第三十六話 アマイラ
話の都合上短いです。
申し訳ありません。
「お久しぶりです、アマイラ・フォレスト殿下。」
悪魔と遮断する結界を展開し、アマイラへと向き直る。
「セージャー様、なぜ、ここに……いえ、聞くまでもないことでしたね。すみません。」
セイント・セージャーは表向き、世界各地を飛び回って瘴気を鎮めていることになっている。
その中で立ち寄ったとなれば、十分あり得る話である。
「…いえ。
アマイラ殿下はなぜ、こちらに?」
今は一応、何も知らないフリで通しておかないとね。
「あ、いえ、私は……。」
ここで時間をかけるのマズイ、とわかっているのか、アマイラは短文でまとめてくれた。
ここは元は奴隷オークションの会場で、私―――マーヴィリーと捜査をしていたこと。
その途中で謎の爆発―――溜まりに溜まった瘴気の暴発―――が起こったこと。
イネッセもなんの偶然か、近くにいた事。
流石にイネッセが奴隷になる寸前だった、というところは隠していたようだけど。
「……では、オークションを主催していた悪党には後で引導を引き渡すとして。
今、一旦イネッセ様を退避させたので、このまま私がこの異形を浄化しても構いませんか?」
私はチラリ、ともがいている悪魔を見やる。
「ええ、それはありがたいのですが…。」
アマイラは複雑そうな顔で悪魔を見る。
「?」
なにか不十分な点があっただろうか?
「……あぁ、いえ。後で大丈夫です。」
異形を浄化することを優先してください、と笑顔(少し引きつってたけど、それは指摘しない)で言って、騎士たちの元へと下がっていくアマイラ。
では、とっとと浄化を済ませて話を聞きましょうか。
私は、おもむろに悪魔へと近づく。
それに伴い、どんどんと攻撃が激しくなっていくが、すべてを無詠唱で展開した障壁によって防ぐ。
至近距離まで来た私は悪魔の相貌を覗き込み、
「失礼するわ。」
そう言って悪魔の額と己の額をくっつけた。




