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エピソード13 垂直飛び

「ふううううううんっ」


 どす。


「とぅおおおおおおおおっ」


 どす。


 だんだん暑くなってきたこの頃。部室には、ぬいぐるみ部で買った可愛いぬいぐるみの数々が並んでいる。ひよことか、アザラシとか、カモノハシとか、アルパカとか。


 そしてそんなクーラーが最低限効いた部室で、なぜか舞花が全力で運動していた。


 といっても、腕立て伏せや腹筋をしているわけではなく、ジャンプしている。


「何があってジャンプに熱を入れ始めたんだ……」


「あ、秀映、いや、これは私がいかにジャンプ力がないかを再確認してみただけだから。ま、気にしないで、さ、写真の整理しよ」


 舞花は切り替えてパソコンを起動した。


「ジャンプ力がない……あ! さてはこの前渡された体力測定の結果、垂直跳び悪かったな?」


「……学年最下位だった」


「え?」


「測定した人の中で、ビリだった」


「わーお」


 まじか、意外だなそれは。


 舞花、小柄で身軽そうだし。まあ最近太ったのどうの言ってるけど別にそんな太ってないのはもうお分かりの通りだし。


「ま、ジャンプできなくてもそんな困んないからいいんじゃない」


「秀映に抱きつけない」


「そんなダイナミックに抱きつく予定なのか」


「うん」


 それは楽しみだな。


「秀映は、体力測定どんな感じなの?」


「いやまじの平均。ボール投げだけはちょっといいかな」


「なるほど」


「ま、写真部としては、カメラ下げてそこそこ歩き回れる体力があればあとはなんでもいいでしょ」


「まあそうだね」


 と、ここで、たち上がるのが遅い、ポンコツめな部のパソコンが立ち上がった。


 画面に舞花の顔と僕の顔が鏡みたいに映っていたのも、消える。


「さて、部の活動記録フォルダから、いいやつだけ文化祭展示候補のフォルダに移せばいいのね」


「そうだな」


 僕と舞花はちょこちょこ話し合いながら、良さげな写真を選んでいく。


 お、今日はそこそこ写真部の活動みがあるぞ。


「おー、二人とも写真整理してるね」


 そして花記と部長がやってきた。


 今日は全員集合で写真整理の会。


 いや真面目だ。


 たまに舞花の手が震えているので、僕はグミの袋を開けて、舞花の左手の近くに置いてあげた。


「え、私がグミを食べたくてうずうずしてるのがわかったの?」


「わかったよ」


 そしてグミを二人で食べ始める。


「うわっと!」


 舞花がグミを落としそうになるも、素早くキャッチ。


「すごい反射神経。もしかして、グミを高いところにおけば、舞花垂直跳びめっちゃ跳べるんじゃない?」


「ぐ、ぐみはすきだけど、そんな私単純なわけないもん!」


 あ、怒られた。ごめんごめん。グミを独り占めしないで。


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