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神の怠惰な日常〜めんどくさがりの神が本気を出す時〜  作者: おまめあずき
第二章 南都セーヴィンと第二王子ストライフ
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第四十話 神の御子は、本気は出さない


「『()つべき(もの)に あまねく言葉(ことは)(みちび)きを 


 我が名はオースティング・ガーバナー


 全ての(ことわり)を創りし者』!!」


私たちを中心として、四方八方に巨大な立体型の魔法陣が浮かび、ゆっくりと回る。


そして、その速度はどんどんと早くなっていき、淡い光が舞う。


「『今願おう 我が作りし理を さすべきものに使うことを』!」


一気に魔法陣が収縮し、一際強い光を放つ。


「『反転させし その理は 全を()るもの』!」


唇を噛みしめる。

痛い。

体中が痛い。

力が失われていく。


「『森羅万象(しんらばんしょう)』ッッ!」


最後の一節を唱い上げ、術式を開放する。


“アアアアああ゛あ゛あ゛!?!? う゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!!!!”


悪魔(バケモノ)が絶叫する。

無茶苦茶に暴れるが、それすらも強固な鎖が許さない。

「あの子が、なんにもわがままを言わなかったあの子の、願いなのよ!!」

チカチカと、目の前が点滅する。

ずぐりと、体が鈍く痛み、何かが体の中で暴れだす。

強引に、術を発動させた代償が、来た。


―――イネッセ。

私の、妹。

わがままを言わなかった、言えなかったあの子の願い。


「叶えなければ!! 私は姉としてあの子に誇れないッ!!!!」

打算まみれだとしても、コレが私の本音だ。


「戻、って来なさいッッ!!!!」

ぐん、と一歩踏み込む。

徐々に、術式にほころびがでてくる。

それを力で無理やり抑え込み、力を注ぎ続ける。


“あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!! や゛だ、あ゛ッもどり、だぐな゛い゛、ぅ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ!!!!!!”


それは正しく、絶叫。


少女の、心の叫び。


「ごめんなさいね!

これは完全に私のワガママよ!!」


けれど、彼女一つ、決定的な勘違いをしている。


わたしも、言い方を間違えたわね。


「貴方は、戻らなくて良い! 戻らなくていいわ!


私は!!


―――前に進めって言ってるのよ!!」



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