第四十三話 神の眷属に愛されたもの
投稿がローペースですみません。
あけましておめでとうございます。
前回の投稿が昨年最後の話になるとは思ってもみませんでした…。
今年も神の怠惰な日常をお楽しみいただけましたら幸いでございます。
ゆっくりでも一ヶ月に一回は投稿できるよう心がけます。
私が目覚めてから十日ほど。
最初の数日は捕縛した貴族の特定と処罰や、イネッセの護送。保護した奴隷たちの解放と身寄りのない人たちの保護でバタバタとしていた私達だったが、現地でのやることをあらかた終え、王都に戻ってきていた。
仕事がこれ以上溜まるのが看過できなかったからね……。
そんなこんなで日常に戻りつつあった、ある日の午後。
「――――――…。」
「………そう…。……ありがとう……。」
私は自室で王家の影の報告を聞きながら目を伏せる。
こんなに自堕落にしていても王族は王族、伝統として影はつけられている。
……兄妹の中でも一番少ない五人だけだけれども。
たった今聞いた報告。
「…。」
声に出すわけにはいかないので、頭の中だけで思案する。
―――天族。
いわゆる神の配下で、神と人を繋ぐ役割を持った種族。……と、言われてはいるが。
「はー…。」
実際の所、別に本来の神の配下でもないし、神と人を繋ぐ役割も持っていない。
人間が作ったまやかし、嘘だ。
愛子、というものがある。
私のもう一つの身体、セイント・セージャーは創造神オースティング・ガーバナーに愛された神の御子だが、私の部下もとい眷属…つまりホープやザードやアレンジなどが愛する者のことを、愛子と呼ぶ。
…私は基本的に、愛子を作ることを禁止はしていないのでちょくちょくそんな存在が現れるわけだが……。
その愛子には基本的にただの人間とは違う身体的特徴が見られる。
例で言えば、金の瞳だったり動物の耳があったり、鱗が生えたり。
つまり、天族と呼ばれる羽根を持つ者たちは、私の部下である奇跡の加護を持つギヴ・ホープと、聖と土地の加護を持つセイクリッド・アーク、どちらかに愛された愛子であるだけなのである。
「………それに、変異…ね。」
…最後に見た姿を思い浮かべる。
あの時は本当に意識が絶え絶えで、視界が定まらなかったものだけれど……。
…不思議と、純白の羽だけが妙に記憶に残っている。
「……ゔああ……。…記憶が、正しければ。
………あの娘、獣人よね…?」
私は目の前の机に突っ伏す。
「……そうですね、あの耳は狐の獣人になるかと。」
私に問いかけられたホープは、控えめながらもきっちりと答えてくれた。
―――『それで、保護した少女なのですが。』
―――『どうやら、天族への突然変異が見られたそうです。』
「………やっぱり…?」
あの子の診察をお願いしたはずのホープが言っているのだから間違いないだろう。
…つまり、私は。
「……獣の子の愛子を…変異させちゃった……ってこと…?」
「そうなりますね。」
「………………………さい、あくだぁ………。」
どうしよう……。
十中八九原因はわかり切っている。
私があの子を助ける時に侵食を抑えるために瘴気の時を止めたり、瘴気によって身体がボロッボロの修復不可能なところまでいきそうだったから『奇跡』の力使ったりしたからだよね………。
「どう説明しよう……………。」
「頑張ってくださいマーヴィリー王女殿下。」
ホープに助けを求めるも、すげなくバッサリと断られた。
まぁ、ホープとライーヴは折り合いが悪いところもあったからなぁ……。
ホープの手助けは期待できない、と………。……いや本当にどうしよう。
「あの、よろしいですか?」
「………ん…アレンジ…?」
と、後ろに控えていたアレンジが声をかけてくる。
「実は…北の公爵家から来客が。」
「………え……?」
思わぬ来客に、思わずぽかん…とする。
「公爵家のご子息、イングザイディ様とヘイダー殿下がお越しでございます…。」
「……………………………………………え…?」
インディ様と、へ、ヘイダー…??




