あとがき
あとがきを書けるのは作者だけ、というのをどこかで見たので、このさい思い切り書き散らかしておこうと思います。苦手な方はここで回れ右して下さい。そんなわけで、あとがきです。
とにかく「シンメトリーの翼」(以下「シンメ」)を読んでくださった方、本当に本当にありがとうございます。
ここまでお付き合い頂けた奇特な読者様には、もう感謝しかありません。
せっかくのあとがきなので、少しお話について語ってみたいと思います。
ですが、その前に、私は物語が書き終わったら、作品は私の手を離れて、読者様の世界になると考えています。なので、私がどんな解釈、考察、妄想を語っていても、それは作品の正解ではありません。
正解は作品を読んで下さった読者様の中に、いろんな形で生まれてくるものだと思っています。
どんな解釈でも、どんな考察でも、どんなによこしまな妄想でも、自由です。
と、あざとく保険をかけたところで、お話について書いてみます。
この作者は変態で何にも考えていなかったという薄っぺらな事実が明らかになるだけの気もしますが
……。
いくつかメタファーがあるのですが、わかりやすいところで一つだけ。
「シンメ」は善と悪について、自分がなんとなく思っていることをお話に落とし込みました。善悪ってなんぞや?って考えたこと、ないですか?
あるいは、どうして人を殺すことはいけないのか?って。
殺人については時代によって、文化によって、宗教によって、状況によって、個人によって答えが異なる問いだし、私自身、明確に答えられないです。
ただ今回は、負の感情を連鎖させることが悪なのではないかと、そういう一つの解釈を元にして「シンメ」を書きました。
憎しみが憎しみを生む。そう考えると、負の感情を乗り越えられる心を持っている人の所で、その憎しみが止まるのだろうか。では、負の連鎖を乗り越えるために、何が必要だろうか、とか。
哀しみも怒りもなく、いつも嬉しい楽しい。それはそれで、人にはあり得ない気がする。
いつも楽しいと、やがて当たり前になって、見えなくなってしまう。そもそも人は心が常に明暗を求めるようにできていて、じゃあ負の感情が必要悪になる場合もあるのか、とか。
結局のところ、どこかで二律背反となってしまう感情。どこかでわかっている、知っている心の働き、そういうことを改めて見つめなおして、色々考えていました。
ヒーローが「鬼は自分の心を写す鏡」だと気付きますが、そういう事が本当は日常でもよくあるんじゃないかなと思っています。
お話には基本的なパターンがあると思っている私なのですが、「シンメ」は「醜いアヒルの子」「白鳥の湖」辺りの王道なパターンを踏襲しているかなと思います。
そんなシンプルなパターンを、よくぞここまでややこしく書けたなって、自分でも思います。
時系列をいじくりまくるのが大好きなので、悪癖とわかっていますが、やめられません(笑)
それでも読破してくださった数少ない読者様、本当にありがとうございます。
登場人物について書くと、私が単なる変態であることを暴露するだけのお話ですが。
基本的に自分が萌えられるヒーローを設定します。そして精神的に追い込まれる感じを書くのが大好きなので、そういうところはもちろん外しませんでした。
しかし、今回はお話の中でのヒーローの役割や展開、また私が自分の萌えを大雑把にしか理解していなかったため、彼は作者の個人的な「萌え」と言う点に関しては、少し中途半端でした。
もうちょっと欲望に忠実に、ヒロインに強引に迫ってほしかった(笑)。
彼の生真面目さは「これまでのように庇護欲だけで君の傍にいる自信がない。……」と言う台詞に集約されている気がします。
「君に触れたい、抱きたい」って、露骨な言い方しないところが、高潔で真面目なヒーローだなって。
想いが重なった時、彼がヒロインに囁いた言葉。いったい何だったんだろう。
私の中には幾つか候補がありますが、この辺りは読者様が一番萌える台詞を当てはめてもらうのが良いかなと、あえて書きませんでした。
読者様がどんな台詞を妄想したのか、こそっと教えて欲しいとか思ってしまう、下衆な作者です。
全編を通して生真面目なヒーローでしたが、でも、きっと彼は彼女の想いを手に入れて、これから開花していくのだろうなと、期待を込めて妄想していたりします(笑)
恋愛部分のラストは、本当はさらなる色気が漂う描写や所作を書き込みたかったですが「小説家になろう」(以下「なろう」)のレーティングに従い、控えめの描写に留めました。綺麗にまとめたつもりですが、物足りないと感じた人は、作者と同じ感性かもしれません。なぜなら私も書き足りないから……(笑)。
書き足りないというと、あえて場面を作って描かなかった部分も色々あります。
主を傷つけた麒一が主に再会した時、いったいどんなだったのか。白虹と白露が再会した時、どうだったのか。後者などは感動的に演出して描くべきかなとか考えましたが、さらっと流してしまいました。
もし期待しておられた方がいたら、ごめんなさい。
麒一の場合は、おそらく麟華がここぞとばかりに責めたかなと。主上に刃を向けるなんて信じられない。守護失格とか。
そこで何も言い返せない麒一を哀れに思った朱桜が、麟華も同じことをしたと暴露しちゃうんではないかと妄想しています。結果として黒麒麟揃って主に詫びまくり、主は当然許し、さらに今後一切そのことについての謝罪を禁じるかなと思いますが、まぁこれは私の妄想なので、書いていない部分は自由に考えて膨らませて欲しいなと思います。
そして最終的にヒーローが黒髪黒目のままのなのは、彼の弱さの象徴だとか、礼神と呪鬼の考え方のためであるとか、華艶への想いの痕だとか、後付けでいろんな考察ができちゃいますが、実際のところ作者が黒髪黒目に萌えるからという、身も蓋もない理由です(←ぶっちゃけた)。
いや、黒髪黒目だけに萌えるという言い方では語弊がありました。
ヒーローとヒロインとの絵面の対比が、私の萌えにはわりと大切なので、ヒロインが黒髪黒目とかならヒーローが金髪碧眼でも萌えられます。そういうわけで、今回はヒロインが金髪だったので、ヒーローには黒髪でいてほしかった。そういうしょーもない理由なのです。
考察もへったくれもありません。
お話の雰囲気とか余韻とかをぶち壊してスミマセン。作者はただのアホなのでした。
アホついでに、愚かな私のお詫びも書かせていただきます。
これは「なろう」で「シンメ」に出会った方には関係のないお話になってしまいますが。
「なろう」に投稿前、このお話は個人サイトで連載をしており、なんと第五話の第一章まで書いたところで筆が止まり、そこから「なろう」で再開するまで、十年間もエタっておりました。私が読者なら地獄です。
しかも個人サイトは内容もかわり移転もして、行方不明に等しい状態。
当時、続きを気にしてくださっていた方に届くかどうかはわかりませんが、この場を借りてお詫び申し上げます。本当にごめんなさい。
当時の読者様がどのくらい「なろう」で再開後、この作品を見つけて下さったのかは、はっきり言ってわかりません。運良く見つけてもらったところで、もう当時の気持ちで読むことも難しいでしょうし。
でも、できたら完結したことが届いたら嬉しいなとは思っています。
もしそういう奇特な読者様がいらっしゃったら、恨み節をぶちまけて下さっても大丈夫です。
いや、むしろぶちまけて下さい(笑)
ただ上記の休筆期間に私が出産、育児を経験した結果、緋桜の母としての想いが少し実感を伴って書けるようになっていたので、終盤を書くにあたっては良かった面もありました。
そして、恋人からの裏切りよりも、さらに心を蝕むのは、我が子の死かなと言う感覚も新たに手に入れて、華艶の発端に吾子の死も加えました。
休筆していた期間に得た経験が、少しお話に厚みを出していたら良いなぁと、独りよがりに思っていたりします。
とにかく今は完結させられたことに安堵しております。
さて、私の作品への想いの丈はぶちまけましたので、この辺りでおしまいにしたいと思います。
もしよかったら、「シンメ」への感想やぶっちゃけたい事などがありましたら、お気軽にお知らせください。首を長くしてお待ちしております。
またなろうの感想欄は敷居が高いという方は、Web拍手が各ページの下部にございますので、作者にだけこっそりと恨み節など自由にぶっちゃけて下さい。
最後にもう一度、「シンメトリーの翼」に触れていただいた読者様、そして
登場人物達にも、同じように感謝を伝えたいと思います。
作品に関わって下さって、本当にありがとうございました。
このお話を書けて、私はとても幸せでした。
本当にありがとう。
平成最後の年 春惜月十八日 長月京子




