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神の怠惰な日常〜めんどくさがりの神が本気を出す時〜  作者: おまめあずき
第一章 私達の王位継承争いの始まり
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第五話 エンダー公爵家への馬車の中で



「狩猟大会のお知らせ、ですか。

お姉様、よくこんなことに気づきましたわね…。」


ガタゴト、と少し揺れる馬車の中。

アマイラが、チェーンが渡して来た書類を見ながら、苦笑する。

ああ、もちろん自分たちの仕事はちゃんと、数週間後まで終わらせてきましたとも。

だから、私とアマイラ、二人の外出が許されているのですから。

ちなみに今は、エンダー公爵家への道中。


もう既に、エンダー公爵家への手回しも済んである。

公爵からの話では、ヘイダーはすでに公爵家を出て、狩猟大会へと向かっているらしい。

ヘイダーが帰ってくる前に交渉をあらかた終わらせてしまいましょうか。


と、頭ではそんな事を考えながら、アマイラの質問に答える。

「…いや、たまたまよ、たまたま。

チェーンが北都出身で、こういうこと(北都の行事とか)に詳しかっただけ。」


「チェーンは北都の出身だったのね。

そうだわ、到着するまで、北都の話を聞かせて下さいな、お姉様。」


「……ええ、構わないわ。道中暇だしね。

……おさらいすると、北都はこのフォレスト王国の中でも海に隣接している唯一の都。

海からの魔物の侵攻により、北の都市ならではの寒さへの備えに必要な物や、産物などのの両通が滞っている。」

「だから、そこの支援と引き換えに、支持を得る、と。」

そう、アマイラが私の言葉を引き継ぐが、言うと同時にアマイラは少し表情を曇らせる。


「……ごめんなさい。

嫌なやり方よね。」

「い、いえ。特には!

しょうがないのもわかっていますし。

中立の家を引き込むのがどれだけ難しいことなのかも、わかっていますから……。

むしろ、ありがとうございます、お姉さま。」


……よかった。笑ってくれた。

でも、無理をしているのはわかっている。どうにかしたいな。


と、そこで、御者台に座っていたチェーンが声を掛けてくる。

「……マーヴィリー殿下、アマイラ殿下、もうすぐエンダー公爵家へ着くかと。」

「わかったわ。」

「ありがとうございます。」

アマイラが礼儀正しく告げる。

はぁ〜。うちの妹が可愛い。

……私もヘイダーに言えないくらいのシスコンだな。


そんなふうに考えながら、馬車に揺られていた私なのであった。



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