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神の怠惰な日常〜めんどくさがりの神が本気を出す時〜  作者: おまめあずき
第二章 南都セーヴィンと第二王子ストライフ
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第二十七話 予想外の事態

今回はマーヴィリー視点です!


「ふふ。」

私は舞台の上でほほえみながらアマイラと北都に行く前日のことを思い出す。


 △▼△▼


「……要約すると、我らにアマイラ様につけと。」

「…ええ、そういうことになるわね。」


私は、【ディソール騎士団】の本拠地を訪れていた。


アマイラが王位継承争いに加わるということは、身の危険が高まるということでもある。

そのための護衛として私が目をつけたのが彼ら、【ディソール騎士団】だった。


「貴方様は我らがこの騎士団にいる意味はわかっておりますよね。」

「…ええ、もちろん。」

私は紅茶を飲みながらそう返す。


「ならば、なぜ私達を…?

私達は主人を裏切った身ですよ?」


彼らは主人を裏切った騎士。

だが、その刃は、罪人へと向けられる正義の刃。いわば、善人を守るための刃。

その団結力や技術の高さを持つ騎士団は我が国にはいない。

が、その経歴から裏切られることを恐れ、どの継承候補たちも近づこうとしない騎士団。


「………あなた達の刃は罪なき人を傷つけるためにあるのかしら?」

「そのようなことは決してございません!」

即答、か。

やはり、良い。


「…ならばいいではありませんか。我が妹はあなた達と同じ信念を抱いているはずです。

罪なき人々は救い、罪人は処罰する。

その覚悟が、あの子にはありますもの。」


「……では、示していただけないでしょうか、我らに。

主と言えるほどのものをもっているかどうかを。」


「…それは、いい考えね。

ああ、あなた達の主はアマイラよ。私よりアマイラを優先なさい。」


「…仰せのままに。」

北都では【ディソール騎士団】の力に頼ることもなかったけど、今回は少し頼ってみたのよね。


というか、アマイラが彼らの信頼を得ることができてよかったわ。

それじゃなかったら今回彼らの協力は得られなかったはずだもの。

ほんとに私の妹はすごいわ。




「な……。」

パクパクとイエガルしょう……もうイエガルでいいわね。

イエガルが口をパクパクとさせ、私達をみている。

なんてお手本のような間抜け面なのかしら。


「……アマイラ、そちらは?」

「ええ、十分ですわ、マーヴィリーお姉さま。」

もう身分を偽る必要がない私たちは、本来の名前で呼び合う。


逃げようとしている人々がいるけれど、もう遅い。


―――シャラン……


そこにはもう既に、彼らが回り込んでいるわ。

「…大人しく、ついてきてもらえるでしょうか?」

「……っ!」

もう、逃しはしない。


「無事ですか、マーヴィリー殿下。」

「……ええ。」

私の方へと来ていた騎士にそう答える。

その騎士は、私の後ろでうろたえていた人々を連れ、会場の外へと出ていく。


「何事だ!!」


そう言いながら出てきたのは、ジャスティス商会の商会長である、モットーだろう。

ふぅん、そういうことか。


インジャスティス商会で、フィオー男爵と話していた時に言っていた、「商会の名前も変えるつもりだ」という言葉も、ジャスティス商会の傘下から抜けることの意思表明だったのだろう。


「…コイツが、イネッセを……。」

思わず、口からそう溢れる。

「!? お姉さま、どういうことですか?」

耳が良いアマイラにはちゃんと聞こえていたようで、そう聞き返してくる。


「……彼が、イネッセの相手をしていたそうよ。」

「…そうなんですか?」

イネッセがモットーの方へと視線を移し、敵意をつのらせていることがわかる。


――バギッ


「……!?」

その音がしたかと思うと、みるみるうちに壁に亀裂が入っていく。


«ユル、サ゛ナ゛イ………ユ、るさナイ゛…»


頭に響くような怨嗟の声が響く。

頭が割れるような痛みに、ここにいる全員がうずくまっているのがわかる。


「…全員退避!」

私達は、ちゃんと責務を果たしてくれた【ディソール騎士団】の団員たちによって、会場の外へと避難した。


そして、会場は。会場があった場所は、建物はほぼ崩れ落ち、周りの空が一面黒く重い雲に覆われ、雷がほとばしり、魔物が次から次へと現れる魔境となっていた。


「……こ、れは。予想外、だったわ。」


そして、その中心にはどす黒い、球体が生まれでていたのだった。


新作投下いたしました。

「散った悪女の侍女は何を望む」

https://book1.adouzi.eu.org/n7863hw/


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