々と大人に近づくにつれ出来ることの差はさほど変わらなくなる。そして記憶は時間と共に薄れゆくのだ。いつまでも仲の良い兄弟もいればその逆も然り。いずれ誰かの親になって上の子と下の子のやり取りを観てふと思い出すだろう。私もこんな感じだったかも知れないと。


一緒に遊んで、はしゃいで転げ回り。体の彼方此方にたんこぶを作って、喧嘩して仲直りして、沢山の大切な思い出を作るのだ。けれどやはり忘れてしまう。だからその僅か5年ほどの間、兄弟というのは最高のパートナーであり、何処までも同じ時間軸を生きる運命共同体。つまり一心同体なのだ。


故に弟であるリョウスケは兄ショウタロウの頑張る姿を誇らしく思う。勇気を振り絞ってここまで来れたのは間違いなく兄の存在が大きい。今日が彼らのピークである。明日はその上限を更に超えるだろう。お互いに相乗効果をもたらし何処までも力を振るうのだ。今となっては神ですら2人の成長の速さに振り落とされた。


それを抑え込もうとする心理は体制を維持し権力をいつまでも奮い続けたい暴君の考えに同じ。いつの時代も愚かな君主の足元を掬うのは最も近くで活躍した信頼を寄せる部下であった。その定番が神の世界でも起きないはずがない。何故なら人類とは信仰によって長い間、神の教えを説き続け学んできたのだ。子は親の背中を見て育つ。神と人はそう言った関係性なのだ。


だからリョウスケは兄の判断を常に見る。それを眼に焼き付ける。彼の背中に自分のあるべき姿を重ねた。床をぶち破りさらに下層に降り立った2人を待ち構えていたのは、忘れもしない。闇の魔女シュルパナカーだ。ここで会ったが100年目。漂う雰囲気は決着。勝敗は生と死を意味する。この女との出会いが正に自分達のターニングポイントだ。そんな彼女を殺したのは神の意志。けれど今は違う。殺すも生かすも兄弟の決断に他ならないのだ。強制的にインストールされた知恵と知識で歪な成長を遂げた幼い精神。兄は6歳で弟は4歳だ。


そんな2人はこの女を殺すのか。果たして排除すべき完全悪なのか。初めてそこに迷いが生じた。精神と思考が自由になった今、必ずしも魔人が悪だとは思えなくなったのだ。


「どうした?私を殺さないのか?一度殺したのだろう?私を」


シュルパナカーは第三の眼を開眼し、黄金の長髪を棚引かせながら木の枝のような神器をこちらに向ける。それが無限に分かれては成長し兄弟を蜂の巣にしようと絶え間なく襲う。けれどその一切が通用しない。神の力を借りただけの彼女の攻撃は真の神に到達したこの兄弟の敵ではなかった。


「お前には話がある。武器を置いてくれないか?」


お互いに宙を浮き声変わりをする前の子供の姿で発言されたその言葉には見た目によるギャップがあり違和感を感じる。そのふざけた雰囲気がむしろ強者の余裕を見せていた。


「私に丸腰になれと?面白い事を言う」


そう言いながらも攻撃は止まない。その行為自体が彼女のポーカーフェイスに隠された焦りそのものだ。ショウタロウはそこにある真実をどうしても見極めたい。


「わかった。お前の望みを言え。そのかわりお前ら魔人の真実を教えてくれないか?」


「我らが真実か…」


シュルパナカーは曖昧になった記憶の中で一際その輝きを無くさない確たるアイデンティティを呼び起こす。この世界は誰のものなのか。始まりこそがその全て、所詮、破壊神はその名の通り破壊を存在意義とした破壊と再生の化身なのだ。故に一から何かを生み出すことなど専門外である。


そしてその弱点を合理的に解消するならば、その標的は必然と世の創造に長けた創造神に向けられる。魔人達の故郷。暗くて明るい。冷たくて暖かい。矛盾する二つのものが対立する事なく混じり合って存在できる混沌の世界。そんな懐かしい完璧な世界を神の傲慢で壊し作り直した歴史。魔人だけが知るこの世の真実。シュルパナカーは喜んではなしてくれるだろう。


その時に兄弟がどんな反応を示すのか。見守る以外に私たちに選択はない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
↑↑↑★★★★★評価のほどよろしくお願いします。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ