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悪党成敗!

 ムッとした顔。モフモフの尖った耳、ふっくらした尻尾、スラっと高い上背。獣人族だ。種は狼かな? 胸元の豊かな膨らみにペンダントが乗っかり、亜麻色の髪は陽光をあびて明るくひかり、整った顔立ちは粗野な男たちを前に怯む様子はない。


 しかし、もっとも目を惹くのは、耳や尻尾、彼女の美しい容姿や豊かな胸元ではなく、背中にかつぐグレートソードである。背負うだけで腰を痛めそうな常軌を逸したデカさだ。


「あんたたち、あたしの目が黒いうちはそんな不道徳なマネ許さないよ! がぅうう‼」


 少女は威勢よく叫んだ。

 睨みをきかせ、臨戦態勢のヒコーキ耳をして。


「そっちがぶつかったんだから、おばあちゃんにちゃんと謝りなよ!」


 少女はそう言って、かたわらでへたりこんでいる老婆を見やる。


「俺たちが誰だかわかってんのか? んぁあ?」

「兄貴、ちょうどいいですぜ、この女、なかなか上物だ、剥いちまいましょうぜ」

「俺たちゃ海賊、アンブラ海を震えあがらせるウブラー海賊パーティだぜ。俺たちに逆らうやつは、しっかりと見せしめにするのが俺たちのやり方でなぁ、そりゃもう──」

「ごちゃごちゃと、うるさぁ────いッ‼」


 粗野な男が言い終わるまえに、その脳天は叩き潰されていた。少女が抜剣したグレートソードの腹によって。抜剣・振りあげ・振り降ろし。速度が異常だ。


 ぺらぺら話していたリーダー格の男は、舌を噛んで、吐血し、白目を剥いて、崩れ落ちた。すごく痛そうだ。しゃべっている途中でぶっ叩かれたせいだろう。


 少女は片手で振りおろしたグレートソードを地面につきたて「ふん!」と鼻を鳴らす。


 俺はそのさまに既視感を覚えた。

 その横顔、声、所作、シチュエーション。

 そういえばあの子もこんな風にブラックカース島で悪党をしばいていたような──。


「あんたらがウブラーのとこの海賊なんだ。だったら話がはやい! あたしはクウォン、目標はウブラーの海賊パーティを壊滅させること! かかってこい、全滅させてやる!」

「このクソ女、いきなり兄貴になにしやがる⁉」

「イカれてるのか⁉」

「後悔させてやるッ! てめえらやっちまえ!」


 少女と海賊たちの乱闘がはじまる。銃声と刃が曲となる。

 市場で買い物してる現地民が悲鳴をあげて暴力の渦から逃げ惑う。


「おじちゃん、正義の味方の出番だねっ‼」


 セツは短銃を抜き、戦意をみなぎらせていた。

 俺と視線があうなり、うなずいてくる。


「ナツ、セツを見張っててくれ。無茶なことしないように」

「うん、任せておじいちゃん。お姉ちゃん、一緒に待ってようね」

「うわぁーん、戦力外通告をされたのですっ‼ おじちゃん、ひどいですっ‼」


 俺は刀に手を伸ばす。

 すぐさま少女のもとへ駆けた。


「悪党退治、俺も助太刀しよう」


 乱闘に飛びこみ、ふたりで悪い海賊たちをしばき倒した。


「ふうー、片付いたね。いやあ、おじさん助かったよ! すごく強いんだね!」

「剣術を嗜んでいてな」


 少女は笑顔でこちらへ振りかえり、キラキラした汗を手で拭った。

 俺の顔を見つめるのは赤茶色の鮮やかな瞳。快活な表情がみるみるうちに神妙になっていく。少女は眼をクワっと見開いた。


「そ、そそそ、その顔は……⁉ まさか⁉」

「やあ、久しぶりだな、クウォン。まさかこんなところで再び会える」

「うわああ⁉ ぐえええええ⁉ ど、どうして先生が生きて、えええ⁉」


 驚愕に顔を崩す少女──アイボリー道場でもっとも強かった教え子クウォンは、一歩、二歩と後ずさり、口をおさえて大声で叫んだ。

 尻尾はピンッと上向きになって毛がブワァと逆立っていた。

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