いや来たバーベキュー!
「いや来たバーベキュー! 東京の奥まで来た!」
花記がさけぶとおり、東京の中でもかなり自然豊かで、川も上流感満載のところまで来た。
ここまで意外と所要時間も短かったし、バーベキューの基本設備や休憩所もあるし、何より川と山がすごい綺麗だし、すばらしい点がたくさんな場所である。
そんな中で、準備をほっぽりだして遊びたいって顔に書いてある舞花。
水がどうみても冷たそうなんだよな。川の中入りたいなあ。
でもまずは、バーベキューをしに来たんだし、お腹は空いている。
バーベキューのめんどくさいところだけやってくれるロボットが欲しい。
そんなことを考えていると、もうすでに部長がセッティングを始めていた。
さすがすぎる。先輩を敬う心があるので、みんな準備を始めた。
これは手本を見せて仲間を引っ張るタイプ。
「まずは肉のターン。次は海鮮のターンにしようか」
「いいですね。私ちゃんと家からお肉持ってきました!」
そう言って舞花が出したお肉は多分すごいシェフが焼いたほうがいいやつ。
でもここで自分たちで焼けば、実際美味しさでは劣ってても、美味しく感じられる度なら圧倒的勝利だよな。
そのためにバーベキューをやるんだもん。
バーベキューをやることの意味について一人で考えを深めていると、
「はいはい秀映うちわ」
「ほいあおぎます」
うおおおおお! ここで熱くなれば後で美味しく感じるぞ。
いや、でもやっぱり流石に暑いわ。
「秀映もっとあおいでよ〜火が足りない」
「わかったわかった」
「そろそろお肉のせてくよ〜」
うわー。食いたい。
焼いてから食べたいってことだけどね。
舞花がトングでどんどん肉を並べていく。
肉を並べる技術が高すぎて、最高枚数を敷き詰めることに成功している。
「はあ、でもまあ二分の一人前くらいしか一回じゃ焼けないね」
舞花がそう言いながら肉を裏返すタイミングを待つ。
舞花の二分の一人前は普通の人のお腹いっぱいくらいなので、ちゃんと一回で結構焼けている。
花記と部長はくしにせっせと肉やねぎや玉ねぎを刺している。
あれが第二弾だ。
段々と食べるためならってモチベが上がって、うちわの動きの速さも増してきた。
夏休みなので、遊びに来ている人は、結構たくさんいる。
川で何か捕まえてはしゃいでる子供もいたりして、何がとれたのか気になった。
「はい第一サイクル焼けましたんで、皆さんにお配りします!」
「やった」
僕はじぶんをあおぐ用のうちわを放り出し、自らの皿を確保して、舞花にお肉をねだる。
あれだな、餌を持ってきた母鳥にめっちゃ餌欲しいアピールするひなみたいになってるわ。




