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兄弟が行く 〜異世界へ幼馴染を救い出せ〜  作者: 喜郎サ
第四章 神の乗り物ガルーダ編
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第四十話 兄弟は乗り込む


僅かな月明かりに照らされてテラコッタ特有のの橙色と赤色の中間色。粘土質の巨大な人型の土偶。頭は鷹、身体は屈強な筋肉、腕は人、脚は鉤爪。そして体躯の4倍は有ろうかという立派な翼。けれども所々ひび割れて欠け落ちた欠損部が壮絶な過去を連想させる。それすらも芸術の域。神の乗り物ガルーダ。傷つきながらも未だその使命を忘れず堂々と立ち向かうその姿は、鞭打たれて幾つもの裂創を身に刻んだ鷹神の青年が抱える魂の叫びそのものだ。


今ここで何を言うべきかは重要ではない。行動で示すその行ないでのみ伝わる大事な想いがあるのだ。ショウタロウ達とフェヌクシスは全くもって初対面である。けれど自己紹介は目の前の試練が片付けば幾らでも出来る事だろう。そして身の上話に花を咲かせるのだ。4人はもう仲間である。同じ道を歩む同志としての志が彼らの眼を通して絆を確認する。それから語り合うのは後の話。


「ふぅー。お待たせさん」


鷹神の青年は荒い息を整えて不器用な笑顔で出迎えた。ショウタロウはまるでかつての友に再会したかのような素振りで「待たされさん」と言って遠慮なくその入口に入っていく。


「待て!!奴らを逃すな!!クッソォ!!」


地団駄を踏むジャタトリスを無視し、4人はガルーダに乗り込む。腕の中に続く通路は進む先を案内するかのように壁がネオン色に発光し順番に奥へと道標を照らす。通り過ぎた後ろはまた暗闇に包まれた。そうして胸の辺りに辿り着くとその中央に浮かぶ大きな心臓が脈打つのが見えた。空気が低周波の重い振動に揺れ動くそれに合わせて歓迎の言葉を表現した。


(神に選ばれし英傑たちよ。よくぞ集まった。心より歓迎する)


すると彼ら以外の視界全てが360度前面に外の景色を映し出す。そこは内側にして外界を体感できる未知のテクノロジーだ。それはまるで空中に立っているかのような感覚だ。見渡す限りの大自然がハッキリと視認できた。


そして鷹神が一族を挙げて建造した断崖絶壁に建てられた王国はどの国の様式にも当てはまらない独特のスタイルを確立していた。その一つに大きな風穴を開けられた大宮殿が見るにも無惨な破壊を受けた形跡がある。それはガルーダの持つ強大な力の片鱗である。けれど元は立派な建物だったその名残りだけは何とか残している。その穴からはウジャウジャと亡者となった鷹神達が現れて渇望するようにしてこちらを求め手を伸ばす。


一体また一体とそこから身を投げた。彼らは一度落ちてそこから風を摘み上空へと舞い上がった。その手に持つ薙刀の切っ先をこちらに向けて闘う気満々である。するとフェヌクシスはガルーダの心臓に手を当てて言った。


「お前達も力を貸してくれ」


敵は目前まで迫ろうとしている。黙って待つ必要もないだろう。迎え撃つのは万全を気するに越した事はない。頼まれた3人はお安い御用だと彼の真似をして見せた。ショウタロウとシータは「こうか?」と言って軽くそこに手を触れる。犬神リョウスケは少し苦労して慣れないながらも両後足で立った。そして何とかその大きな心臓にもたれ掛かる。少々キツイ体勢だが一生懸命に保つ。そして「こうかな?」と両前足で触れた。


「それで良い。いくぞ!」


フェヌクシスは気合いと共にそう言った。すると彼らの神力が膨大に注ぎ込まれて枯渇寸前のガルーダの燃料タンクがみるみると満たされていく。溢れ出る神聖なオーラで体躯が黄金に輝き始めた。まるで地上に太陽が舞い降りたような眩しさだ。敵の視界は真っ白に染められ身動きを封じられる。そして今一度落ち着くとそこには完全な姿のガルーダが仁王立ちで待ち構えている。それを観ていたジャタトリスが顔を真っ赤に染めて怒りを顕にする。彼の嫉妬心はもはや並の域を超えている。


「許さん!許さないぞ!!俺より目立ちやがって、俺より力を持つなど許されない事だぁ!!」


邪悪なオーラが錆び付いた鋏から無尽蔵に溢れ出る。ジャタトリスの理性は完全に食われた。彼もまた亡者の一員となる。もはや目の前の憎しみを晴らすだけの嫉妬の権化と化した彼はその鋏を自分の胸に突き刺す。するとプツリと電源が切れたかのように項垂れて騒がしさを失う。そして意識を取り戻すと凶悪に顔を歪めて高笑いを始めた。


「はっはっはははははは!!!」


ショウタロウはその違和感を瞬時に思い出す。間違いない。これはあの時。ブロディが怪物と融合し巨神となったかつての記憶が蘇る。そしてそれがどうなったか。言わずとも本人が答えるだろう。


「久しいな!再び会えて我は嬉しいぞ!!」


その正体は魔王ラヴァクシャ。彼は又もや人の体を乗っ取り、己は安全なところで踏ん反り返り、ショウタロウ達の邪魔をするべく立ち塞がるのであった。

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