一日早く
次の日、明日のバーベキューに備えて体力をためようと昼寝をしていると、舞花から連絡が来た。
「お試しバーベキューしない?」
「お試しバーベキュー?」
「そう。別名フライングバーベキュー」
「な、なんで?」
「美味しく焼く練習という名の、ちょっと味見」
「はあなるほど。どこでやるの?」
「私の家の庭」
「確かに舞花の家の庭なら広いし迷惑かからなさそうだな」
僕は納得した。
いやでも花記と部長は用事があるから僕と舞花だけフライングすることになるけど。
舞花にそう言うと、
「ふふ。秀映は素直だね。今日は花記さんと部長さんはデートに行ってるんだよ。オーシャンビューのいいレストランを予約して」
「マジで?」
「そうだよ。だから私たちも対抗して、二人フライングバーベキューしよ!」
「だな!」
めっちゃ決意固まった。
僕は今から向かうと舞花に言って、そして急いで準備をした。
久々に自転車に乗り、舞花の家を目指す。
相変わらず敷地に入ってから建物までも道のりがある舞花の家に、とりあえず着いた。
「あ、秀映きた。とりあえず暑いから一旦中で休憩したほうがいいよ」
「たしかに。お邪魔します……」
僕は中に入り、また廊下もそこそこ歩いて、リビングのソファに座って休む。
舞花はキッチンで食材の下準備をしていた。
あと一分ほどたってそこそこ体力が回復したら手伝うべし。
「さて! 準備が整ったよ。いざ点火!」
舞花の合図で僕が火をつける。ロケット打ち上げみたい。
そして、空気をうちわで送ったりして頑張って、ちゃんと火が炭にうつったら、焼き始める。
「うーん! 焼いてる匂いがする」
「わかる。これいいよね」
「暑いけどね」
「それはそう」
自分をあおぐ用のうちわと、空気を送る用のうちわのどっちも頑張って振っている。
「明日は海鮮系も加わるからさらにすばらしきことになるはずだな」
「うんうん」
海鮮系は明日部長が行く途中で買ってきてくれることになったのだ。
「……さて。食べるよお」
「すごい意気込みだな」
その意気込みは当然食欲にも反映されてて、もう焼いたら焼いただけ舞花によって食べられていった。
まあ焼きたてのお肉と野菜がたくさんあるし、仕方ないよね。
そうして僕も舞花の八割くらいは食べて……。
「あれ? 気づいたら明日の分あんまなくなってるけど」
「いやほんとだ! どうすんの秀映」
「よし、今から急いで片付けて買いに行こう!」
「それしか……ないね!」
こうして僕と舞花は昨日の夕方の再現をしに行くことになってしまった。




