夏休みの始まり
番外編エピソードを読んでくださった方が思ったよりも多くてうれしかったです。
で、夏休み編を開始することにしました。番外編エピソードの続きくらいの時期で、舞花と秀映は高校生です。もしよろしければ気軽にお読みください!
「な、な、な、な、な、夏休みが来たー! 他の人たちより一週間遅く!」
「追試アンド補講お疲れ」
「お待たせ秀映。いやー、ほんとつかれたよ」
「まあまあまあ。なんとかなってよかったね」
「うん」
夏休みの学校って一生記憶にとどめていたい雰囲気を持っている。
特に舞花のように苦労して夏休みまで漕ぎつけた人には尚更そう感じられるんだろう。
「夏にすることについてたくさん話したい」
舞花は言った。
部室には二人だけ。
花記は友達とアイス食べ放題かどこかに行っているはず。
部長は、浜辺で勉強しながら一日中そこから見える景色の写真を撮るという、なんとも暑そうなことをしに行っている。
僕と舞花も早速夏休みにしたいことをばんばんやっていきたいところだ。
「でもさ」
「うん」
僕が言うと、続きが想像つくなあ、というように舞花がうなずく。
「暑いよな」
「それそれ」
つまりは、部屋でダラダラするのもいいし、最初の一歩を踏み出さない限りは、それが一番ベストなまである。
というわけで僕と舞花は、冷房の入った部室から、暑さが溜まっている日差しの入る廊下に出ることすらためらっていた。
「やばいこのままじゃ引きこもりに戻っちゃう」
舞花がそう言いながらスマホを見て、ポテチを三枚くらい一気に口に入れた。
「んおおひぉ」
そして何か声を上げる。
「どうした?」
舞花はポテチを飲み込んでから姿勢を正し、
「なんか見つけた! 山の中の川辺でバーベキューできるとこ!」
「お! それめっちゃしたい」
写真もたくさん撮れそうだ。
しかも山の中の川辺か。多分この辺の外よりは涼しいんだろうなあ。
なんか行く気がめっちゃおきてきたぞ。
「秀映、行こうよ」
「そうだな、行こう」
「おっけー。明日か明後日ね」
「明日か明後日? 実行はや」
「いいじゃん。花記さんと部長さんにはどっちがいいか訊いとくから。どっちもダメなら明明後日」
「わかったよ」
どうやら舞花はめちゃめちゃ行きたいらしい。
もちろん僕もすごく乗り気だけどね。
夏休みって体感的にはすぐ終わるから、やりたいことがあったらすぐやったほうがいいのかも。
ただ遊ぶ以外にも、宿題、そして文化祭の準備をぼちぼち始めなければならない。
そう考えると、部屋の中でだらだらしてるのはよくない感じ……はしないな。
僕は、目の前で歌を歌いながらスマホでバーベキューの計画を立てる舞花を見た。
こうしてのんびり舞花と過ごす時間は大好きで、まだまだ増えてほしいくらいだから。




