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ハズレスキル「逃げる」で俺は極限低レベルのまま最強を目指す ~経験値抑制&レベル1でスキルポイントが死ぬほどインフレ、スキルが取り放題になった件~  作者: 天宮暁
第五章「分断」

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188 秘匿

 ――凍崎誠二を鑑定する。


 思いつきにすぎないが、やってみるだけの価値はある。


 凍崎誠二が探索者かどうかは不明だ。

 地位や立場を考えれば自らダンジョンに潜る必要はない。


 だが一方で、なんらかの強力な固有スキルを持ってる可能性もある。


 固有スキルを持つものと持たないものとでどんな違いがあるのか?

 おそらく、世界中の探索者が一度は抱くはずの疑問だろう。


 実際、ダンジョン研究者の中には固有スキルを専門に研究してる人たちもいる。

 ダンジョン研究の中でもホットな分野のひとつと言っていい。


 しかし、他のダンジョン研究もそうであるように、研究の内容はまだ発展途上というしかない。

 固有スキルは所持者がその性能を隠すことが多いから、まともな研究ができるのは大手のギルドに限られるって事情もあるな。


 だが、固有スキルについては、探索者の多くが感覚的には納得できてる説明がある。


 ――固有スキルは、強烈な個性の持ち主に宿りやすい。


 良くも悪くも強烈な個性の持ち主に、その個性を反映した固有スキルが発現する、というわけだ。

 遺憾ながら、俺の「逃げる」なんかはそのわかりやすい例だろう。


 だとすれば、だ。


 凍崎誠二にも、持ち前の「強烈な個性」に見合った強力な固有スキルが発現してる可能性が十分にある。


 凍崎誠二の養女である凍崎純恋も、「レベルドレイン」という性格にぴったりの固有スキルを所持してた。


 俺が今後凍崎誠二と直接対面する可能性はそれなりに高い。

 だが、直接体面してる状況で、相手にバレずにステータスが読めるだろうか?


 もちろん、簒奪者のユニークボーナスで相手に気づかれずに鑑定できるはずではある。

 でも、スキル以外の部分で不審さに気づかれる可能性もあるんだよな。

 以前光が丘公園で凍崎純恋を「窃視」「鑑定」したとき、凍崎純恋は「誰かが怯えるような気配がした」と言っていた。

 スキルではない第六感のようなものが働いたとしか思えない。


 また、「窃視」に相当する簒奪者のユニークボーナスで鑑定した場合でも、凍崎誠二やその周囲の人間が、俺の知らないスキルやアイテムで「なんらかのスキルが発動した」ことを探知する――なんてこともありうるだろう。


 向こうは国会議員で大企業の会長だ。

 特殊なスキルを持った探索者を警護に使っていてもおかしくない。

 探索者ギルド「羅漢」から優秀な人材を引き抜いて手元に置いてるって可能性もあるだろう。

 つまり、平常時はガードが堅い。


 だが、今のこの状況――混み合った新宿駅西口ロータリーならどうか?

 ちょうど会社や学校が終わる時刻で人が多い上に、凍崎自身の街頭演説で人の流れが滞ってもいる。


 これだけ人の多い中でなら、万一鑑定を悟られたとしても、俺がやったとは特定されないで済むかもしれない。

 特定されそうだったら、人混みに紛れて逃げることもできる。

 もちろん、リスクはゼロではないが……。


「……やってみるか」


 俺と凍崎誠二の関係は、現状必ずしも敵というわけではない。

 向こうは俺を手駒にしたいと思ってるかもしれないが、排除しようと思ってるわけではないだろう。

 だが、こっちを言いなりにできるような隙を虎視眈々と狙ってはいるはずだ。

 国家権力を背景に持つ凍崎誠二相手に後手に回り続けるのは避けたいところだ。


 リスクはゼロではないと言ったが、普通に考えて、リスクは限りなく低いとも思うんだよな。

 特殊条件で手に入れたレアなスキルである「窃視」は、ジョブ世界のシステムに翻訳され、簒奪者のユニークボーナスになっている。


Job──────────────────

簒奪者 ランクS

◇ユニークボーナス

(略)

・相手に気づかれることなく他者のステータスを破格の深度で読み取ることができ、ステータスの偽装をほぼ確実に見破ることができる

(略)

────────────────────


 相手に気づかれずに「鑑定」できるのが「窃視」のスキルだ。

 「窃視」に対抗するような未知のスキルがある可能性を完全に否定することはできないが、それでも可能性としては相当に薄い。


 しかも、俺が使おうとしてるのはただの「窃視」ではない。

 その「窃視」が平行世界の別システムで書き換えられた、簒奪者のユニークボーナスだ。

 これまで読まれる可能性を考えるのは、さすがに警戒しすぎのように思えるよな。


「よし、やろう」


 俺は演説に夢中の凍崎誠二に、簒奪者の鑑定技能を発動する。


 その結果は――



《この探索者のステータスはシステムにより秘匿されています。》



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最新話はヤンマガWeb、マガポケ、ニコニコ漫画にて連載中!
― 新着の感想 ―
[一言] おう、システム野郎!やってくれたな! 勝手にスキルの制限をしたり今回は秘匿するなんて
[一言] システムにより秘匿ってなんじゃそりゃw 別陣営の神様かもしくは悪魔とかそういうなにかが介入してるってことかなあ 無関係な横レスですが>ここあっとさん 衆議院議員選挙は「名簿拘束式」です。名…
[気になる点] 衆院選の比例名簿って、政党が勝手に決められるものでしたっけ? 小選挙区で出馬した人が、当選者の票数に対しての割合が大きい順って決まりがあったような気がします。。。 そうでなけりゃ、首相…
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