第二十四話 イネッセの夢
今回はイネッセ視点になります。
短いです。読みづらかったらすいません。
―――イネッセ、待っててね。
絶望のどん底でも。
お姉さまが、きてくれるから。
必ず、来てくれるから。
私は、折れない。
―――お姉さまは私の希望。
大好き。
大好きな、マーヴィリーお姉さま。
侍女は皆、皆お姉さまのことを「ぐどん」だとか「おちこぼれ」、「のこりかす」だとか言うけれど。
私は、お姉さまがそんなふうだとは思えない。
もし、マーヴィリーお姉さまが「ぐどん」だったら。
びゅんって私に向かって飛んできた何かを、掴むことなんてできない。
もし、マーヴィリー姉さまが「おちこぼれ」だったら。「のこりかす」だったら。
あんなに、思いのままに、魔法を扱うことなんてできないはずだ。
あんなに繊細な魔法を―――侍女が転んで、持っていたバケツからはねた水がアマイラねえ様と私にかけないなんて、そんな魔法は、使えない。
もし、そうなんだとしたら。
私、私が。
心を読むことができる、と。
真っ先に気づくことなんて、できやしないのだ。
お母様も、お父様も、ノーレッジ姉さまも、ストライフ兄様も、アマイラねえ様でさえ。
気づかなかったのに。
「……イネッセ。あなた――心が、読めるの?」
そう、問いかけてきた。
なぜなのか、私は知らない。
でも、お姉さまは。
「……そう、読めるの。
―――大変、だったでしょう。」
怯えたりせず。
「……一緒に、考えましょう?
心が読めないようにするには、どうしたらいいか。」
寄り添って。
一緒に、歩んで。
「……良かったわね。」
助けてくれた。
私の希望。
【―――イネッセ、待っててね。】
ほら、きてくれた。
「……お……ね、え…………さ…ま。」
声がかすれる。
「まっ、て……ま……す、ね……。」




