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エピソード11 リスの広場

 週末。


 今日は舞花と近場のお出かけだ。


 行き先は、リスの広場。


 大きな広場にタイワンリスが放し飼いにされていて、つまりは、たくさんのリスたちがそこで暮らしている。


 そんなリスに、ひまわりの種をあげることができるのだ。


「りすさーん」


「リスと仲良くなれるといいな」


「うん」


 リスの広場へは、僕たちの学校……渚ヶ丘学園の前のバス停から、駅と反対方面のバスに乗ると行ける。


 というわけで週末だけど高校の前で待ち合わせて、僕たちはそこの前でバスを待っていた。


「リスの写真も撮れそうだな。めっちゃ可愛いの」


「いいねー」


 今日は癒される気しかしない。


 まあいつも舞花には癒されてるんだけどね。


 ☆   ◯   ☆


 最寄りのバス停で降りて、カラフルな絵が描かれたトンネルを通りぬけると、リスの広場に到着。


 入り口のアーチ型の看板に、可愛いリスのイラストがでっかく描いてある。


「おお〜リス一色って感じだね」


「だなあ」


 チケットとひまわりの種を買って入園。


 リス一色ってことにしてしまったけど、まずはリスの広場に入る前に、リス以外の小さな動物がいるスペースがあった。


「秀映、ほら。フクロウ」


「うお、結構大きいんだな。目が合うし。……こんにちは」


 フクロウはこっちを見つめ続け、謎の人を見る目で見てきている。


 僕からしたらフクロウが何考えてるのかが謎だぞ。


 フクロウ以外にも、カピバラ、レッサーパンダ、ムササビ、ヤマネなど、可愛い動物大集合状態。


 そこを満喫した後、駅の改札のようになっているところで手袋をはめ、その先の木の扉を開けると……


「リスいっぱい!」


「すげ」


 リスが自由にあたりを駆け回っている世界があった。


 タイワンリスがもうそこらじゅうを走り回っている。


 あんまり無闇に餌を求めて群がるってこともなくて、時々舞花と僕に興味を示してそうな状態だった。


 だけど、手袋の上にひまわりの種を乗せて、しゃがむと。


「お、来た」


 手のそばにやってきて、食べ始めた。


 リスは噛む力があるので、ちゃんと手袋をはめるのがルール。


 手袋越しに、リスの感触を体感。


「私のところにも来た! 三匹! いや、五匹!」


 舞花のひまわりの種は大人気だった。


 と思いきや、僕のところにもどんどん集まってきた。


「おいしい? あれだよ。別に美少女からもらおうが僕からもらおうが同じひまわりの種だからね」


「……」


 沈黙のリス。


「なんでリスに一方的に話しかけてんの秀映。怪しいよ」


 そして反応する舞花。


 怪しくてすみませんでした。


 ひまわりの種あげるからみんな来てね。




 それからも、どんどんと色んなところからリスが来てくれて、予想よりもさらに癒しな時間を過ごせた。


 百枚くらいリスの写真も撮ってしまったし、リスと戯れつつリスに対抗して可愛いポーズをとる舞花の写真も、たくさん撮ってしまった。


 これは今日の写真の整理が楽しみすぎる。

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