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神の怠惰な日常〜めんどくさがりの神が本気を出す時〜  作者: おまめあずき
第二章 南都セーヴィンと第二王子ストライフ
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第二十五話 イネッセ奪還作戦 最終段階③

マーヴィリー視点に戻ります。


「……本当に、大丈夫なの?」

「ええ。」

大勢のうち一人が、疑うような声色で問いかけてくる。


私は、少し時間をかけてこの作戦について説明した。

ここにいる全員、開放すると言ったときには、流石に嘘だろうと言われたのだが。

いや、嘘じゃないよ。


今回のイネッセ奪還作戦では、この人達が鍵だ。

揺動として、活躍してもらう。

でも、揺動と言っても、騎士に守られて、だけど。

それでもこの人達にちゃんと動いてもらわないとイネッセが奪還できない。


いまごろ、イエガル商会長がアイを連れてきているかな。

王族であるアイには奴隷封じがかかっているとはいえ、心配である(私にも奴隷封じはかかっている)。

奴隷封じも万能ではないしね。


「あ、ちなみに他に捕まえられている人がいるところって知らないか?」

アレンジが問いかける。


「あ、あのぅ……。

外にいる男たちが、上物は俺達に任せないといっていたような……」

その人の一言を皮切りに、次々と声を上げていく。


「そう言えば、二階の北側にいるのはわかってるから攫ってこようだとか……。」

「鍵は制御室だとか。」

「北側の部屋は鍵があって入れないとか。」

「商会長が上物の相手をしているだとか。」

「あれ、でも、私が効いたのは地下室って話だったよ?

 ……あ、でもあれ、下級品っていってたね。私達は中級品。」

「上物の相手って聞こえはいいけど、拷問のことよね。」

「そうそう。ちゃんと命令を聞くようにってね。」


……二階、北側、鍵、制御室、商会長―――

というか、ここまで情報垂れ流しって……。

大丈夫かここ。


まぁ、私にとってはありがたいけど。

イネッセのいる部屋だけがわかってなかったんだよね。


下級品、か。

うん、それだけが気になるかな。


まぁ、「下級品」だからって売らないわけでもないでしょう。

オークションが始まれば出てくるということ。

その時に対処すれば大丈夫。


そんな事を考えていると、扉が開く音がした。

「大人しくしてたか? ああ?」

先程のガラの悪い男と、もうひとり。

体調が悪そうな眼鏡で細身の男。


「おい、おまえら。」

ガラの悪い男は、細身の男を指さしながら言った。

「こいつについてけってよ。」


ふーん、移動か。

じゃあ、オークションが始まるってことだな。


うん、いいタイミング。

あとは、作戦がハマるのを待つだけって感じかな。

うし。もうひと踏ん張りしますか。


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