表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あやかし殺しの三千院家  作者: 刀綱一實
故郷のための栄光
672/675

それはそれとして興味があります

「お前がそこまで知る必要はない」

「ドクターがそう言うなら。でも、カナメが見たらどう言うだろうね」

「あー……えーと……」


 リアムが何気なく言ったことに、ドクターが反応する。それは喜んでいる様子ではなかった。


「どうしたの?」

「ところでお前、親父さんと連絡は」

「最近は全然。ほら、国内でモンスターが多いから」


 デバイス使いが総出で対応しているものの、国土全てをカバーするには人手が足りなすぎる。州軍だけでなく陸軍や海兵隊も手伝いに入っているため、このところ父はいつも基地に詰めていた。反対に自分は寝てばかりだから、あえて連絡はとっていなかったのだ。


「孝行息子が仇になったか」

「一体どういうことさ」

「サンダーボルトは日本に帰ったよ」


 リアムの思考が、いきなり真っ白になった。


「そんなブロブフィッシュみたいな顔をするでない。ずっとというわけじゃなさそうだからな」


 それを聞いて、ようやくリアムの世界に色が戻ってくる。


「ことの次第を説明してください。あとドクター、例えが分かりにくいです」

「ええい、さかのぼって儂のジョークにケチをつけおって。言っておくが、そう難しい話ではないぞ」


 ドクターが語った内容は、本人の言う通り単純なものだった。


 日本のデバイス使いには、政府に反抗しないよう制御装置がついていた。それが先の事件の時に発動してしまい、かなめは意識を失ったのだ。


「誰が悪いわけでもなかった。しかし大統領は、当初このことを知らなくてな」


 肝心な時に役に立たないのでは意味がない、と彼女の身柄を送り返すことを決めてしまったのだという。


「リアム、今度はワラスボのような顔に」

「続きをどうぞ」

「……まあ、すぐに彼女は復活して、大統領も考えを改めたが。そのことがサンダーボルトの耳に入ってしまってな」


 恐れられることはあっても、不要だと言われたことはほとんどない天才。この仕打ちがどれだけ彼女のプライドに障ったかを想像して、リアムは震え上がった。


「で、すねて日本に帰ってしまったわけだ。ただ、彼女の弟が説得を続けているらしい」

「僕のために」

「『だんだんこっちでもて余してきたから引き取ってくれ』だそうで──今度はコウモリダコに似てきたな」


 そのツッコミもう飽きました……と言うか言うまいかリアムが迷っていると、不意に部屋の扉が開いた。


「ハロー」

「元気か?」

「お見舞いに来たわよ」

「……これは何?」


 デバイス使いチームが、連れ立ってやってきた。抱き枕に対して不信感のこもった視線が飛ぶが、リアムは見なかったことにする。


「ありがとう」


 見舞いの花やら菓子やらを受け取ってから、リアムは聞いてみた。


「みんな、よく集まれたね。今、忙しいんだろ」

「そう、一時間もしたらまた空港に集合だよ。ただ、様子はどうかと思ってね」

「一番気にしてたのはタイロンだけどね、ふふ」

「こらっ」


 にこにこと笑うモニカの横で、タイロンがあわてる。彼とチームを組んでいる時にリアムが怪我をしたものだから、未だに気を病んでいるのだろう。真面目なタイロンらしかった。


「気にしないでって言ったじゃない。軍人なんだから、怪我するのも仕事のうちだよ」


 リアムが手を振ってやると、ようやくタイロンは白い歯を見せた。マリアナも彼の肩をたたく。


「そうよ。ちょっと左手見てみなさい」


 彼女が指差す先には、「これ、柄違いでオーダーできる?」とドクターに問いかけるディランがいた。


「あんな感じでも生きてるのよ」

「少し心が楽になった」

「……そのついでに抱き枕からディランを離してほしい」

「任せろ」


 印刷物であっても、彼女に他の男がくっついているのは気にくわない。


「横暴だぞ」

「ここはリアムの部屋なの。家主の意見が最優先よ」


 ディランがおとなしくなったところで、「そうそう」といいながら、モニカが手をはたいた。


「リアム、ハロウィンってあいてる?」

「今のところ大丈夫だけど、まだ足は完治してないよ」


 リアムが言うと、モニカは大きな目をさらに開いた。


「まあ。車椅子くらい用意してあげるわよ。大事な日じゃないの」

「大事?」


 二人は空中で見つめあう。背後でディランがくくっと低く笑った。


「トミカ、リヤムはずっと寝てたんだよ。さすがにその言い方じゃ伝わらないね」

「あら、忘れてたわ。ごめんなさい」


 リアムは苦笑した。ハロウィンはお祭りの日だが、みんな子供でもないのに浮かれている。今年は何かがあるのだろうか。


「今年は暗いニュースが多いから、盛大にやるのかい?」

「まあ、なんて冷たい人。カナメがその日に帰ってくるっていうのに」

「えっ」


 いきなり新情報にぶち当たって、リアムは目を白黒させる。ドクターもひゅっと口笛を吹いた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ