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21話「イベント結果とエキシビションマッチについて」

 10連戦を終えると、レグルスタードの街上層に帰ってきた。

 すでに戦いを終えたプレイヤーたちが、お互いの結果について話をしている。


「アミはまだ帰ってきてないかな……」


 盗賊でも、序盤は長引いたりしていたので、攻撃職ではない上に回復も出来るヒーラーはなかなか勝負がつかないことは、容易に想像が出来る。

 今回、実際にプレイヤーと戦ってみて、装備のセット効果の強さを痛感した。

 きっとアミも、そこまで攻撃力に差が出ないヒーラーなら、特技やステータス付与効果がある分、競り勝つことが出来るのではないかと思う。

 しばらく街の物陰で、ちょこんと体育座りをしてボーっと待っていると、アミから終わって出てきたというチャットが来た。


 イベントでごった返す上層や常に人の多い中層を避けて、下層の港付近で落ち合った。


「お疲れ~!」

「お疲れ様、どうだった?」

「なかなか攻撃の決め手に欠けて時間がかかったけど、何とか10連勝できたよ~!」

「おお、良かった!」

「全部リアが稼いでくれたゴールドで買えた装備のお陰だよ~! リアはもちろん10連勝できたんだよね!?」

「出来たよ~!」

「やっぱりそうだよね! やったじゃん!」


 お互いに一番最高の結果になったことを、二人で喜び合った。

 そんな二人に、運営公式から個別チャットでエキシビションマッチについての案内の連絡が来た。


 ―10連勝、誠におめでとうございます。お疲れの中大変申し訳ありませんが、エキシビションマッチに参加していただけませんでしょうか? 参加の可否について、こちらに直接お返事ください。


「エキシビションマッチについての案内が来たけど、どうしようかな?」

「ごめん、私はパスかな……。ヒーラーは地味で時間がかかるから見栄えもしないし。何よりも10連戦すると、とにかく戦闘時間長くて疲れちゃった……」

「まぁ、そうだよね……」

「リアに出られる元気があれば、出てみたら? 個人的に、これまでコピーしてきたリアの特技を、見てみたい気持ちもあるんだけど」

「出たら、絶対に色んな所で話題になるよね。これ……」

「それは避けられないね。まぁいつまでもバレずにやっていくことは出来ないから、バレるのは時間の問題だとは思う……」

「うーん、そうだよね……。すでにあれだけ頼ってるしなぁ。どうせバレちゃうなら、せっかくだし出てこようかな……?」


 どっちにしても、今日戦った対戦相手が、変なやつにやられたと話を広げるのは目に見えている。

 特に9・10戦目の相手は、かなりガチ感があったので、それなりにフレンドや今後ギルドなどの繋がりがあるだろう。

 そこで、一緒になるような人にこの話をしたら、広がるのはあっという間。


「よし、じゃあ出るかぁ」


 色々と考えた上で、一戦だけで終わるということもあったので、参加することに決めた。


「おお! リアもこれでこのゲームの超有名人だー!」

「ネットとかに色々と書かれるんだろうなぁ」


 リアは今後起こることして、不安に感じているが、すでにもうネットでは話題なりつつある。


 運営公式に参加をするとの意を、個別返信で送った。

 すると、エキシビションマッチについての更に具体的な内容についての連絡が送られて来た。


 ―運営側から、エキシビションマッチに参加するリア様の、今回の10連戦の戦闘動画などを踏まえて、こちらで紹介させていただきます。

 ―リア様の参加されるエキシビションマッチについては、これから一時間後に開催予定です。

 ―運営から直接バトルフィールドへの案内を行いますので、街の中ではあればどこにいらしゃっても問題ありません。ログイン状態は継続されますようお願い致します。

 ―何か急なご都合等により参加できない場合は、個別チャットよりご連絡ください。


「運営直々に、リアの紹介動画まで用意するって、凄いね!」

「な、なんか恥ずかしくなってきた……。初期装備のちんちくりんが、みんなが見る大スクリーンに映されるってことでしょ?」

「リアは可愛いから大丈夫だよ! それに……あの特技無双見たら、そんなこと一気にみんな気にならなくなると思う……」


 アミは大丈夫だと言ってくれるが、見た目がいかにもキッズな上に、初期装備ということが今になってとてつもなく恥ずかしくなってきている。

 今日イベントに参加した人や、普通に観戦だけしたい人たち、ゲームをこれから買おうかと迷っていてゲームの様子を見ている人たちなど、見られる規模が全く違う。

 アミが言ってくれたように、世の中の人たちがそう言う目で見なかったとしても、注目度は高くなるだろうと、リア自身の中で分かっていた。

 まさか簡単な気持ちで参加を決めたイベントが、こういう形になっていくとは。


「どうしよう……。すごく緊張してきた」

「大丈夫大丈夫。10連勝してる人しか出られないところに出るんだから。強いってことは、周知の事実だし」

「そ、そうだよね……!」

「ま、エキシビションマッチまで魚釣りでもしてゆっくりする?」

「賛成。心落ち着ける時間が欲しい」


 アミが用意してくれた釣り竿で、二人静かな港でエキシビションマッチまで魚釣りをして過ごした。


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