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29話「試合動画を見てみた」

 ログアウトしたリアは、VR機器を外して放り出していたスマホを手に取って、ベッドに横になりながら、動画サイトで検索をかけてみた。


「お、出た出た。って、再生回数すごい!」


 半日前ほどにアップされたようだが、既に再生回数が数十万再生になっている。

 この再生回数の多さからも、このゲームの注目度の高さがうかがえる。

 早速、エキシビションマッチの動画一覧をフリックしながら確認していく。


「やっぱり私のもあるよね……って、再生回数おかしくない!?」


 どれも再生回数は数十万レベルなのだが、リアとグザの試合に関してはすでにその他の再生回数の倍くらいの数字になっている。

 誰も真似できないようなプレイをしていたことは認めるが、まさかここまで注目されてしまうとは思っていなかった。


「……見るのが怖いけど、見たい気持ちが強いなぁ」


 実際に戦っていた身として、観戦している側ではどう見えていたのかなどは、かなり気になるところではある。

 ただ、コメント欄がオンになっていたら、色々と書き込まれているのは間違いないはずなので、それが目に入るのが怖い。


「いや、気にしたら負けだな!」


 コメントに対する不安よりも、好奇心が勝ったため、自分自身の試合の動画にタッチして、閲覧することにした。

 あの時プレイヤーが見ていた流れ同様に、先ずはグザの紹介動画から動画は始まった。


「おお、紹介動画あるじゃん!」


 リアは自分がどう紹介されていたか、ずっと気になり続けていたので、紹介動画が流れているのを見て、思わず体を上げた。

 グザの勝ちあがるシーンを見て、ずっとあのように煙幕をうまく使い続けて勝っていることが、この時点でよく分かった。


「これ、対戦する前に見てたら、また色々と考えちゃったんだろうなぁ」


 あの時は何故見せなかったのか、と思っていたが、見なくて正解だったかもしれない。

 色々と戦う直前に情報が入ってくると、間違いなく焦ってしまっていた。


 動画は進んで行き、遂にリアは自分自身の紹介動画を見た。


「幼き、美少女……?」


 もちろん周りで話題になっているのは勝ち上がりのシーンについてなのだが、リアは運営の言葉に引っかかった。

 なぜ、幼いと言われているのだろうか。

 後、美少女とか言われているが、こうして自分の事でこう言われると、なんとも言えない恥ずかしさがある。

 リアにとってしんどい言葉を二つ並べらていた状況に、リアは何も言えなくなってしまった。


 試合が始まると、戦っている二人を様々な角度から撮影した映像が流れていく。


「こう見えてたのかー」


 中にはグザ側から見た映像もあって、自分がどう見えていたか分かり、なかなかに興味深い。

 自分自身で使っていても、攻撃系の特技は派手さがあると思っていたが、こうして第三者目線で見る方が、より迫力がある。


「こうやって見たらただのやばいやつだな、私って」


 隕石を落としたり、大きな氷塊を作りだしたり。

 盗賊がやるような行為は、何一つしていない。


「コメント、めちゃくちゃ書かれてるなぁ」


 コメント欄はオンになっており、動画の下には視聴者が、たくさんのコメントを記入している。

 見たら凹むようなことを書いている可能性があると分かっているのに、こう言うのを見てしまうと、どうしても気になってしまう。


「ちょっとだけ見てみようかな……?」


 ゆっくりと慎重にフリックして、少しずつコメント欄を見ていく。

 チートを疑う者や、単純にすごいというものまでいろんなコメントが見られたが……。


「戦隊ごっこって書いてるやつ、どういうことだよ!?」


【ガラスの殺陣】について、よく分からなかった人たちが、戦隊ものの真似をしているほほえましいと、コメントを残している。

 しかも、それにグッドボタンが異常なくらいついていた。


「ガラスの殺陣、グザさんが攻撃一度もしなかったから、みんなよく分かってないのか……」


 あのモーションのせいで、更に幼い子ではないかという印象が付いているようだ。


「これはショックだなぁ……」


 結局、好奇心に負けてコメント欄を見てしまったが、普通に凹んだ。

 これ以上はコメント見るのを止めて、気になっていたミオの試合についての動画を見ることにした。

 リアの動画同様に、ミオについての紹介動画がまず最初に流れる。


『大振りの剣を、軽やかに使いこなす姿はまさに圧巻! 装備通りの力強さと、見合わぬ身の軽やかさで、対戦相手を翻弄します! その名はミオ!』


 運営の紹介とともに、ミオの勝ち上がり動画を見ると、その言葉通り背負った大ぶりの剣を軽々と振り回し、大ダメージを与えている。


「あの大きさの剣、どうやったらあんなに簡単に振り回せるんだろ……!」


 ミオの持つ剣は両手で持つタイプのもので、明らかに重量があり、機動性は見込めないようなタイプ。

 しかし、片手で持つ剣を装備した相手にも、スピード負けすることなく、相手の盾ガードが入る前に重たい一撃を繰り出している。

 剣の使いこなし方が軽やかなので、大きな剣の特徴を生かして相手の攻撃も軽々と受け止めている。

 そうなってくると、相手は単純に攻撃・防御共に押し込まれる展開となり、ミオがどんどんと勝ち進んでいく、となっていたようだ。


 エキシビションマッチでは、装備をガチガチに整えていた相手に惜しくも競り負けてしまっていたが、リアが見る限りでは、装備がそろっていれば勝っていたのではないかと思った。


「ふんわりして優しい人だったのに、めちゃくちゃ強いなぁ……!」


 アミはもちろんのこと、リアもいつも一人で戦っているために、やむを得ず前線で戦っているようになっているが、もともと二人とも、最前線で戦うというタイプではない。

 ミオのような人がギルドに来てくれたらなぁ、と思ってしまう。

 ただ、ギルド勧誘を嫌がっているようなので、そこでリアが誘ってしまうと、せっかく仲良くなったのに、ギクシャクしてもいけない。


「ギルドとかの話は無しで、楽しめればいっか!」


 今回の動画でミオの強さを知って、一緒に遊ぶのがより一層楽しみになったリアなのであった。

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― 新着の感想 ―
[一言] 『リアもアミも、最前線で戦うというタイプではない』あれ?そうでしたっけ?笑
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