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兄弟が行く 〜異世界へ幼馴染を救い出せ〜  作者: 喜郎サ
第四章 神の乗り物ガルーダ編
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第三十六話 兄弟は怒った


暗黒の地に隠されし神の乗り物ガルーダの伝説。それ自体を疑う余地はない。だがそれを守る使命を賜ったはずの鷹神一族は関わりをこちらから拒否したいと思えるほどに排他的で激しい自尊心に裏付けられた醜い矜持に溺れる愚者ばかりの集団であった。


けれど幾らいけ好かない人物だったとしても暴力で訴えかけるのは良くない。極力穏便に済ますそうと努力はして見たものの彼らは忘れることの出来ない悪夢を体験した事だろう。正直、血生臭い聞き込みに嫌気が差した。けれど結果はショウタロウ達を大きく失望させるのに十分な恥知らずの姿を見せた。何故なら誰一人としてガルーダの存在を知らず。自分達は神に選ばれし特別な民である事を最大のアイデンティティとしていた。故に実物を見たと主張する者は一人としていない。彼らの王サムパーティでさえ確かな情報を持たないのである。


ショウタロウの額にある第三の眼はこの小さな王国を次の目的地と定めていた。にも関わらず、いざ案内されると途端に反応を弱めたのだ。まるで手違いがあったかのようなそんな違和感だった。


「この国やっぱりおかしいよ。目的は同じはずなのにこんなのあんまりだよ。感じ悪すぎ!!」


シータが彼らと接触した時の第一印象を思い出して、その時の違和感を口にした。そんな悪印象を持つのも無理はない。鷹神の一族は出合頭に自分達を排除し、辱めようとしたのだ。それは部外者の侵入を拒み国の安全を守る為の国防的行為ではなかった。何故なら…。


「…おいお前達!!そこで止まれ!!」


空から舞い降りた鷹神の戦士は薙刀のような武器を突き出し、ショウタロウ達の進む足をその場に止めさせた。これは誤解を解かねばとシータが前に出て笑顔で接しようと試みた。


「あの!私たち!探し物を…」


「黙れ!!動くなと言ったはずだ!!この下等種風情が!」


けれどその心遣いは「黙れ」の一言で遮られる。そして自分達の背格好を見た途端に彼らは不敵な笑みを浮かべたのである。その時まではまだ友好的に話ができるかも知れないと不覚にも思ったものだ。けれど次の言葉で彼らにそんな気はない事がハッキリと明らかになる。


「何て小さい奴らなんだ。虫ケラ並だぜ。しかしまぁ…翼も生えちゃいねぇとは…とんだ下等種が現れたもんだぜ。俺たちの縄張りに足を踏み入れたからには…分かってるよな?」


ヘラヘラと目線を合わせて笑い合うその他の戦士も高圧的でゲスな態度をそのままに全くもって差別的な発言に躊躇がない。まるでそれが当然かの如く自分達にそう接して来た。これには流石に参った。すこし期待していた分とても気分が悪いのだ。この連中とは仲良くは出来そうにない。出来るはずがない。しかし少なくとも穏便に事を進めたい。そんな理性が防波堤となって心に湧き上がる怒りを辛うじて抑え込んでいた。するとその中でも一際偉そうな人物がシータを舐め回すような視線を送り、そしてふざけた事を言った。


「貴様らのような下等も下等な雑魚がここに来てただで帰れると思うなよ。そうだな…おい!そこのお前!良い女がいるじゃねぇか。お前は生かしといてやる。今晩はお前に決定だ」


シータはあまりの気持ち悪さに我が身を抱いて虫酸が走った。そして彼らの言い分はこうだ。背格好の小ささは神の祝福を受けられなかった価値のない下等生物の特徴である。更に翼を持たぬ者は前世で悪さをした悪人で地を這うことしか出来ない罰を与えられた下等で穢らしい神に蔑まれた罪人の証拠だ。そして我ら鷹神一族こそが神から最も寵愛され天高く飛び唯一神に近づく事を許された尊き存在だ。お前らのようなゴミに逆らう権利はない。そういう事だ。それを当たり前のように語る姿に軽蔑する。もう友好関係は必要ない。完全に堪忍袋の緒が切れた。それでも奴らは指を指して続ける。


「そんでもってそこの野郎はサンドバック。そしてそこの犬畜生は…」


それを言い終わる前にその戦士は突風と共にその場から姿を消した。代わりに一発蹴り上げたようなボーズでショウタロウがそこに現れる。目にも止まらない神速で彼らの間に割って入り偉そうな男を蹴り飛ばしていた。そしてそこからは観ていられないような惨事が繰り広げられ現在に至る。


ショウタロウはボロ雑巾の如く半殺しにした無惨な戦士の首根っこを掴んで王の間を闊歩する。その背後には口と四肢を血で汚した犬神リョウスケと赤い槍から鮮血を垂らす猿の獣人シータが睨みを効かせる。歯向かってきたほぼ全ての者を戦闘不能にし強引にここまでたどり着いた。鷹神の王サムパーティは恐怖のあまり玉座の背に自分の背中をピッタリと貼り合わせ少しでも距離を取ろうとする。そして出来る限りの虚勢を見せつける。


「貴様らぁ!!ワシが誰なのか知っての狼藉か!!無礼であるぞ!下がれ!!今すぐにだ!!」


そんな震える王の前に掴んでいた戦士を投げ捨ててショウタロウが言う。


「お前こそコイツらにどんな教育してんだ。初対面の相手に下等だの穢らわしいだのふざけんじゃねぇぞ。」


「貴様こそ何者だ!!さては悪魔の類だな!…我が国を奪うつもりか!!そんなことを神が許すと思っているのか!!恥を知れ」


サムパーティがそう言った。そんなタイミングでショウタロウは頭に巻いていたバンダナをこれ見よがしに外して見せた。王は絶句する。その額には神に選ばれし者の最上級の証、覚醒せし第三の眼が神々しい眼差しで目の前の王を蔑んで見ていた。彼は途端に言葉を失う。流石の威厳も形なしだ。それが何を意味しているのか知っているのだろう。鷹神の王サムパーティは完全に立場を失った。


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