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エピソード8 暇な時期の放課後

「さて、問題です」


 合唱祭も終わり、平和な日がやってきた。


 結局音痴は治らないままで、本番は静かめに歌うことで乗り切った。


 そんな行事終わりの放課後に、舞花から出された問題。


 それは……


「私の左手のポテチと、右手のポテチ。どっちが期間限定しょうゆ味でしょう?」


「いや知らん」


「正解したらなんと! 右手のポテチも、左手のポテチも、更には残りのポテチもプレゼントします」


「それはすごいな」


「では、選択をどうぞ」


 ふっ。こう見えても僕は舞花のことをよく知っている彼氏。


「左」


「え! なんでわかったの?」


「持ってる手が若干大切そうだったのが左。てことはそれが貴重な期間限定しょうゆ味なのかなと」


「うわお。すごい推理……ていうかそれだと、なんか私が食い意地はりまくりJKみたいだね」


「とりあえず全部JKつけとけばくだらないポテチクイズ出してても許される世界いいな」


「うわあ、なんかいやらしい言い方。ふんだ。だって暇だしポテチも残り少ないんだもん」


「まあ暇なのはそうだな……ボドゲでもやるか」


「やる! ちょうどね、小説にもボドゲやってるシーン出したいなって思ってたの」


「ならやることに決定だな。なにやる?」


「うーん。頭を使いたくないので……運ゲーのやつ! 将棋?」


「は?」


「くずし」


「はあ」


「いやもっといいのあるかな、秀映なんかないの?」


「うーん。文化部共有スペースには囲碁と将棋しかないからなあ。あ、あとトランプならあるか」


 僕は考える。


 せっかくだし舞花の小説に役立ちしそうなのがいいよな。


 なんだろう……、あ。


 僕は部室の隅を漁る。


 確かあったよな。ジェンガ。ボードゲームではないけど。


「よっと。あった。ジェンガ」


「ジェンガいいね!」


 早速やることにした。




「よし、やろう! じゃんけんぽい。あ、勝ったから私先ね」


「ほい」


「ま、初めは余裕だよね……」


 がしゃー。


 うそだろ。一手目で倒す人初めてみたよほんとに。


 しかもめっちゃ床に散らばったし。


「見て見て! 太ももに七個もジェンガのブロックがはさまった」


 舞花は全然悔しそうじゃないしな。


 まあ……ジェンガがはさまっている太ももは、この状況での唯一の癒し兼目の保養だな。


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