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14話「ひたすらやられる異質プレイ」

 再び廃墟村エリアへと足を運ぶと、相変わらずプレイヤーたちが【ジャイガンティック・スケルトン】に攻撃されて、あわてて逃げていくプレイヤーが多くみられる。


「くそっ! こうなったら……!」


 逃げきれないと判断したプレイヤーが開き直って戦闘を始めた。

 当然だが、リアの攻撃がたやすく跳ね返されたのと同様に、プレイヤーの攻撃など全くと追っている様子はない。

 プレイヤーが攻めあぐねていると、【ジャイガンティック・スケルトン】が何やら祈るようなしぐさを見せた。

 そして怪しく瞳の部分が光ると、プレイヤーに大きな隕石が降り注いだ。

 あっという間にプレイヤーは力尽きて、また違うプレイヤーを追いかけ始めた。


「また違う特技だ! 派手だし、単体攻撃だから次のイベントであれさえ打てば、絶対にどんなプレイヤー相手でも勝てるでしょ!」


 隕石落としのような特技を見て、周りのプレイヤーたちは慌てふためている。

 これをただのプレイヤーが使ったら、絶対にみんな驚くことになるだろう。

 リアはそんなことを思って、早速先ほどの特技をコピーするべく、ほかのプレイヤーを追いかけまわしている【ジャイガンティック・スケルトン】に攻撃を仕掛けた。




「うーん……」


 挑戦し始めて一時間後。

 すっかりおなじみになりつつあるレグルスタード街の復活ポイントにて、リアは頭を悩ませていた。


「単体攻撃だと、直接受けないとダメって言うのが難しすぎるな……」


【ライトニング・チェイン】は分身もろとも攻撃してくる特技だったので、【イリュージョン・カウンター】で通常攻撃に対する対策を張ったうえで、習得出来ていた。

 ただ、今回の隕石落としは単体攻撃なので、分身を展開していると回避してしまうという点があった。

 分身が無くなった時点でちょうどよく隕石落としをしてもらわないといけないので、かなりタイミングが良くないといけない。

 その上に、【ライトニング・チェイン】を先に出されると、その時点で力尽きる。

 なかなかにコピー成功率がどうのこうのという以前の問題が、色々とあることが分かってしまった。

 特技の使用頻度は高いことや、【ライトニング・チェイン】と隕石落としの実行割合は、前者の方が多めなので、その辺りも厳しくしている要因だった。


「分身、止めるしかないなぁ。せめて通常攻撃ぐらいは一発位耐えられたら、もうちょっと効率性上がるんだけどなぁ……」


 途中から、分身を切らして通常攻撃を受けたが、250ダメージ位喰らった。

 もはや、今の一番いい装備を整えようが、耐えきれそうにもない。


「大変だけど、タイミングのいい機会が来るまで粘り続けるしかないかぁ」


 当たり前だが、特定の特技を受けるための立ち回りなど、誰も分析しているわけがない。

 いつも通り、リアの作業を続ける集中力で習得するしかない。



 取りあえず、リア自身の気持ちが折れるまで、続けてみることにした。

 攻撃しては、力尽きをただひたすらに繰り返す。

 プレイヤーが多く、毎回のように【ジャイガンティック・スケルトン】がプレイヤーを追いかけまわしているのに、ちょっかいを出してはやられる。

 追いかけられていたプレイヤーからすれば、助かるかもしれないが、だんだんと毎回ちょっかいを出していると、分かってきたプレイヤーもいるようで、ちょっとしたギャラリーが出来つつある。


「やばい……。早めに終わらさないと、意味不明プレイヤーでネットに晒されそうな気がするよ……」


 別にやましいことをしているわけではないが、単純に意味が分からないことをしているように見えているに違いない。

 アミと今後も絡むかもしれないので、わけの分からないことをする奴とフレンドということで、アミに変な印象が付くのは避けたいところだ。


 そんなことを思いながら、戦闘を繰り返していた時だった。


 不屈の魂……即死ダメージを30回受けて力尽きたため、以後の戦闘で即死ダメージを受けた場合、戦闘中一度だけHPが1だけ残り、力尽きない。


「おおお! これはいいね! ただ、30回でいいなら、普通に他の人でも習得してる人いるかな?」


 基本的にほとんどのプレイヤーが、即死ダメージを受けるような相手とこんなに戦闘などしていないのだが、リアからすれば30回くらいは軽いものだと考えていた。


「これで、もうちょっと効率性が良くなるかな?」


 この後も、引き続き【ジャイガンティック・スケルトン】の隕石落としを習得するべく、淡々と力尽きるだけの戦闘を繰り返した。



「隕石、来いっ!」


 おそらく見ている周りのプレイヤーからすれば、分身はしているし、意味不明な言葉を言っている。

 すると、【ジャイガンティック・スケルトン】は祈るようなしぐさをし始めた。


「来たっ! その動き、待ちわびてましたー!!」


 リアがはしゃいでいると、その頭上に隕石が降ってきた。



 街の復活ポイントに戻ると、早速ログを確認する。


「来た!!!!」


 ―特技をコピーしました。

 メテオ・ストライク……天に祈りを捧げ、対象一体に隕石を落として攻撃する。350~450ダメージを与える。ダメージ量はレベルによって増加しない。


「分かってたけど、強すぎる……」


 特技が6つしか習得できないので、【バウンス・ストライク】を削除して、【メテオ・ストライク】を登録した。


「やってるときはちょっと大変だったけど、登録出来ちゃえば、何かすごい達成感があるなぁ!」


 周りの目がしんどくはなってきていたが、達成感に満たされて今はもうどうでもよくなった。


「あと二つぐらい入れ替えようかな?」


 派手な技が身に付き始めて、これまでに習得した【ポイズン・バレット】と【アースショック】を削除して、違う技が欲しくなりつつあった。


「別に力尽きるの、嫌じゃないからもっと他に、ユニークモンスター探してみようかな……?」


 リアは少し今後のプランについて考えてみる。

 そして、あることを思いだした。


「アミがこの街の下層から出るエリアは、高レベル過ぎて誰もまだ何もできないって言ってたっけ……」


 もちろん、強いモンスターがもつ特技には有用性が多いはず。


「その通常モンスターで強すぎるところにユニークモンスターがいたら、そのモンスターの特技をゲットしちゃえば……」


 リアの中で、次のプランが立っていく。


「煙幕やイリュージョン・カウンターを常に使っておけば、通常モンスターに攻撃されずに移動できる。エリアを動き回って、探してみよっかな……!」


 これからのことを考えて、ワクワクしながら、今日はログアウトすることにした。

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