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13話「イベント開催告知と、思わぬ悩み」

「あ、こっちこっち!」


 街にいるプレイヤーの多さで、アミとなかなか会えなかったので、チャットで連絡を取って、再合流した。


「先に戻ってたんだね」

「まぁ戻ってたというか、戻された」

「で、どんな感じだったの?」

「それがね……」


 先程ログで確認したことを、全てアミに伝えた。


「……何それ。じゃあ、倒されたほうが習得しやすいってこと!?」

「そういうことだね。だから、敢えて強いやつにぶつかって、その相手の特技でダウンすれば、強い特技がたくさん覚えられるってことかな?」

「なんかもう、反則技にしか思えなくなってきた……」


【ライトニング・チェイン】の詳細も見せたこともあって、かなりドン引きしている。


「分身の方も使いやすかった! 通常攻撃なら、どんな強いやつにも、対応出来そう! 何なら、カウンターの爆発ダメージの方が、私の攻撃よりも効果的だったし」

「カウンターのダメージは、相手の攻撃数値に依存、だっけ? なら、そうなってくるよね」


 そんな話をしていると、ログに公式からお知らせが届いた。

 公式から何かお知らせが届くと、通知音が鳴って誰もが気がつくようになっている。


「第0回プレイヤーイベント開催か」

「これって前にアミが、お試し開催されるって言ってたやつかな?」

「そうだと思う。0回になってるし」

「なになに、PvP勝ち抜きバトル大会……」

「いきなり対人戦かぁ……」


 ログを読み進めていくと、今回のプレイヤーイベントの詳細について書かれている。

 ・一週間後に開催予定。

 ・レベル上限を30までに統一して行う。(30以上は30に、30より下の場合は変わらず)

 ・同職業同士で、ランダムにマッチングして戦う。

 ・全部で10戦行う。戦う相手は、同じ勝敗数同士の中でマッチングしていく。

 ・勝ち星に応じて、ゴールド支給あり。


「レベル30か。なら、普通にイベントまでに間に合いそう」

「同じ職業同士なら、出ようかな。前衛職に当たると、ヒーラーなんて勝ち目がなかったけど、これならまだいける」


 詳細を確認して、お互いに思った感想を口にする。

 リアとしても、せっかくこのような強力な特技を覚えたので、参加したいという気持ちが強い。


「ただ、レベルは統一してくれても、レベルを上げたことで開放した能力とか特技あると、それは使えるだろうからなぁ……」

「そこは、良い装備を着てカバーすればいいんじゃない? そのために集めたんだし、良いやつ買って参加してみたら!?」

「……そうしようかな。やるからには勝ちたいし」


 ちょっと不利な要素があって不安そうなアミも、参加することにした。


「さて、私はまた特技探しに行きますかー。お金は足りそう?」

「十分すぎるよ。ってか、リアもいつまでも初期装備ってわけにはいかなくない?」

「あー、確かに。適当にまたアイテム盗んで換金して、装備買うから気にしないで」

「ほ、本当に使っちゃっていいの?」

「もちろん! そのために集めてたんだし。バイトも忙しいんだから、素直にもらってちょーだい!」

「分かった! 本当にありがとうね」

「うん! では、私はもう少しあのデカいガイコツと向き合うことにするから」

「え、まだあのユニークモンスターのところに行くの?」

「あのエリアにいるゴーストが特技を2つ持っているということは、あのガイコツが1つだけしか特技無いとは思えないんだよね」

「それは確かに……」

「ということで、コピー出来るか調査してくる」


 再びアミと別れて、今度はリア一人で上層から高原へと向かった。


「さっきはスルーしちゃったけど、高原にいるモンスターたちの特技も、気になるんだよね」


 高原には、少し大きめの鳥のモンスターや瓦礫が人型に形成された、いわゆるゴーレムのようなモンスターが徘徊している。

 すでにこのエリアの一般モンスターは、リアのレベルでは楽に倒せるレベル。

 先程のように、特技を習得しやすくするために、倒れることはなかなか難しい。

 そのため、アイテムを盗みながら、特技を繰り出してもらっては倒すを繰り返していく。


 ―特技をコピーしました。

 砂嵐……細かい砂を風で巻き上げて、相手を幻惑する。通常攻撃の0.5倍のダメージ。攻撃・特技命中率低下、電気属性効果低下


「電気属性低下かぁ……。命中率低下はいいんだけどな。ってそういえば、同じ効果の煙幕持ってたな……」


 すっかり忘れていたが、相手の命中率を下げられる煙幕を持っていた。

【イリュージョン・カウンター】と合わせれば、なかなかに相手を苦しめられそうだ。


「これは、あんまり使わないかなぁ」


 鳥のようなモンスター、【サンドバード】から習得したが、今の自分には相性が悪い上に、他に同じような特技がある。

 覚えたものの、使わない可能性が高い。


 次は、いかにもゴーレムというような見た目のモンスターと対峙した。


「やっぱりゴーレムなのね」


 予想通り、名前は【ゴーレム】と表示されている。

 大きな体に、固い物質で構成されているため、あのデカいガイコツよりも痛そうだが、そこまでダメージもない。

 先程と同じように、盗みながら特技を繰り出すのを待つ。


 ―特技をコピーしました。

 アースショック……地面を強く叩きつけて、振動と地面の隆起を起こす。通常攻撃の0.5倍ダメージ。同時に自分自身の前に、土壁を張る。土壁展開時、VIT30%上昇


「これも防御系の特技か! どっちかっていうと、防御を鍛えている人が持ってると強いのかな?」


 VITの数値に依存するので、低めのリアにはあまり恩恵がないかもしれない。


「ん?」


 ログを見ながら色々と考えていると、一つの文面が目に入った。


 ―現在のレベルでは、コピー特技は6つまでしか習得出来ません。技を諦めるか、すでに習得した特技を一つ削除してください


「覚える数に制限があるのか〜〜!」


 これは全く想定していなかった。

 ひとまずたくさん覚えて、その中からその時に使えそうなものを使っていくということは、出来ないようだ。

 現在特技を6つ覚えているので、今のところその数が限界ということになる。


「使える特技を厳選しないといけないのね……」


 少し考えなければいけない問題が出てきた。

【イリュージョン・カウンター】や【ライトニング・チェイン】は外すことはあり得ない。

 だが、【バウンス・ストライク】や【砂嵐】は覚えていても、今後そんなに使うか分からない。

 そのことを踏まえて、使用頻度が高いものだけに厳選する必要がある。


「とりあえず、砂嵐を消そうかな」


 現時点で、一番使わなさそうな【砂嵐】を削除すると、特技欄から【砂嵐】が無くなって、【アースショック】が登録された。


「とりあえず、あのガイコツの特技について、もっと調べてから考えよっと」


 リアはまた、【ジャイガンティック・スケルトン】と対峙するべく、廃墟村へと向かった。


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