第十二話〈閉話〉 王城への帰還
「……おはようございます。」
エンダー公爵家に泊まらせていただいた日の、翌日。
朝食に顔を出したアマイラ、ヘイダー、そして、インディ様に挨拶をする。
「おはようございます、お姉さま。」
「……おはようございます………ま、マリー殿下。」
「…………。」
アマイラはお姉さま、インディ様はマリーと、固有名詞をつけて返してくれました。
が、やはり予想通り、ヘイダーは返してきませんか。
なにか、考え込んでいるようにも見えなくはないですが…
まぁ、そこはアマイラにお願いするかな。私の管轄外だし〜。
食事が始まり、色々な話題が出た中、アマイラが一つ質問をしてきた。
「お姉さま、ところで、イングザイディ様に「マリー」呼びするように頼んだのですって?
「ええ、そうだけど……」
何あったのかしら?
「ずるいですわ。もう!
それにしても、初対面でお姉さまがここまで気を許すのは初めて見たかもしれません。」
うちの妹が可愛い。嫉妬しててもかわいい。
……でも確かに、アマイラの言う通りもしれない。
私がここまで簡単に気を許したことなんて、あまりないからね。
許すとしても、家族くらいだ。
まぁ、インディ様が有能すぎたってのもあるけど、人当たりもいいし、家柄もいいからね。
味方にしてこれほど心強い存在はいないんじゃない?
私はその分ぐーたら過ごせるようになるし……
……いや、流石に体壊すまで仕事はさせないよ?
本当だからね?
―――話がそれたけど、そんなこんなでなぜかヘイダーもアマイラを引き止めるような真似はせず、すんなりと私達は、王宮に帰還することになったのだった。
「―――では! 本当にお世話になりました。」
アマイラが礼儀正しく礼をする。
特にもうやることもないけど……
「……。」
一つ、気になることがあるとすれば、先程からヘイダーがあまり喋らなくなっていることだ。
「ヘイダーも、ちゃんと、考えてね。」
アマイラがヘイダーにそう言うと、では、とインディ様に向き直り、「では、また。」と会話をした。
馬車に乗る際、私がすこし礼をきちんとしたのは特筆すべきことではないかと思う。
そんなこんなで、私達は王宮に帰還した。
そこまで物語が動かない1話でした……。
ここから二章に入っていこうかと思います。




